2012.1.7
ViViD@日本武道館
ViViD LIVE 2012「TAKE OFF~Birth to the NEW WORLD~」
結成からわずか3年という驚くべきスピードで実現したViViDの初武道館ライブ。8000人の観客で埋め尽くされた日本武道館は、期待と興奮に満ちていた。
暗転と共に沸き起こる悲鳴のような歓声。そこかしこで瞬くルミカライト。ふいにステージ左手にのびた花道からスモークが噴出し、白一色の衣装に身を包んだKo-kiが登場! 予想外の登場に会場が沸き立つと、続く上手花道からはイヴが、さらに怜我、零乃、そしてステージ後方から白いハットを手にしたシンが姿を現す。
閃光の中、奏でられたのは“誰にでも無限の可能性がある”というメッセージがこめられた「「夢」~ムゲンノカナタ~」。無数のレーザーが会場を照らし、この日、一つの大きな夢を叶えた彼らをまぶしく照らし出す。
「武道館! 俺たちがViViDだ!」
怒涛の5曲を終え、この言葉を彼らはどんな気持ちで叫んだだろう。
「今日ここにいる一人一人に感謝の言葉を言いたい。一生に一度しかないViViD初の武道館、みんなと一緒に作っていきたいと思います」
披露されたのは、今日のライブタイトルとも重なる「Take-off」。開始直後に感じたわずかな堅さはあっという間に払拭され、いつものViViDらしい、はちきれんばかりのバイタリティに溢れたライブが展開される。「踊れ悪女ども!!!」というシンの叫びでタオルが大旋回し、「悪女♂トリッキー」「BLUE」で会場内はダンスフロアと化したのだった。
暗転し、一筋のスポットライトが照らし出したのはドラムのKo-kiの姿。この大舞台でメンバー最年少の彼が見せた渾身のドラムソロは圧倒的なパワーで客席に迫るものだった。最後の一打を終えた瞬間に沸き起こった歓声に、それまでの真剣な面持ちが消え、まるでいたずらっ子のように舌を出して親指を立てて見せる。
「risk」「CRISIS」、初披露となった「vanity」、そして「FAKE」…ViViDらしいROCKが炸裂したかと思えば、ピアノの音色が切なく響く「Trail of Tears」「Rem」、心の内側を曝け出すような「夏花」をしっとりと歌い上げ、その世界観を巧みに描き出す。どこまでも、いかようにも進化できそうな柔軟性を備えつつ、驚くほどの安定感を持ったライブは、武道館という大舞台でも揺らぐことがない。ラストは、ハードな重低音とメロディアスなギターが彩る切ないラブソング「キミコイ」で本編を締めくくった。
アンコール中、スクリーンに突如映し出されたのは、“Ko-KING”氏による恒例のグッズ紹介映像。マッスル、マダムキラー、ジャックナイフ、THE零乃というおなじみの豪華ゲスト(!)たちを迎え“ワンランク上の生活をお届けする通販生活”で会場を爆笑の渦に巻き込んだ。
「今日はめちゃめちゃ楽しいです! どうもありがとう」
すっかり和んだ会場のアンコールに、笑顔で姿を現した5人から次々に感謝の言葉を告げ、今日のこの景色を想像して歌詞を書いたというニューシングル「message」が贈られた。〈約束の景色はほらすぐそこに広がってる〉今まさに目の前に広がる景色を、彼らは万感の想いで見つめたに違いない。しっとりとした音色で感動に包まれた場内。しかし、もちろんこのままでは終わらない。「PRECIOUS」「Across The Bordes」「Survive」…彼らの代表曲とも言うべきナンバーを立て続けに響かせ、客席のボルテージは天井知らずに上がっていった。
「俺たちとお前たちで昔からずっと大事にしてきたこの曲を、一緒に歌ってください」
この日、ラストを飾ったのは名曲「Dear」。〈支え合って君と歩きたい どんな壁が立ちふさがっても〉…会場にいる8000人の大合唱が響き渡り、明るく照らし出された客席に特効のテープが高く高く舞う。大団円と言う言葉がまさに相応しいきらめくフィナーレに、ステージも、そして客席も今日一番の笑顔が溢れていた。
言わずもがな、日本武道館という場所は多くのアーティストにとって “聖地”である。ViViDというバンドはここに、わずか3年という驚異的なスピードで辿りついた。周囲が瞠目するその成長のスピードをもってしても、あまりに早い“聖地”への到達に、周囲からの反対や心ない誹謗中傷もあったことだろう。メンバーから語られた「武道館までの道のり」は決して平坦でも、近道でもなかったし、「不安で不安でたまらなかった」という言葉には、その苦悩が滲んでいた。けれどこの日、会場を埋め尽くしたオーディエンスとともに辿りついた一里塚は、彼らをさらに大きく飛躍させるものだったと確信している。次なる目標としてシンが明言した「東京ドームでのライブ」。この言葉はきっと確かな予言になることだろう。「TAKE OFF~Birth to the NEW WORLD~」まさしくタイトル通り、その日に向け新たな一歩を踏み出す一夜となった。
◆セットリスト◆
01.「夢」~ムゲンノカナタ~
02.カケラ
03.69-Ⅱ
04.Re:Load
05.Distance of Mind
06.Take-off
07.悪女♂トリッキー
08.BLUE
09.Trail of Tears
10.Rem
11.夏花
〈Dr SOLO〉
12.risk
13.CRISIS
14.vanity
15.FAKE
16.キミコイ
ENCORE
EN01.message
EN02.PRECIOUS
EN03.Across The Border
EN04.survive
EN05.Dear
(文・後藤るつ子)