2022.07.16
The Benjamin@池袋EDGE
ONEMAN『Bridge of New Rainbow』

雨が降っている。
地下のライヴハウスの中で、そう感じていた。7月16日、池袋EDGEで行われたThe Benjaminのワンマンライヴ『Bridge of New Rainbow』の最中である。いったいどんなライヴが繰り広げられたのだろう。

オープニングから雨音が聞こえていた。手拍子を打ちながらTackyが、愛嬌を振りまきながらMashoeが、そして最後に気合いをみなぎらせてMineyが登場する。この夜、最初の曲に選ばれたのは「Babel」。神の怒りに触れたバベルの塔の崩壊を重々しく、ドラマチックに描き出す。

ミネムラ”Miney”アキノリ(Vo、G)

個人的な見解だが、The Benjaminというバンドの印象はあくまで“ハッピー”だと思っている。それは、楽しければいいとか薄っぺらいポジティブシンキングとかではなく、人生の厳しさも苦さも受け入れたうえで、それでも前を向いて生きようとする強い明るさだ。

そんな彼らが、今年3月に発売したシングル『Bark in the Garden』では、怒りやイラ立ちを爆発させた。ヴィジュアル面でもダークな雰囲気に大きくイメージチェンジした。そこには、コロナ禍においてこれまでのようなバンド活動ができない時間が続いたという背景があり、溜め込んだ鬱屈した感情が表に出たと解釈している。そんな現在の彼ららしい幕開けとなった。

偶然にもこの日の天候は、雨。「雨、降ってたね」というMineyの言葉からMCが始まり、「Blossom of Casablanca」へ。大人っぽい雰囲気をたっぷりまき散らして、「ブロックショット」へと続く。The Benjaminはギターが二人、ベースが一人のスリーピースで、曲によってメインヴォーカルを交代するイレギュラーな編成だ。

「ブロックショット」はベースのMashoeが、次の「バズーカをぶっ放せ」はギターのTackyがその歌声を聴かせる。温かみのあるふくよかな歌声のMashoeにミドルテンポのこの曲がよく似合い、Tackyが歌うと荒々しさを生真面目に表現しようとする一生懸命さが魅力的に映る。センターに構えるMineyの幅広い表現力と存在感からは目が離せない。

ウスイ”Tacky”タクマ(Vo、G)

丁寧にまっすぐにMashoeが届けた「バリケード」、一転ノリノリで会場を踊らせたMineyが歌う「Bumble Bee」。メインヴォーカルが変わることも相まって、The Benjaminの音楽が持つ色とりどりの魅力を堪能したところで、再びMCが始まった。「そろそろ雨の音が…」という言葉から続いたのは、「[Bit:]雨に接続された世界」。これは、彼ら3人が以前一緒に活動していたバンド・ビリーの曲。

雨音に雷鳴が重なり、「バケツ」「ベルガモット」と続けば、やり切れない切ない感情が会場にひたひたと広がっていく。そこへ、バラードの「バウムクーヘン」が始まる。本来は、雪の日に暖かい部屋でバウムクーヘンを食べようという歌なのだが、この日はあえて“雨が降る”と歌ったMiney。バウムクーヘンの甘さに優しく励まされるような温かい歌だった。

終盤戦に入ったところで特に印象に残ったのは、「Bark in the Garden」だ。発売時には、彼ら自身がその変化に着いて行き切れてない感があったが、ライヴを重ねるに連れ、確実に自分たちのものにし、思い切りよくプレイを楽しんでいるのが見てとれた。ライヴで曲は成長するというが、まさにそのとおりの変貌だ。

2022.07.16 The Benjamin@池袋EDGE ONEMAN『Bridge of New Rainbow』
ツブク“Mashoe”マサトシ (Vo、B)

曲間の雨音は続くが、次は「Bridge of Rainbow」。“雨はやがて虹へと変わる”という歌詞のとおり、曲が進むに連れ雨は止み、虹色に輝く照明とともに会場に光が差す。まるで雨の途に虹がかかるように。そこに始まったのは「SORA-Boeing229-」。“雨はSORAが泣いてるんじゃな 不純なモノ流してくれてるんだ”と歌い上げるMashoe。広がる青空が目に浮かぶような、青空を見上げたときの気持ちよさが胸によぎるような、そんな心地よさだった。

本編最後は、「ブーツを脱いで」。タイトルの“ブーツ”は、シーズンが過ぎているのに何となく履いてしまったもの。それを脱いで裸足になった主人公は、“飛び越えたはずの水たまりに着水”する。水たまりから飛び散るキラキラした水しぶきが目に浮かぶような清々しさが、雨の降り続いたライヴの最後を彩った。

アンコールでは、9月7日発売の3枚目のアルバム『BELIEVE』から、タイトル曲「BELIEVE」を初披露。感情をまっすぐに吐露するような、どこまでも正直な彼ららしい曲だ。込められた熱いメッセージも、情熱を持って音楽に向き合う彼ららしい。アルバム発売、そして全国ツアーの告知が続き、会場がおおいに沸く。

コロナ禍で、たくさんのロックバンドは試行錯誤を繰り返してきた。その中で、曲を作ることや過去の曲をリアレンジすること(8曲目に披露した「[Bit:]雨に接続された世界」はまさにそうだ)、配信で演奏を聴かせること(毎週金曜日の無料配信を継続中)など、音楽を作ることにこだわり続けた彼らだけに、ニューアルバムの発売と全国ツアー決定に大きな拍手を贈りたい。ツアーファイナルとなる、10月16日の渋谷PLEASURE PLEASUREでは、どんな彼らの姿を、どんな世界を見せてくれるだろうか。今から楽しみでならない。

◆セットリスト◆
01.Babel
02.ベンガルタイガー
03.Blossom of Casablanca
04.ブロックショット
05.バズーカをぶっ放せ
06.バリケード
07.BumbleBee
08.[Bit;]雨に接続された世界
09.バケツ
10.ベルガモット
11.バウムクーヘン
12.ビックリ箱
13.BATTLE FEVER
14.Bark in the Garden
15.Bridge of Rainbow
16.SORA-Boeing229-
17.ブーツを脱いで
en.
18.ビーチパラソル
19.BELIEVE
20.バーバラ

(文・村山 幸)


【リリース情報】
●アルバム『BELIEVE』
2022年9月7日(水)発売
BDBX-0090 ¥3,500(税込)

●デジタルシングル「Bridge of Rainbow」
BDBX:0088 各サブスクにて配信中
作詞作曲:ミネムラ“Miney”アキノリ

「Bridge of Rainbow」MVフル

【ライブ情報】
●The Benjamin ONEMAN TOUR 2022「BELIEVE」
9月10日(土)大阪Rumio
開場 18:00/開演 18:30

9月11日(日)名古屋Heartland
開場 16:30/開演 17:00

9月18日(日)宇都宮HELLODOLLY
開場 16:30/開演 17:00

10月02日(日)長野LIVE HOUSE J
開場 16:30/開演 17:00

10月16日(日)渋谷PLEASURE PLEASURE
開場 16:30/開演 17:00
座席:全指定席

※開演開場時間の変更に関するチケットの払い戻しはございませんので予めご了承ください。

料金(各公演):
ビギナーズ前売券¥500
当日¥1,000
*1DRINK別途

●ビギナーズ前売りA(会場手売り)
発売日:8月8日(月)より
チケットNo.A001-(10月16日公演のみ座席指定番号)
※特製ピクチャーチケット

●ビギナーズ前売りB(TICKET PAY)
一般発売日:8月6日(土) 10:00-
入場券:TICKET PAY
チケットNo.B001-(10月16日公演のみ座席指定番号)

入場順:番号順:S→A/B並列→当日券(C)
(10月16日公演のみ座席指定番号)

購入サイト
9/10 大阪Rumio
名古屋Heartland
宇都宮HELLODOLLY
長野LIVE HOUSE J
渋谷PleasurePleasure
主催/企画/制作:BadeggBox(10月16日のみ制作:チッタワークス)
[問]会場

7th Single 「Bark in the Garden」MVフル

「Bark in the New Garden」
2022.05.07 HARAJUKU RENON ダイジェスト映像

The Benjaminオフィシャルサイト