2012.11.23
acid android@赤坂BLITZ
「acid android live 2012」
L’Arc-en-Cielのドラマーyukihiroが、ソロプロジェクトacid androidのライヴツアー「acid android live 2012」の最終公演を11月23日に東京・赤坂BLITZで行った。
8月16日に神奈川・club citta’で行った主催イベントでは、yasuoのドラムとyukihiroのヴォーカルのみというミニマムなスタイルでのパフォーマンスを披露したacid android。しかし今回のツアーは全公演で山口大吾(People In The Box)がドラムを担当し、大阪と名古屋の2公演でKENT(Lillies and Remains)、東京公演で小林祐介(THE NOVEMBERS)がサポートギタリストとして参加。バンド色を押し出したライヴを展開した。
この日の東京公演では、まず山口と小林の2人がステージへ。続けてyukihiroが現れ、フロアの歓声がひときわ大きくなる。そして小林の爪弾くギターから「let’s dance」でライヴの幕が上がり、yukihiroはしなやかな動きと硬質なヴォーカルでオーディエンスの興奮を高めていく。
ライヴはいつも通りMCを一切挟まずにストイックなスタイルで進行していく。しかしyukihiroのヴォーカルはときに無機質さを潜め、エモーショナルな一面も提示。中盤の「double dare」では絡み付くような歌声が響き、新たなacid android像をアピールした。また後半戦に入ると「purification」「amniotic」といったメロディアスなナンバーが続き、特に「amniotic」では小林の弾く美しいギターと共存する、柔らかさをにじませたヴォーカルがオーディエンスを酔わせていた。
クライマックスに近付くと今度は「violator」「balancing doll」といったライヴの定番曲が会場を揺らす流れに。イントロが響くたびに大きな歓声が沸き、場内の熱狂は何度もピークへ達する。またドライヴ感のあるギターと、ハイハットの軽やかな音が響く「egotistic ideal」では、yukihiroが観客の声を求めるようにフロアにマイクを向ける場面も。ラストナンバーの「violent parade」でyukihiroはステージの縁まで移動し、観客とのコミュニケーションを楽しむような仕草をみせていた。
全曲を歌い終えるとマイクを放り、一瞬だけフロアに視線を投げて颯爽とステージを降りていったyukihiro。約1時間半の圧倒的なライヴを体感した観客は、客電が点くや否や大歓声と拍手を誰もいなくなったステージへと浴びせかける。それは長い間止むことはなく、まるで新たなacid androidの誕生を祝福しているようだった。
(写真・岡田貴之)