2014.2.17
シアターブルック × TRICERATOPS@渋谷クラブクアトロ
「THE SOLAR BUDOKAN 2014 IN SHIBUYA Vol.1」
昨年9月に中津川で開催された野外フェスも大成功に収め、活発な活動を展開する「THE SOLAR BUDOKAN」プロジェクト。2014年の活動のキックオフイベントは「THE SOLAR BUDOKAN 2014 IN SHIBUYA Vol.1」と題され、2月17日に渋谷ライブクアトロにて、残雪を溶かすがごとくの熱演が繰り広げられた。
まずは「その音源はどこで見つけて来たの?」と言葉が思わず出てきてしまうほどのマニアックな選曲から、誰もが納得の選曲まで、絶妙な選曲で会場を盛り上げるDJ 吉沢dynamaite.jpのDJプレイからイベントはスタート。ライブ本編スタート前に会場で流された映像には、当日のソーラーパネル設置の模様も織り込まれ、フロアからは大きな歓声も上がる。
トップバッターはTRICERATOPS、「1000Love」でその幕は切って落とされた。トリオとは思えないほどの分厚いサウンドで、渋谷クラブクアトロを埋め尽くす満員のフロアをいきなり大きく揺らす。続く「WARP」ではストラトキャスターをかき鳴らし、ステージギリギリまで迫り、オーディエンスを煽る和田唱に大きな歓声が集まる。MCでは、非常に長い演奏時間がイベントにもかかわらず予定されていることが告げられ、大きな歓声が上がる。このイベントのオーガナイザーである、佐藤タイジの音楽に対する熱い想いが象徴されるエピソードの一つだ。
「MADE IN LOVE」では、林幸治による絶妙なコーラスワークでオーディエンスを湧かす。ライブにも関わらず、スタジオレコーディング並の再現性を誇る、繊細なコーラスワークもこのバンドの大きな武器の一つである。そしてライブではお馴染みであるCREAMのカヴァー「SUNSHINE OF YOUR LOVE」では、本家もぶっ飛ぶダイナミックな演奏を披露。吉田佳史のパワフルなドラミングに煽られるように、白熱のインプロビゼーションを展開。満員の観衆をうならせる。
そしてアットホームなMCに続き、ニューアルバムに向けて製作期間に入ったことを告げ、新曲「ゴースト」も披露。林の太く弾けるベースの音色に導かれてスタートした「HAYASAHI&YOSIFUMI GROOVE」ではテクニカルなパートも織り交ぜながら、激しい演奏でオーディエンスを熱狂の渦に叩き込む。
そしてここからはラストに向けてバンドは一気に駆け抜ける。キラーチューン「FEVER」では佐藤タイジを呼び込み、ツインギターで演奏。和田唱と佐藤タイジという現在の日本ロックシーンを代表するギターヒーローが、ギターソロを交互に弾き倒すシーンはこの日のハイライトの一つだった。ラストに演奏されたのは「トランスフォーマー」。疾走するビートに、キャッチーなメロデイが乗るこの楽曲にオーディエンスは大きな歌声で答え、熱狂の70分は幕を閉じた。
そして満を持して、シアターブルックが登場、いきなり代表曲の一つである「ありったけの愛」からのスタート。選曲にも、この日に懸けるバンドの意気込みが伺える。日本ロックシーン屈指の演奏力を誇る彼らのパフォーマンスに、のっけから気持ちが引き込まれる。切れ味鋭いギターカッティングに導かれ、「あふれ出すばかり」を続けてプレイ。中條卓と沼澤尚のグル—ヴィーなリズムに、フロアを埋めるオーディエンスも思わず引きずり込まれる。
そして普段の彼らならば、ライブ後半のキメ曲である「ドレッドライダー」がライブ前半にもかかわらず披露される。普段はクールな佇まいのエマーソン北村でさえ、時折立ち上がりながらキーボードを操る仕草にも、演奏のテンションの高さがうかがえる。オーディエンスを一気に自らのペースに巻き込んでいくライヴパフォーマンスは、キャリアに裏付けされた彼らの本領発揮と言うところであろうか。
そして「悲しみは河の中に」と「ノックしつづける男」では、久々に元メンバーでもあったDJ 吉沢dynamaite.jpが参加。猛烈なスピードで駆け抜けるバンド演奏の中で、激しいスクラッチ音が炸裂する強烈なナンバーを連発。貪欲に様々なジャンルの音楽を取り込んで、結成以来疾走を続けてきたバンドの凄味をうかがわせる共演だった。
トップバッターのTRICERATOPSの熱演に彼らのロック魂に火が付いたのか、昨今はクールな佇まいを見せることが多い、彼らの演奏はいつになく激し目である。「永田町あたりの誰かさんが『出来ない』というようなことに挑戦し続けるぜ」とメッセージをMCで放つ佐藤タイジの熱量がバンドに乗り移ったとも言える一幕だった。
「ロックンロールの殿堂に、この人を入れましょう」と語り、ボブ・ディランのカヴァー「I Shall Be Released」を、忌野清志郎が作詞したヴァージョンで披露。言論の自由も高らかに、「いつの間にか、自由に歌えるさ」と歌い上げる佐藤タイジにオーディエンスはグッと引きずり込まれていった。
本編ラストは「まばたき」の導入部分でタイジはフロアに語り掛けた。
「音楽の力を信じて、太陽光でロックするっていうこの実験をみんなで続けよう。続けることで現状の何かが変わるはず」
そのメッセージと共に導き出されるこの楽曲の力と、バンドの意志の強さにオーディエンスはステージに強く手を伸ばし答え、熱狂のライブは一旦幕を閉じた。
アンコール前には映像にて、2014年9月27日&28日に再び中津川にて「中津川 THE SOLAR BUDOKAN 2014」が開催されることを発表した。
そして鳴りやまぬアンコールの声の中、和田唱をはじめTRICERATOPSを呼び込み、「もう一度世界を変えるのさ」を披露。ギターソロが交互に奏でられ、バンドの演奏もここで絶頂に達した。昨年からシアターブルックのライブのハイライトで披露されることが多いこの楽曲は、何と未だに正式音源化されていない。「見て見ぬ振りの大人にはなって欲しくは無い」と歌い上げ、ある意味「対人関係不干渉」がデフォルトの現代社会に危機感を訴える、この楽曲の作品化が待たれるところだ。
この日の公演を通じて特筆すべきことは、太陽光発電が故に「驚くほど楽器の音がクリアに聞こえる事」であろう。ノイズレスの楽器音がクリアに聞こえるが故に、歌声の透明度が高く感じた事は錯覚ではないのだろう。
昨今音楽不況がささやかれる中、様々な意味で現状打破を目指し、ロックシーンに一石を投じるイベント、「THE SOLAR BUDOKAN」。3月19日に同じく渋谷クラブクアトロにてシアターブルックとFLiPを迎えて行われる。新たな日本のロックの未来を一緒に作るべく、このイベントに参加してみようではないか。
◆セットリスト◆
【TRICERATOPS】
1.1000Love
2.WARP
3.MADE IN LOVE
4.氷のブルー
5.SUNSHINE OF YOUR LOVE
6.ゴースト
7.FUTURE FOLDER
8.HAYASHI&YOSHIFUMI GROOVE
9.MILK & SUGER
10.FEVER(w/佐藤タイジ)
11.トランスフォーマー
【シアターブルック】
1.ありったけの愛
2.あふれ出すばかり
3.ドレッドライダー
4.悲しみは河の中に(w/DJ 吉沢dynamaite.jp)
5.ノックしつづける男(w/DJ 吉沢dynamaite.jp)
6.I shall be released
7.まばたき
En.もう一度世界を変えるのさ(w/和田唱)
(写真・岡村直昭)
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【ライブ情報】
●「中津川 THE SOLAR BUDOKAN 2014」
開催日時
Day1: 2014年 9月27日(土)
Day2: 2014年 9月28日(日)
※ 雨天決行(荒天の場合は中止)
開催場所:岐阜県中津川市 中津川公園内 特設ステージ
(岐阜県中津川市茄子川1683-797)
※出演者情報などは3月下旬に発表予定
●「THE SOLAR BUDOKAN 2014 IN SHIBUYA Vol.2」
開催日時 2014年 3月19日(水) 開場18:00 / 開演19:00
会場:渋谷クラブクアトロ
出演:シアターブルック、FLiP 、DJ:Kaoru Inoue
チケット料金:4300円(ドリンク別:税込)
【イベント情報】
●「ソーラーパワーフォーラム 2014」
開催日程:2014年3月29日(日)
会場:東京国際フォーラム ホールA
自然エネルギーに溢れた未来のためのトークセッション、ワークショップのほか、様々なミュージシャンが参加予定のミニライブなど、盛り沢山なイベント企画。
詳細は後日オフィシャルサイトにて発表予定。
THE SOLAR BUDOKAN オフィシャルサイト http://www.solarbudokan.com
シアターブルック オフィシャルサイト http://www.theatrebrook.com/