2021.05.16
シド@河口湖ステラシアター
「SID LIVE 2021 -Star Forest-」
シドが5月15日・16日に山梨・河口湖ステラシアターで「SID LIVE 2021 -Star Forest-」を開催した。
1日目は晴天に恵まれたが、2日目の16日は今にも雨がこぼれ落ちそうなほどの曇天模様。それでもこの場所に集う心は晴れやかだった。なぜなら、この公演は本来昨年5月に行なわれる予定だったもので、メンバー、ファンともに待ち望んでいたステージである。1年越しの待ち合わせに心を躍らせたのは、メンバーも同じこと。森に囲まれ、夜空が見下ろすステージで、渾身のパフォーマンスを見せる彼らの全身から、ファンとの再会とライブが開催できたことの喜びが溢れ出していた。延期した1年間について、最初のMCでマオ(Vo)は「4人で、そしてファンのみんなと一緒に、どんな未来も一緒に受け止めていこうと強く誓った1年間でした」と語っていた。なんて心強い言葉だろうか。そんな彼らの愛が満ちるこの場所は、とても温かくて優しい場所だった。
観客によるクラップが大きく響く中、白い衣装に身を包んだメンバーが順にステージに登場する。ゆうや(Dr)は勢いよくセンターまで駆け出し、明希(B)は観客へ拍手を贈りながらゆっくりと歩みを進める。Shinji(G)はセンターで高く右手を掲げ、マオは拍手の音を全身に浴びるように両手を広げた。これまでと変わらない4人4様の登場シーンも、待ち望んでいた光景だ。1曲目を飾ったのは「ANNIVERSARY」。ゆうやが打ち鳴らす華やかなシンバルを合図に、Shinjiは観客により近いところへと歩み寄り、明希はクルリと軽快なターンを見せる。終始笑顔で歌を聴かせていたマオは、歌い終わりに大きくうなずいた。歌詞の通り、明日の見えない暗闇から光の方へと引っ張り上げてくれるような、そんな強力なパワーをこの曲からもらった。続けて「罠」、「シェルター」とアグレッシブなパフォーマンスで魅了したメンバーに、歓声代わりの大きな拍手が贈られた。
躍動感溢れる「delete」から、変拍子のスリリングな「KILL TIME」へと展開していく、高い演奏力に裏打ちされたアンサンブルの妙に唸らされる。「シドが昔からやっている曲です」と紹介した「お別れの唄」では、リズムに合わせてクラップが沸き起こった。憂いを帯びたマオのヴォーカルと、Shinjiがかき鳴らすスパニッシュなギターが哀愁を誘う。曲が終わるや否や、「河口湖ステラシアターにお集まりの皆様、お元気ですか?」と明希がMCをとった。コロナ対策をとった会場の空気感の中でMCは難しいねとしながら、「頑張ってMCも音楽も精一杯届けようと思います」と語ると、Shinjiへとバトンを渡す。Shinjiは「山梨あるあるを2つほど」と、地元の人は名物のほうとうを食べないという話と、原付バイクの免許所持率が日本1位だという話で盛り上げ、ゆうやはいつも入念に準備をするタイプなのに、ジャージのズボンを持ってくるのを忘れたことを報告。そんな和やかなメンバーの話を笑って聞いていたマオは、この公演に向けて当初は会場近辺の飲食店や雑貨店などとコラボをして、地域全体を盛り上げる予定だったのだと明かした。「いつかやれたらいいね。その時のためにも、今日は最高のライブにしようね」と締めくくると、ここから中盤のバラードパートへ。
久しぶりの演奏となる「夢心地」では、マオの高音ヴォーカルが切なく響く。ひだまりの中にいるような温かみのある「hug」、ジャジーな「暖炉」と、3曲をじっくりと聴かせるとマオが「ありがとう」と小さく囁き、ステージから捌けた。そこから、ゆうや、明希、Shinjiによるソロコーナーへ突入。ゆうやはヘヴィなドラミングを、明希は雄大かつ爽快感も感じる豊潤なベースサウンドを響かせ、エッジの効いたShinjiのギターソロから展開する3人のセッションは圧巻だった。このコロナ禍での日常とリンクするような「声色」での、泣き声のようなマオのビブラートは心まで震わせ、「siren」での切なさを増しながら伸び広がっていく歌声も聴く者を圧倒する力を持っていた。
ステージはいよいよ終盤。天井から見える空も、曇り空からすっかり夜空へと変わっていた。拍手でのコール&レスポンスでひとしきり盛り上がった後、疾走感溢れる「ドラマ」、力強い掛け声で明希が煽る「dummy」とボルテージを上げていく。「循環」ではメンバー紹介でありったけの力で手を叩いたり、曲に合わせて控えめに手の振りをする客席が愛おしい。本編を締めくくったのは、このシチュエーションに相応しい「ほうき星」。マオの慈愛に満ちた歌声と、徐々に熱を帯びていくアンサンブルが夜空へと響き渡った。
4人が黒い衣装で登場したアンコールは、約10年ぶりに演奏する「dog run」からスタート。この公演のテーマソングでもある新曲の「Star Forest」が始まると、メンバーの背後にあった壁がゆっくりと開き、ステージと外を隔てるものがなくなった。開放感溢れるステージで、情感たっぷりに演奏された「Star Forest」は白眉であった。空に星はなかったけれど、見渡せば会場の中にたくさんの星のカケラたちがいる。その一人一人に届くように、思いを込めて繰り出す4人のサウンドは忘れ難いものだった。「妄想日記」で、いつもはメンバーの名前をコールするところで観客から大きな拍手が贈られると、「君は一人じゃない」と観客へと「エール」を贈るメンバー。ステージと会場とで飛び交うエールの交換は、しっかりとこちらにも伝わってきた。ラストナンバーは一足早い軽快なサマーチューン「夏恋」。“打ち上がる花火”の歌詞に合わせて、空に打ち上がった花火を一緒に見上げた。疫病退散の願いも込めて。全公演を終えたメンバーに改めて大きな拍手が贈られた。
「みんな、ありがとう。もうこの一言しかないです。本当に楽しかったです」(Shinji)、明希はマイクを通さず地声で「本当にどうもありがとう」と大声で叫び、ゆうやは「最高の2日間でした。またみなさんに会える日を楽しみにしてます」と、それぞれ感謝の思いを伝えた。そしてステージに一人残ったマオは、言葉を詰まらせながらやり切れない心情を吐露した。「みんなすごく期待してくれてたと思うんだけど、あんまり上手じゃなくてごめんね」。計40曲のフルメニューを全身全霊で歌い、シャウトで煽り、MCで和やかに盛り上げた2日間。「本当に申し訳なさすぎて……」と悔しさを滲ませた。「必ず俺、頑張っていつでも歌えるようになるから、応援しててね。救われました、みなさんに。ありがとう」と感謝の言葉を述べると、地声で「愛してます!」と力一杯叫び、ステージを後にした。
笑顔の裏でこんな思いを胸に湛えていたのかと驚いた。終演後、シド オフィシャルサイトで9月3日(金)より7ヵ所全11公演の全国ツアーの開催を発表した。「9月からまた始まるから会おうね。それまでにカッコいいヴォーカリストに、カッコいいシドになるように頑張るから」。最後に語ったこの言葉どおり、また一つ大きくなったシドの姿が見られる日を楽しみにしている。
◆セットリスト◆
01. ANNIVERSARY
02. 罠
03. シェルター
04. delete
05. KILL TIME
06. お別れの唄
07. 夢心地
08. hug
09. 暖炉
10. 声色
11. siren
12. ドラマ
13. dummy
14. 循環
15. ほうき星
En
01. dog run
02. Star Forest
03. 妄想日記
04. エール
05. 夏恋
(文・大窪由香/写真・今元秀明)
【ライブ情報】
●SID TOUR 2021
9月3日(金)Zepp Haneda
9月12日(日)Zepp Haneda
9月17日(金)Zepp Nagoya
9月18日(土)Zepp Nagoya
9月22日(水)Zepp Osaka Bayside
9月23日(木)Zepp Osaka Bayside
10月3日(日)Zepp Sapporo
10月9日(土)仙台GIGS
10月15日(金)Zepp DiverCity TOKYO
10月16日(土)Zepp DiverCity TOKYO
10月31日(日)Zepp Fukuoka
※詳細は後日発表!
【リリース情報】
●New Single『Star Forest』
2021年5月15日(土)発売
[完全生産限定盤(CD+アクリルキーホルダー)]KSCL- 3298/9 ¥1,818+税
<CD>
01. Star Forest
02. Star Forest -Instrumental-
<アクリルキーホルダー>
メンバーのサインがプリントされた全4種類のうち1種類がランダムで封入
『Star Forest』配信&購入まとめURL
【タイアップ情報】
新曲「慈雨のくちづけ」が中国アニメ『天官賜福』の日本語版のオープニングテーマに決定
<日本語吹替版>
2021年7月よりTOKYO MX・BS11にて放送開始予定
2021年秋よりCS「ホームドラマチャンネル」にて放送開始予定
<日本語字幕版>
2021年6月26日(土)第1話先行放送
2021年7月よりCS「ホームドラマチャンネル」にて放送開始予定
シド オフィシャルサイト
http://sid-web.info/
シド オフィシャルTwitter
https://twitter.com/sid_staff
シド オフィシャルInstagram
https://www.instagram.com/sid_official_jp
シド オフィシャルWeibo
https://www.weibo.com/sidofficial