2024.11.19
HELLBROTH@池袋EDGE
「Autumn Tour『Catch me in the Reincarnation』」
11月3日に最新シングル『Rencontre』を発売。同作品を手に、HELLBROTHはメンバーの地元である千葉、埼玉、神戸、四日市も含む全7ヵ所に及ぶワンマンツアー「Autumn Tour『Catch me in the Reincarnation』」を続けてきた。同ツアーのファイナルの地であり、バンドの結成3周年のお祝いも重ねて彼らは、11月19日に池袋EDGEでライブを行った。
幕の内側から流れだす、無機質でエレクトロなダンスビート。その背景では、シルエット姿になったメンバーたちが観客らへクラップを求めていた。そして…。大熊”けいと”邦夫のドラムカウントを合図に、HELLBROTHのライブは「LINK」からスタート。4人はあえて幕の内側から、光に照らされたシルエット姿で歌い奏でていた。姿が見えないぶん、彼らの歌い奏でる声や演奏へひと際耳が引き寄せられる。叙情的で情緒豊かな楽曲を届けるヘルブロスだからこそ、心に響く形を持ってライブを届けてきたことが嬉しかった。耳をそばだてていた中、後半の盛り上がり部分で突然幕が降り、メンバーが姿を現した。その展開に気持ちがドキッと嬉しく躍った。
ここから一気に激しさと速度を上げるように、HELLBROTHは「Signal」を演奏。夢人の煽る声に合わせ、他のメンバーや場内中から熱い声が上がりだす。ソリッドでスリリングな、まるで身体をヒリヒリと切り裂く演奏の上で、エモーショナルな夢人の歌声が胸に飛び込んできた。身体は刺激を求めながらも、心は、夢人の歌う思いの一つ一つをしっかり受け止めていた。荒々しく躍動するリズム隊、千歳のギターは終始感情を切り裂く鋭い音を突きつける。いつしかフロア中の人たちが興奮を覚え、夢人に煽られるままに声を張り上げていた。
心地好く跳ねた「オーケストラ」の演奏が飛びだした。この曲に触れ、一瞬で胸が弾み、身体が大きく揺れだす。サビでは、おおらかに歌いあげる夢人に向かって、たくさんの手の花が咲いていた。まだ熱狂というには早い。でもここには、熱を孕んだ音と想いの数々が大編成の楽団が鳴らす演奏のように交じり合い、気持ちを揺さぶる音楽を作りあげていた。
場内中から飛び交う、メンバーらを呼ぶ熱情した声・声・声。ライブに向けた期待度が、その声からも伝わってきた。
〈冷たくなるほど~〉と優しく歌う夢人の声を合図に、「Amber」が流れだした。胸をキュッとくすぐる千歳のクリーンなギターの音に、秋風のような匂いを覚える。この曲で彼らは季節を駆けるように想いを巡らせ、揺れ動くいろんな心模様を、歌と演奏を通してこの場に描いていった。夢人の歌に気持ちを痛く刺されながらも、そこから見える一筋の光のような希望を、自分の気持ちに置き換えて触れていたい。
大熊”けいと”邦夫の重厚なドラムプレイに、てらの野太くも躍動したベースの音が絡みあう。シャキシャキッとした千歳のギターの音も身に感じながら、夢人は「午後の日、さよなら」を通しても、ここにいる人たちへ切ない想いを語るように伝えていた。けっして派手でも、激しくもない。でも、間違いなくその音は、気持ちを揺らす高揚を与えていた。
思わず身体を深く、ゆったりと揺らしたくなる三拍子のリズムに乗せて、ヘルブロスは「タナトーシス」を演奏。3人の奏でる音色と夢人の歌声がつねにシンクロしながら、次第に弾みだすリズムの熱を膨らませる。だから、胸の内から込み上げる想いを歌う夢人の声に、気持ちがチクチクとした痛みを覚えながらも引き寄せられていた。いや、いつの間にか瞼を濡らす切なさと愛おしさを胸に覚えていた。その想い、もっともっと愛して、抱きしめたい。
〈重ねた指は離れたままで 背中をずっとずっと眺め続けた〉と、愛しい人へ想いを馳せるように歌う声から、演奏は「Distress」へ。言葉のひと言ひと言へもの悲しい色も描き加え、夢人は主人公の切ない心模様を想い嘆くように、でも朗々と歌いあげていた。心を揺らす哀しみのドラマを歌う夢人の声を、演奏陣が優しく。でも、存在感を持った粒立つ音で支えていたのも印象的だった。
HELLBROTHのライブは、まるで長大な舞台劇を観ているようだ。身体は熱を覚えながらも、ステージの上で繰り広げる物語を、想いを馳せながら追いかけていたい。そんな思いを巡らせていたら、MCで「パンチラ」の言葉も飛び交うくらいにメンバーたちが壊れだす。そのギャップもHELLBROTHらしさ!?
この会場に熱い音の風を巻き起こすように、4人は観客たちの喉を枯らす煽り系ナンバーの「真贋」を叩きつけた。躍動する演奏と、夢人の煽る声に合わせ、場内中の人たちが声を張り上げ、その場で飛び跳ねる。サビで夢人が掲げた右手を左右に大きく振れば、フロアでも同じ動きが起きたように、メンバーと観客たちが互いに同じ温度で熱を求めあう。だから、おおらかな楽曲に誰もが身を預け、サビが巡るたび、高く高く飛び跳ねていた。
ここから一気に演奏を倍速するように、胸を熱く騒がせる爆音を響かせて楽曲が駆け出した。HELLBROTHは『Silhouette』を通して、この場にいる人たちから一瞬にして現実を消し去る。いや、すでに消えていたが、現実に戻る道を遮断する勢いを持って観客たちを狂わせる。感情を剥き出しに歌う夢人の声を全身に浴びるたび、声を荒らげたい。
「もっとイクぞー!」と叫ぶ夢人の声を合図に、てらと千歳がデスな声を張り上げる。荒ぶる演奏へ、さらに毒々しい黒い衝撃を塗り重ねるように、ヘルブロスは「監獄」をぶつけてきた。躍れ、歌え、騒げ、ここは暗い奈落の底に生まれた狂乱を導く黒い社交場。感情を剥き出しに暴れ騒いでこそ、ここに相応しい景色が生まれる。いつしか観客たちもヘドバンに狂(興)じていた。さぁ、もっともっと魂を赤黒く染め上げ、激しく狂わせてくれ! もっともっと声を張り上げ、高く飛び跳ねさせてくれ。
てらの攻撃的なベース音が牙を向いて襲いかかった。その音を激しく押し上げるように大熊”けいと”邦夫と千歳も攻撃的な音をグサグサと突きつける。「Joker」、その名のように、この場に狂乱のダンスを作りあげる切り札になる楽曲だ。観客たちも手にしたタオルを振り回し、頭を激しく振り乱し、恥じらいなどかなぐり捨て、化粧さえ落ちてしまう勢いで身体を深く激しく折り畳んでいた。
「もっといくぞー!」一度狂い咲いたこの景色を、そう簡単に閉じはしない。ザクザクとした攻撃的なリフを刻む「Doomsday」でも、彼らは前のめりの姿で音を突きつける。手にしたギターを鳴らしながら夢人も攻撃的に歌うが、胸に響く印象深い歌という理由もあり、場内中の人たちは掲げた両手を大きく花咲かせながらも、幸せになる?歌を胸の内でしっかりと抱きしめていた。
ノンストップで次々と楽曲を叩きつけ、HELLBROTHはこの場を沸かせ続ける。これまで以上にザクザクとしたギターサウンドと、一緒に口ずさみたくなるエモい歌を魅力にした「ドラマ」でも、観客たちは沸き立つ衝動へ気持ちを預け、激しく身悶え、熱情していた。
そこへ追い打ちをかけるように、「モンスター」をブースト。この曲が始まったとたん、観客たちが両手を高く掲げて左右にモッシュ。胸を熱くくすぐるサビでは、大勢の人たちが手にしたタオルを振り回し、この会場に熱風を巻き起こしていた。熱狂を彩るコンダクターとなった夢人が歌い誘うたびに、観客たちが無邪気な少年少女に戻って、この場に、青春の匂いにも似た眩しい熱狂の景色を描き出していった。
早くもライブは終盤へ。ここまで、本当にあっと言う間だ。一度仕掛けたHELLBROTHの攻撃の手は、けっして緩まない。「灰泥」でも、千歳の奏でるヒステリカルなギターの音色に合わせて、大勢の観客たちが高く跳ね続ける。ベースのてらと絡みながら歌う夢人の姿も印象的だ。彼の歌声を先導に、フロアの最後方にいる人たちまで、みんな笑顔で飛び跳ねていた。無理やり騒ぐ景色に巻き込むのではない。曲を重ねるごと、さりげなく観客たちの気持ちに熱を重ね続けたことで、最初は地蔵でいた人たちも、いつしか身体を揺さぶり、宴という名のライブに参加していた。でも、それこそがHELLBROTHのライブの持ち味だ。
高く掲げた両手を、4人は「現実逃避行」を通して拳を突き上げる景色に塗り替えた。胸をくすぐるキャッチーな歌と解放感を持った演奏に身を預けていると、闇に染まった気持ちが晴れ渡るようだ。HELLBROTHがかけた魔法は、心に閉まっていた無邪気な自分を呼び覚ます。だから、高く掲げた両手を大きく広げて、その音を全部笑顔で受け止めていたかった。大きく開いた2本の手は、いつしか羽ばたく翼となり、この空間を自由に駆けめぐっていた。
メンバーらと一緒に〈WOW OH! OH!~〉と歌い叫びながら始まったのが、「プラネタリウム』。熱を抱いて力強く駆ける演奏の上で、夢人が強い意志や想いを込めた歌を、一人一人の胸の奥へ奥へと響かせるように歌っていた。だから、未来へ馳せる思いを一緒につかみたくて、高く掲げた両手で歌声の粒たちを受け止めていた。終盤に生まれた〈WOW OH! OH!〉と歌をかけあう場面も、ほんと胸に熱かった。
最後にHELLBROTHは、最新作の表題曲「Rencontre」を演奏。次々と緩急や強弱を見せてゆく楽曲に煽られて身体を揺らしながらも、「Rencontre」に綴られたこれからの季節が似合う物語の中へ優しく心を寄り添え、歌の中へ心地好く身を溶かし続けていた。
「これからも、みんなの場所を守り続けていきたいと思います」「俺たちにとって最高の日だろ!」。千歳の煽り声を合図に、アンコールは「Fiction」から。この曲では、夢人もギターを手に演奏。2本のギターが織りなす高揚したリフビートに乗せ、夢人が自分たちの心情と信条を歌にして伝えてきた。千歳が、激しくギターを掻き鳴らし煽りながらも、観客たちはステージの上から降り注がれる言葉や想いの数々を、ときに手の花を咲かせつつ、自身の胸でしっかりと受け止めていた。
「何時からだろう 時が流れて 歌を忘れた僕らは~」と夢人が歌ったのを合図に、ヘルブロスは最後にエモい衝動と高揚を詰め込んだ「ラクエン」を演奏。体感的な衝撃もライブの楽しみ方かも知れないが、心の内側から高揚と恍惚、ときには興奮や涙を誘う、HELLBROTHの作りあげるドラマチックなライブこそ、ここでしか味わえない最高に心地好い宝物だ。
もっともっと熱を求めたい観客たちの呼びかけへ応えるように、メンバーらが三度ステージへ。最後の最後にHELLBROTHは、演奏に触れた人たちの気持ちを解き放ち、無限に広がる世界へ心地好く連れ出すように「Contact」を歌い奏でていた。場内中の人たちが高く掲げた右手を翼変わりに振りながら、その場で高く高く飛び跳ねる。誰もが4人と一緒に、天空の彼方の先に広がる眩しい輝きの世界へ向かって羽ばたくように、くしゃくしゃの笑顔で飛び跳ねていた。
この日、様々な発表があったように、2025年のHELLBROTHは、今年以上に精力的に動きまわる。彼らの作りだすMOVEMENTに乗り遅れるな。
◆セットリスト◆
01. LINK
02. Signal
03. オーケストラ
04. Amber
05. 午後の日、さよなら
06. タナトーシス
07. Distress
08. 真贋
09. Silhouette
10. 監獄
11. Joker
12. Doomsday
13. ドラマ
14. モンスター
15. 灰泥
16. 現実逃避行
17. プラネタリウム
18. Rencontre
En1
01. Fiction
02. ラクエン
En2
01. Contact
(文・長澤智典/写真・Emily)
【ライブ情報】
●HELLBROTH Spring tour2025「Heart shaped Box」
2025年
3月30日(日)東高円寺二万電圧
17:00/17:30
4月4日(金)名古屋ell.SIZE
17:30/18:00
4月5日(土)心斎橋CLAPPER
17:30/18:00
4月10日(木)横浜ReNY β(※当日入場無料!)
17:30/18:00
<チケット>
・5ショット撮影付チケット ¥5,000
[A]e+ プレオーダー(受付期間:1月11日~1月22日)
[B]e+ 一般(2月1日~)
・当日券 ¥5,500
※各チケット入場時ドリンク代別途要
●4バンド共同主催ツアー「乾杯!!」
2025年
2月15日(土)心斎橋soma
2月16日(日)HOLIDAY NEXT NAGOYA
2月28日(金)高田馬場CLUB PHASE
<出演>(順不同)
Chanty
SPLENDID GOD GIRAFFE
ZOMBIE
HELLBROTH
開場16:00/開演16:30
前売¥5,000/当日¥5,500(税込・ドリンク代別途要)
※選抜メンバーによる東名阪インストア/アウトストアイベント開催
※終演後15shot合同撮影会開催
【リリース情報】
●New Single『BIRTHDAY』
2025年3月22日(土)発売
3曲収録 ¥1,500
【アウトストアイベント】
3月30日(日)ライカエジソン東京本店
4月4日(金)名古屋fiveStars
4月5日(土)little HEARTS.大阪店