特集-Special Feature-

sukekiyo

sukekiyo

謎多きバンド「sukekiyo」。その1stアルバム『IMMORTALIS』に垣間見る彼らの深遠なる美と歪みの世界。唯一無二の音楽の魅力に迫る!

DIR EN GREYの京(Vo)のソロプロジェクトとして結成されたバンド「sukekiyo」。これまでに行ったライブはわずか2回、しかもいずれもシークレットという、あまりに謎多きこのバンドが、このたび1stアルバム『IMMORTALIS』を完成させた。「不死」を意味するこの作品に収められた全16曲は、美しくも歪んだ異世界を見せてくれる。今回は、sukekiyoというバンド、そしてこの作品について、Vif初登場となる京とYUCHI(B)にたっぷりと語ってもらった。

◆みんな変態です(京)

――京さんが、ご自身のソロプロジェクトにYUCHIさんを誘ったきっかけを教えてください。

京:変態を探してたら近くにいたんです。

YUCHI:あ! そうなんですね!?

京:ザクッと言うと、そう。まぁ音楽の話をしたときに話が合ったんで、「こいつは変態だな」と思って声をかけたんです。


――変態認定がきっかけとは(笑)。YUCHIさんはバンドに誘われていかがでしたか?

YUCHI:かなり前から京さんとギターの匠さんで曲作りをしていたみたいで、声をかけていただいたときも、まず曲を聴かせてくれたんですけど、すごくかっこいいなと思って。

――曲の第一印象は?

YUCHI:このアルバムの中に入っている曲もあったんですが、まず日本で聴いたことがない感じだなと。僕は国内外、どちらの音楽も好きなんですけど、普段聴くのは国外の方が多いんです。その音楽に、近いというよりリンクする箇所があって。僕が今まで音楽をやってきて、ここまで突き詰めたものをやったことがなかったので、チャレンジしてみたいと思いました。ベーシストとしても絶対面白いものができるなと。

――なるほど。先ほどYUCHIさん変態説が出ましたが、他の方はどうなんでしょう?

京:みんな変態ですね。匠はカチカチ病っていうのにかかってるんですけど…

――カチカチ病?

京:すごく神経質っていうか…僕なんてフワッフワしているので、彼のカチカチ病のおかげで大分助かってるんですよ。

――フワッフワの京さんが、カチカチ病の匠さんに声をかけたいきさつというのは?

京:元々DIR EN GREYのマニピュレーターをやってくれていたんです。匠がRENTRER EN SOIの時から仲が良かったし、自分が思っている音や世界感を形にしてくれるので、絶対一緒にやりたいと思ってました。二人で曲を作り始めたときは、いつ発表するかとか何も決めずに、遊び感覚でやっていたんです。無理やり付き合わせていたというか。

――それはいつ頃から?

京: 5年くらい前かな。空いている時に1か月に1回くらい会って。

――それをソロプロジェクトとしてやっていこうと思ったのはいつ頃だったんでしょう?

京:ソロはずっとやりたいと思っていたんですけど、1年くらい前から本格的にやろうと思って、作りためていた曲を各メンバーに渡して。「好きなように音を入れて」って言ったら良い化学反応が起こったんです。

――その段階で何曲くらいあったんですか?

京:5曲くらいかな。

YUCHI:原曲はもっとたくさんありましたよね。

京:うん。手を付けてない曲もいっぱいあるんですけど、みんなが音を入れて、没になったものがほぼなかったんです。本当はあんまり良くないのかな。もっともっとたくさんの曲に手を付けて、何十曲もある中から厳選する、みたいな方が良いのかもしれないけど、その必要がないくらい1曲ずつできあがってきて「お、いいねいいね、これやろう」「こっちもやろう」となったんです。

◆ずっと死なないアルバム(YUCHI)

――「sukekiyo」という名前は横溝正史の『犬上家の一族』から付けたんですか?

京:はい。元々好きで。謎な人物じゃないですか。みんながあの覆面の人を想像するけど実態はよくわからない。そこがこのバンドの、激しいのか、大人しいのか、ジャンルが全然わからないところに通じるし、「ないものを作ろう、何をしでかすかわからないものにしよう」っていうバンドのコンセプト的に合うかなと。あと、すげーダサいところが気に入ってるんですよね。

――衝撃的な発言ですね。


京:だって、これでフランス語のバンド名とかだったら、すごくイキってる感じがするじゃないですか。激しいバンドだったら、ロゴもギザギザしていて字面からして激しかったりして、バンド名を見るとそのバンドのイメージが浮かびますよね。sukekiyoは、そういうのも全部フラットにした感じがドンピシャでハマったんです。そういう意味でも良いダサさなんですよね。

――YUCHIさんはバンド名は最初から聞かされたんですか?

YUCHI:最初、バンド名はわからなかったんです。初めに曲を聴いて、その後、匠さんから追加のデモ曲があるからって送られてきたんですけど、そのフォルダに「sukekiyo」って書いてあって…。でも、「バンド名はsukekiyoでいいんですか?」って聞くのもナンセンスだと思っていたんです。で、作業が進んでいくうちに、「sukekiyoの曲やけど…」って言われて「あ、やっぱりそうなんだ…」と(笑)。

京:メンバーが誰もバンド名の由来を聞いてこないんですよね。「そこ触れちゃダメ!」みたいな空気が流れてるのかもしれないけど。

YUCHI:かもしれないですね。

京:カチカチ病の匠ですら聞いてこないからな…。

YUCHI:匠さん、細かいところも確認する人なのに(笑)。でも、「sukekiyo」っていう言葉の不思議な感じは、京さんから出てきても不思議じゃないなと思うし、違和感はなかったですね。

――京さんが描くキャラクター「ゼメキス家」のライミちゃんにも「犬神」の文字がありますしね。ところで、『犬神家の一族』の佐清(スケキヨ)と言えば、あの独特の死が印象に残りますが、「不死」を意味する今回のアルバムタイトルは、その反語なのでしょうか。

京:いや、たまたまです。僕は個人的に、ヴォーカリストの別プロジェクトとか別ユニットをあまり良いとは思わないんですけど、だからこそ、今回揺るがないものを作れた自信とか、初めに思い描いていた以上のものができたという意味を込めて「不死」というタイトルを付けました。

YUCHI:この作品は時代を問わず聴けるし、時代とか世界に捕らわれていない気がするんです。トレンドに捕らわれてもいないし、廃れた何かでもない。そういう意味でずっと死なないアルバムという感覚はあります。

――ギターやベースは、特に時代が出やすい楽器ですが、時代を感じさせない音作りは難しかったのでは?

YUCHI:そうですね。でも、普段聴いている音楽が時代感よりもその人たちの価値観を優先して作られている感じがしたので、制作で強く意識はしませんでした。

――それにしても今回、この5人で初めて一緒に音楽を作るにあたって、いきなり16曲入りのフルアルバムということに驚きました。


京:でも僕、全然大変じゃなかったです。むしろ2枚組にしたかったくらい。今回は初回生産限定盤のDISC 2(全11アーティストによるリミックスやコラボレーション楽曲が収録)があって、参加してくれるアーティストの方に早めに音を渡さなきゃいけないからできなかったけど、それがなかったらきっと2枚組になっていたと思います。曲を出し初めて3~4か月くらいで作業は全部終わっていたし。

――驚異的な速さですね。

京:僕も速いなーと思ってたんですよ。他のメンバーの作業もすごく速くて、「sukekiyoのスピード感てこういう感じなんや」と。あと、作ってきたままの尺に、皆が好きな音を入れてそれがそのまま形になっていたりするんです。変にいじらなくても、それだけでsukekiyoなりの変な歪な感じが出ていたから、それがまた面白くて。

――それは全員のベクトルが同じ方向を向いていたということですね。

YUCHI:そうですね。それに、全く何もないところから作ったんじゃなくて、最初にあった5曲がヒントになっていたので、作りやすかったです。京さんからいろんなヒントももらいましたし。…とは言え早いですよね。もうフルアルバムができたんだ、という不思議な感じです。

――DIR EN GREYやkannivalismと比較するとこの速度は?

京:こんなスピードではできないです。

YUCHI:いろいろ話し合いながら、少しずつできあがっていく場合が多いので。

京:みんなで話し込んで決め込んだアルバムではないけど、それが良い方に混じって行ったので良かったかなと。

――自由度がとても高かったんですね。

京:めっちゃ自由ですよ。僕、あれがダメ、これがダメって言わないんで。自由に自分の色を出してくださいと。もちろん、「ここのコードを変えて」とか、「ここ、ギター同士暴れ過ぎてるよ? どっちか引っ込めよう?」とかはありますけど、そこはカチカチ君が頑張ってくれたので。

YUCHI:上手くまとめあげてくれましたよね。

京:うん。僕がふわっとしてる分、見えないところでカチッとしてくれるから助かります。