2011.09.02
ν[NEU]@赤坂BLITZ
『東名阪 ONEMAN TOUR 2011“RED EMOTION”』
メジャーデビュー後初の東名阪ツアー「RED EMOTION」のファイナル。客席は、ルミカ付きの指輪を瞬かせたファンで埋め尽くされている。
デジタルロックをヴィジュアル系というジャンルに見事に溶け込ませた独自の音楽、そしてエレクトロニックな衣装やパフォーマンス。小規模のライヴハウスが多かったこれまでとは打って変わって、大きな会場で行われることによりν[NEU]の創り出す近未来的世界観は、より深いものになっていくに違いない、と期待を抱きながらの鑑賞だった。
青い閃光が放たれた異空間に5人のシルエットがゆらゆら浮かぶと、場内は歓声の渦に。幕が開くと、「RED EMOTION ~希望~」の真っ赤な衣装でメンバーが登場。初っ端から「PULSE」「existence“oblivion”」「アマオト」と、彼らの音楽性をぎゅっと凝縮した激しいナンバーを連発し、熱気が充満した会場をより熱くしていく。
「会いたかったぜ!」客席に向かってそう煽るVocal・みつ。ファンの証である指輪が一面にちらつく光景に、みつも大きな笑みを見せた。
そして名刺代わりとなるデビュー曲「RED EMOTION~希望~」、「ここまで来るのに、たくさんのもの、人を失った…」というみつの切なげな語りに乗せて披露された、ピアノの音色が叙情的に響くミディアムチューン「想」などが披露され、結成2年目ながら多彩な顔があることに改めて魅了される。ドラムソロからスタートした「GoSick」では、うねるようなギターに挑発的なボーカルでみるみる場内の空気が高まっていく。ファンを煽りながらもしばしば見つめ合うみつとGuitar・タクミが何とも熱っぽい。
メジャーデビュー後初の東名阪ツアーのファイナルが、ここ赤坂BLITZ。Bass・ヒィロの、「デビューが決まってからずっと赤坂BLITZのステージに立ちたかったので、今日はとても嬉しい」という言葉にもあるように、終始笑顔でパフォーマンスをする5人からは、このライヴへの特別な想いが感じられてならない。
さらに、「デビューして、たくさんの声をいただきました。『嬉しい』という声もあれば、『淋しい』という声も。でも、どの声もν[NEU]を好きでいるからこその声なんだと思うと嬉しかった」、「俺たち5人がν[NEU]なのではなく、ここにいるファン、来れないけどもエールを送ってくれているファン、関係者も含め、全員でν[NEU]なんです」など、随所でファンや周囲への感謝の想いを吐露するみつからは、希望だけでなくν[NEU]に対する強い覚悟を感じることができた。
後半戦は、「ReaL xxx」「in my secret…」「LIMIT」とお馴染みの激しい曲で畳み掛ける。攻撃的に煽り、拳を突き上げ応戦するファンと一体感を作り出していく。一変、振付がキュートな「ピンクマーブル」ではラップを披露するGuitar・華遊の姿も。「ν[NEU]では、焼肉屋でいうところのバニラアイスのような存在と言われた」という自身のMCのように、ν[NEU]の名脇役をしっかりと果たしていた。
アンコールではみつと楽器陣との掛け合いが楽しいポップチューン「スプラッシュ!」、今のν[NEU]を表すかのようなタイトルが冠された「New World」「START」を立て続けに披露。2度目のアンコールでは来春3月30日に赤坂BLITZでのワンマンと、2ndシングルのリリースも発表された。そしてラストは、本日2度目となる、彼らにとってもファンにとっても大切な1曲「RED EMOTION~希望~」。ファン1人1人を指差し、絆を確かめるように丁寧に歌いかけるみつの姿と、何度も連呼される「ありがとう」が印象的だった。
全編を通じて伝わってきたのは、支えてくれたファンへの感謝と、メジャーという新たなフィールドに向けての強い意欲。トランス、テクノ、ジャズなど多彩なジャンルを昇華させた個性的なサウンドに酔いしれながら、彼らの目指す“近未来”にトリップできたかのような一夜だった。
◆セットリスト◆
01. PULSE
02.existence”oblivion”
03.アマオト
04.RED EMOTION~希望~
05.エコー
06.恋模様
07.想
08.GoSick
09.壊れた夜、並べた嘘
10.E.Y.E
11.Cube(新曲)
12.ReaL xxx
13.ピンクマーブル
14.in my secret…
15.LIMIT
EN01.スプラッシュ!
EN02.New World
EN03.START
EN04.カレイドスコープ(新曲)
EN05.RED EMOTION~希望~
(文・竹村千代子)