PIERROT RESPECT 座談会(苑×松本誠治×miko)後編

2014年、8年ぶりのライブを行ったPIERROT。二日目は、キリトが真っ赤なエナメルの衣装で登場した瞬間から、前日をさらに上回る圧倒的な世界観で、さいたまスーパーアリーナを支配した。座談会後編は、歴史に残る名MCとなったキリトの「今を生きてください」という言葉についてなど、苑(摩天楼オペラ)、松本誠治(the telephones)、miko(exist✝trace)が、その思いをたっぷりと語ってくれた。

◆モンスターバンドってこのことだなって思いました(miko)

――さて、25日のライブですが、実際に観ることができたのが、mikoさん。そして、苑さんと松本さんにはダイジェスト映像をご覧になって頂きました。25日は「HEAVEN」からスタート。キリトさんは前日の白のスーツからガラッと変わって、赤いエナメルの衣装で登場しました。

miko:びっくりしましたね。やっぱりやってくれるなって感じですよね。キリトさんのそういうところが、おもしろいじゃないですか。今でもそれをちゃんとやってくれるのはすごく嬉しかったですね。出てきた瞬間から見せ方が一日目と全然違うなって思って。

苑:やっぱりヴィジュアル系バンドとしてはそういうところの意識を当たり前のようにしているっていうのが、さすがだなと思いますよね。

松本:セットリストに限らず、見た目という大きくそういう入り口から変えて、違う印象を付ける。しかも、一日で見た目を変える(※髪の色も黒から金髪に近い色に変わった)っていう、その努力というか労力のかけ方がさすがです。会場で観ていたら、わーきゃー言っていたでしょうね(笑)。

――25日のセットリストはいかがでしょうか?

松本:「ドラキュラ」を聴きたかったですね。

苑:聴きたかったですね。どうして二日目だったのかと。これって両日やっていい曲ですよね?

松本:二日間で、かぶらせないように作っていますよね。8曲しか、一日目とかぶってないですからね。20曲近く変わってくるわけで。

miko:リハーサルが本当に大変だったでしょうね。

松本:半端ないでしょ。

苑:自分がもしやったら、歌詞がパンパンです。

松本:しかもそれぞれ、自分のバンドが現在進行形で動いていて。

miko:さらに、レコーディングとかもやられていますよね?

松本:それがすごいなと思って。この時期に、曲を作っているバンドもいたろうにと思うと、頭が下がりますね。「神経がワレル暑い夜」も聴きたかったなぁ。

miko:私は「真っ赤な花」をかつてライブで聴いたことがあるんですけど、当時からライブでより良く変化している曲だなと思っていたんですけど、今回はエグさがすごく出ていて。歌の感じとか、これもう一回CDとして録り直してみるのもいいんじゃないかなと思ってしまいました。ヴィジョンの映像も気になりましたね。

松本:そういうのありますよね。「あ、ちょっと! もう一回カメラ止めて欲しいな」とか(笑)。

miko:ずっとお一人お一人が映りっぱなしの画面を(笑)! なんなら足元も!

松本:足元とか絶対見たいですよね。

miko:エフェクターやアンプとか細々拝見したいですね。今回、弦楽器陣も、新しいギターとベースが出ていて、それにもびっくりして。新しい楽器と過去の楽器を使い分けていて、すごいなと思って。

松本:TAKEOさんのドラムのパットの音源とかが当時のものが無かったらしくて、また作り直したらしいですよ。だから多分、今の自分達の耳で作っていくと、ちょっとずつ変わっていっているのかなと。特に、潤さんのギターシンセとかそんな感じが結構したんですよね。割りとアタッキーな部分があったような印象から、もっとシンセ感がふわっと出てきたりとか。それぞれの活動の中で自分が得たもので、再演するよりも新たにやっていく。あれをやっておけばいいっていう感じじゃないのがいいなって思って。

miko:それは無かったですね。現役感バリバリで、モンスターバンドってこのことだなって思いました。

◆「あ、この空気、俺また感じてる」って思ったのが、一番強い印象でしたね(苑)

――今回のライブで、特に思い入れがある1曲は?

松本:「ATENA」です。ライブが終わった後に話してくれた潤さんの言葉も込みで(笑)。僕が聴きたかった曲でもあり、潤さんのそういう思いもあったということが感動しました。

miko:私は「Adolf」ですね。一日目に「Adolf」を聴いた時に、今は私もミュージシャンだけど、悔しいぐらいすごすぎると思いました。ただ、一日目の「Adolf」では固まっていましたけど、二日目に「Adolf」が出てきた時に私の中で、ドカンと何かが切れたらしく、気付いたら手首をトントン(※振り)していました。

苑:トントンくると安心しますよね(笑)。

miko:これがPIERROTだ! って感じですよね。

松本:トントンってワードがおもしろいですね(笑)。象徴的ですよね。

苑:僕は「鬼と桜」かな。この日、本編とアンコールでキリトさんの歌い方がちょっと変わったような気がして。アンコールですごく伸びやかになったと思うんですよね。「鬼と桜」がものすごく声が伸びやかで。なおかつ世界観がピリっとする曲じゃないですか。そこで、「あ、この空気、俺また感じてる」って思ったのが、一番強い印象でしたね。

松本:確かにそういうのあったかもしれないですね。

苑:Aメロがピリっとするんですよね。空気がしんとする感じ。

miko:水面が見えるような。

苑:そうそうそう!

miko:私は初めてライブに行った西武ドームの時に、「鬼と桜」の印象が強すぎて、この曲を聴いて「このバンド、ヤバい!」って思ったんですね。イントロが始まった時に、音の塊みたいなものが、ヒュッって飛んできたように見えて。今回もさらにその上を行くぐらい、息を呑むような世界観でした。

――私は「クリア・スカイ」でした。あの曲を聴いている時に目の前に広がる世界があまりにも綺麗で、「これで終わりって言わないで欲しい」とすごく思ってしまって。こんなに美しくて喜びに溢れている世界を終わらせないで欲しいと願ってしまうくらい、胸がいっぱいになっていました。

◆その瞬間に言うべきこと、ナンバー1だったでしょうね(松本誠治)

――25日のキリトさんのMCについて語り合っていきたいと思います。キリトさんから「今を生きてください」というお話がありましたが、最初に「お願いがあります」という言い方をした時にドキッとしませんでしたか?

miko:すごく張り詰めていましたよね。「今を生きて欲しい」って、言葉だけ取ったら、それこそ誰もが言うようなことかもしれないですけど、PIERROTの活動があって、突然終わってしまって、8年それぞれが懸命になって活動してきてという流れがあって、あの言葉というのはすごく大きかったと思います。ファンにこの8年間を納得させるとか、ここで良いことを言おうとかそういうのではなくて、たぶん本当にキリトさんがファンに伝えたいことだったと思うんですね。きっと8年間いろんな言葉をファンからもらってきて、そこに対しての、本当のキリトさんの気持ちというか。カリスマなライブをしてきたキリトさんが、そこで一人の人間にスッとなって、一人の人間としての言葉だったから、みんな心に入ったんじゃないかなと思うし。さらけ出している感じというか、8年前だったらこういうキリトさんは見られなかったんだろうなと思いました。

松本:可能性みたいな話だなと思って。続ける、やる、するべきことをしていくということは、可能性だなっていうふうに取れたというか。だから続ける、続けられることはみな続けるべきだみたいな。それはどの職に限らず、人であるならばみたいな感覚というか、そういうもの。今ってそういうもの。一瞬一瞬っていう話を詰めていくと、永久に終わらないけど。やるやると言っていてやっていないことって、実際まだあったり。そういうことを、少しずつこなしていく。それが今だから。君がやるべき今だから。それが生きていくっていうことになっていく、そういうふうに僕は受け止めました。あの場にいた1万8千人が、それぞれどういう意味で受け取ったかはわからないですけど、その1万8千人の理解度で、やっていけばいいというか、みんな同じものじゃなくていいからっていう感覚でいいのかなと。今回は、Angelo、LM.C、ALvino、それぞれのファンが集まっていたと思うんですよ。 3バンドのファンが集まっているからこそ、改めて、このメンバーが現在進行形の場所を持って集まったっていうバンドだということを言いたいというのもあったのかなと。それも今じゃなかったら、言わなかったかもしれないですね。間違いなく、その瞬間に言うべきこと、ナンバー1だったでしょうね。

苑:僕も「今を生きろ」ということはファンに伝えたことがあります。摩天楼オペラの歌詞も、前のめりに生きる! というのが多いですし。たぶん今をちゃんと自分で認識して「よし! 生きるぞ!」というのは非常に勇気がいるし、難しいことだと思うんです。過去の記憶とかの方が自分に優しいし。未来に向かっている時の自分の方が活力があるから、今を見なくてもがんばれちゃうじゃないですか。今を見つめ直すっていうのは本当に難しいことだと思うので、キリトさんみたいな方が、来てくれた1万8千人の人に、今を見つめるんだっていう話をしたことって、みんなをすごく勇気付けると思うんですよね。とにかく自分の今を生きてくれっていうのが、言いたいことだったのかなと思いました。

――PIERROTがこれで終わりという明言はありませんでした。その辺りはどうお考えでしょうか?

miko:これが一番いいと思います。PIERROTらしくないですか?

松本:やりたい時にやってくれたらいいかな。もちろん期待はいっぱいあるけど、でも僕らが期待するって言って「じゃあやりますよ!」というタイプでもないかなと。

苑:そうですね。現在進行形のバンドのファンがかわいそうになっちゃうし。

松本:いい意味でまた出会えたらいいかなって。可能性があるだけでも嬉しいので、「じゃあまたあるかもしれないですね、また唐突に告知してください」と思っています。

――2014年4月12日に、“DICTATORS CIRCUS FINAL -I SAID HELLO-/ -BIRTHDAY-”というタイトルが出て、いろいろなことを考えてきましたが、改めてこのタイトルについては、いかがでしょうか?

松本:FINAL的なものには一切触れていないイメージですよね。

苑:もしかしたら、これで最後かもしれないってことですものね。どう取られるかわからないですもん。

松本:ズルいなー(笑)。

miko:結局、転がされるのが好きというか、そんな気がするんですよね(笑)。

全員:(爆笑)

松本:それはわかります(笑)。

miko:ライブにたくさん行っていた時も、変なことが突然いっぱい舞い込んできて。でもそれがおもしろかった。突然、ライブやります! とか、“FINAL”とか、やっぱり転がされておもしろいし、楽しいですね。

――苑さん、新曲はありませんでしたが(苦笑)。

苑:そこなんですよ! 会場に行ってみたら、新曲のシングルがあったりするのかな? と思ったんですけど(笑)。

松本:すっげーわかります、それ(笑)。

苑:PIERROTは斜め上のアイディアをやってくるじゃないですか。それをこちらも斜め上で予想するんですけど、椅子にシングルが置いてあるぐらいの感じかなと思っていたんですけど…ダメだ! ちょっと苦情っぽい(笑)。

全員:(爆笑)

――最後に、PIERROTのメンバーにメッセージをお願いします。

苑:僕が憧れていたバンド、PIERROTは今も変わらずそこに在りました。二日間だけでもやってくれて、ありがとうございます。

松本:みなさんとんでもないスケジュールの中、これをやり通して終えた今。それぞれのバンドに期待しつつ、またPIERROTをやって欲しいなと思っています。本当に楽しい二日間でしたよね。

miko:私は、バンドで曲を作っている身として、自分の作った楽曲が埋もれて過去のものになってしまうことに恐怖心があるんです。今回、PIERROTのライブを観て、たくさんあるPIERROTの曲達が生きた曲としてまた戻ってきたというのが、すごく嬉しくて。またこの先も聴ける可能性がある。ちょっと気が向いたら、またPIERROTをやってくれたら有り難いなと思います。そして、大尊敬しているバンドのライブを、exist✝traceの私の大事なメンバー達を連れて全員で二日間を観たんですけど、あの時間をメンバーと共有できたこともすごく嬉しかったです。この先も、それぞれの活動もPIERROTも期待しています。

――PIERROTの復活をきっかけにこうして出会えたことも本当に奇跡みたいでしたね。ぜひ、将来的にみなさんで、イベントやライブなどをやって欲しいです。

全員:やりたい! やりたいです!!

miko:この3バンドはありな気がしますし。ここにいらっしゃらない、“PIERROT RESPECT”に登場された方もぜひ!

――8人揃ったらいいですね。“PIERROT RESPECT”を読んで、PIERROTが好きなことはもちろん、それぞれのバンドに興味を持ったという感想がとても多いので、その思いを繋げて欲しいと願っています。私はPIERROTがまた観られたらいいなと思うのと同時に、“PIERROT RESPECT”に登場していただいたバンドが揃って、いつかどこかで何かをやる時を楽しみにしていたいと思います。本当にありがとうございました。

(文・武村貴世子/編集・金多賀歩美)

※本文中に登場したPIERROTの楽曲・作品(発売日順)

1996.7.21
Indies 1st Album『パンドラの匣』
01. 自殺の理由
02. 青い空の下…
03. 利己的な遺伝子
04. KEY WORD
05. ドラキュラ
06. 満月に照らされた最後の言葉
07. Far East~大陸に向かって~
08. メギドの丘
09. SEPIA
10. 「天と地」と「0と1」と
1997.9.3
Indies 2nd Mini Album『CELLULOID』
01. セルロイド
02. Adolf
03. 脳内モルヒネ
04. Twelve
05. 鬼と桜
06. HUMAN GATE
1998.9.10
Major 1st Single『クリア・スカイ』
01. クリア・スカイ
02. 蜘蛛の意図
2000.9.27
Major 7th Single『神経がワレル暑い夜』
01. 神経がワレル暑い夜
02. 神経がワレタ寒い夜
03. *自主規制
2000.11.22
Major 2nd Album『PRIVATE ENEMY』
01. THE FIRST CRY IN HADES (GUILTY)
02. CREATURE
03. ENEMY
04. MASS GAME
05. 不謹慎な恋
06. AGITATOR
07. Waltz
08. パウダースノウ
09. ゲルニカ
10. FOLLOWER
11. Analyze Chat「FREAKS」
12. FREAKS
13. ATENA
14. 神経がワレル暑い夜
15. THE LAST CRY IN HADES (NOT GUILTY)
2001.11.21
Major 9th Single『COCOON』
01. COCOON
02. 真っ赤な花
03. サルビア
2002.4.24
Major 3rd Album『HEAVEN THE CUSTOMIZED LAND SCAPE』
00. PARADOX
01. HEAVEN
02. 新月
03. DRAMATIC NEO ANNIVERSARY
04. HOME SICK
05. LOVE & PEACE
06. COCOON
07. BELIEVER
08. AUTOMATION AIR
09. 壊れていくこの世界で
10. OVER DOSE
11. REBIRTH DAY
12. BIRTHDAY
13. SUPER STRING THEORY

摩天楼オペラ

■オフィシャルサイト
http://matenrou-opera.jp/


【リリース情報】
New Single『致命傷』
2014年10月29日(水)発売
(King Records =music=)


KICM.91555
¥463+税


【ライブ情報】
●「MATENROU OPERA COUNTDOWN LIVE 2014~2015 第一夜」
12月30日(火)AiiA Theater Tokyo

●「MATENROU OPERA COUNTDOWN LIVE 2014~2015 第二夜」
12月31日(水)AiiA Theater Tokyo

●イベントライブ
Jupiter Presents「The Wishing Ceremony」Vol.2
2015年1月10日(土)新宿ReNY

the telephones

■オフィシャルサイト
http://thetelephones.net/


【リリース情報】
New Album『SUPER HIGH TENSION!!!』
2014年6月4日(水)発売
(Virgin Records)

『SUPER HIGH TENSION!!!』
初回限定盤
(CD+DVD)
紙ジャケット仕様
TYCT-69019
¥3,780(tax in)
『SUPER HIGH TENSION!!!』
通常盤
(CD)
初回限定紙ジャケット仕様
TYCT-69021
¥2,980(tax in)
TYCT-69037
¥2,980(tax in)


【ライブ情報】
●「~Japan Tour 2014~ “SUPER HIGH TENSION DISCO!!!”Are You SAITAMA?」
11月30日(日)西川口Hearts(※9月20日の振替公演)
12月1日(月)越谷EASY GOINGS(※9月18日の振替公演)

●「SUPER DISCO Hits 9 !!! CENTER OF THE DISCO!!!〜TDCの真ん中でDISCOを叫ぶ〜」
12月23日(日・祝)TOKYO DOME CITY HALL

●イベントライブ
「“Next Bullet Marks Tour 2014″」(9mm Parabellum Bullet ツアーゲスト出演)
12月11日(木)新木場スタジオコースト
「ROCKIN’ON PRESENTS COUNTDOWN JAPAN 14/15」
12月28日(日)幕張メッセ国際展示場1~11ホール、イベントホール(千葉市美浜区)
「Livemasters Inc. countdown “GT2015″」
12月31日(水)Zepp DiverCity

exist†trace

■オフィシャルサイト
http://www.exist-trace.com/


【リリース情報】
New Album『WORLD MAKER』
2014年9月24日(水)発売
(発売元:Monster’s inc./販売元:ONG DISTRIBUTION)


初回限定盤
(CD+DVD)
MOCD-1907/A
¥3,500+税

通常盤
(CD)
MOCD-1907/B
¥2,800+税


【ライブ情報】
●「激情スパイラル FINAL –WORLD MAKERS-」
12月14日(日)TSUTAYA O-WEST