特集-Special Feature-

MIMIZUQ

MIMIZUQ

MIMIZUQが放つ1stアルバム『ナミダQUARTET』。4人の個性が絡まり合って生み出される“ナミダミュージック”の音世界――

CASCADEのTAMA(Vo)、Psycho le CémuのAYA(道化)とseek(B)、元Hysteric Blueの楠瀬タクヤ(Dr)という意外な顔ぶれとヴィジュアルで、結成のニュースと共に話題をさらった4ピースバンド・MIMIZUQ。彼らが奏でるのは、AYA曰く「映画を観たような泣ける音楽」を称した“ナミダミュージック”。結成からわずか9ヵ月で完成した1stフルアルバム『ナミダQUARTET』には、長きに渡って音楽を生み出し続けてきた4人の個性が作り上げた、唯一無二の音楽がギュッと詰め込まれている。幕開けから最後の1曲まで、様々な表情を見せる映画のような1枚の描き出す世界にぜひともじっくり浸っていただきたい。

◆バンドに誘われた時、すごくワクワクした(TAMA)

TAMA

――Vif初登場ということで、隣のメンバー紹介をお願いします。

楠瀬タクヤ(以下タクヤ):TAMAさんは少年のような方で、年齢的には先輩ですけど、同じ目線でバンドをやれるプレイヤーです。いつもTAMAさんを一言で表すときは妖精って言っているんですけど、ヴォーカルとしてのスキルも併せて言うと少年かな。少年性を持った大人です。

TAMA:seek君は、僕が人生の中で会ったバンドをやっている人の中で、一番キッチリしている人です。僕は頑張っても一度に三つくらいが限界なのに、ベースシストで、コンポーザーで、一度に五つくらいのことができる。いろんなことができて、いろんな人と話ができる、スーパー協調性のある人です。

seek:人生の中でこんなに褒められたことないですよ(笑)。

タクヤ:バンドマンは1万人いると言われていますけど、seek君が一番ですからね!

seek:ありがとうございます。ではAYA君を紹介しますね。AYA君とは20年以上一緒にいるんですけど、MIMIZUQでは道化というパートをやっておられるということで。僕はこういうパートの人に初めて会ったので、何をするのかよく知らないんですけどね。

AYA:(笑)

seek:でも、今AYA君を見ている限りでは、MIMIZUQのライブを観に来てくださった方が誰でも楽しめる空間作りのために、いろんなパフォーマンスをされていて素敵だなと思います。アイディアマンなのでいろんな案を出してくれますし、MIMIZUQのストーリー性や衣装、キャラクターと、トータル的な方向性を考えてくれる人です。

――なぜ道化なんでしょう?

AYA:何でなんでしょうね(笑)。この4人でやるとなったらそうかなと思ったんです。

タクヤ:この辺のアンテナが人とは違いますよね。知れば知るほどすごい人だと思います。

seek:でも道化って言われて、スタッフチームが皆キョトンとしていましたからね。「え、ギター持ってますけど?」って。

全員:(笑)

AYA:では僕はタクヤ君を紹介しますね。タクヤ君は音楽的な面はもちろんですが、人を伸ばすのがすごく上手いんです。褒めてくれるので悪い気はせんなと(笑)。

――褒めて伸ばすタイプなんですね。

AYA:そうそう、それがすごく上手くて。このバンドを始めてから半年ですけど、楽器を始め、みんな色々伸びた気がします。一緒にスタジオに入っても伸びるし、生き方を見ていても学ぶべきところがたくさんある。年下なんですけどね。

TAMA:彼の意見は素直に心に入ってくるし、迷いがなくなるんですよ。だからレコーディングでも思い切って自分を解放できる。ドラマーとしてもコンポーザーとしてもすごいんですけど、人のことを伸ばす天才かもしれないです。

――この他己紹介で4人がお互いをリスペクトし合っていることが伝わってきました。

seek:バンドって意外とそこが一番大事だったりするんですよ。長く一緒にいると尊敬できる部分が段々見えなくなって来たりしますからね。

タクヤ:この歳までバンドでサバイブしているというだけでリスペクトがあります。

――タクヤさんによるとMIMIZUQは朗らかなバンドだそうですね。

タクヤ:そうなんです。もしかすると元はそうじゃなかった人もいるのかもしれないけど、石ころが転がって丸くなるというか、朗らかであることが自分にとっても周りにとっても良いことだと知っているんでしょうね。あとは関西人の集まりっていうこともあるかも。京都(TAMA)、大阪(タクヤ)、姫路(AYA、seek)で三都物語です(笑)。

seek:ほんまは神戸にしたいところですけど、姫路っていうね。

AYA:神戸って言いたいなー。

タクヤ:こういうノリがいいですよね(笑)。

――実に朗らかです(笑)。それにしても、これだけのキャリアの持ち主である関西出身の4人が東京でバンド結成するというのはなかなかの奇跡ですね。

タクヤ:ほんまですよ。元々知り合いでもなかったのに。

seek:最初に僕とAYA君で新たな音楽を作るためにバンドを組みたいなという話になりまして。まずは僕らが学生の頃からファンだったTAMAさんの声で音楽を作ってみたいという気持ちが一番大きかったんです。TAMAさんとは15年くらい前から面識があったんですけど、これまで一緒にご飯に行ったこともなかったので、まずはそこからでした。

TAMA:突然でしたね。最初はイベントのお誘いだったんです。その時、ドストレートに「こういうバンドをやろうと思っていまして。ぜひヴォーカルを」と言われてびっくりしました。「バンドを作って正式メンバーって!」と思って。その時は冷静を装っていたんですけど、その場ですぐに「よし、やろうぜ!」って言うのも何も考えていないみたいじゃないですか。なので、ちょっとトイレに行って冷静になって(笑)。ただ、自分は何でも直観で決めるんですけど、その時すごくワクワクしたんです。自分自身も新しいものをやってみたいという時期でもあったし、興味もあった。Psycho le Cémuのライブも見せてもらっていて、あれは緻密に振り切ってやっているんだと本能的に判断したんでしょうね。できるだけ早めに返事をしようと思って、考えた振りをして電話で前向きにやりたい方向で考えていると伝えました。その後AYA君と3人で食事に行ったんです。

AYA:僕はTAMAさんとちゃんとお話ししたのはその時が初めてなんですよ。

seek:AYA君はバンド界のレアキャラで、なかなか出会えないですからね(笑)。そこからドラマーはどういう方が良いかなという話になって。これまで自分たちはヴィジュアル系の世界でいろんな音楽をやってきたんですけど、きっちり作品として音楽を聴いていただけるものを作っていきたいというところで、タクヤ君のコンポーザーの部分や音楽的に素晴らしい部分に惹かれて声をかけたんです。

タクヤ:ヴィジュアル系は好きなジャンルだし、その第一人者の人たちとやれるチャンスだ! たくさんのドラマーの中から僕を指名してくれてありがとう!と思いました。でも仕事が立て込んでいて、すごく忙しかったからスケジュール面での不安があって。僕はトイレ1回じゃないくらいの期間返事を待ってもらいました(笑)。

――決め手はなんだったんでしょう?

タクヤ:この3人を想像した時に、僕が入ったら面白いなと思ったんです。どこどこのヴィジュアル系バンドの誰々、じゃなくて、「え、ヒスブル? あのポップスの? あいつできんの?」みたいなやつが、この3人にどう料理してもらえるのか。結果が想像できる他の誰かより、僕の方がこのバンドには絶対良いって思ったんですよ。

seek:最初、タクヤ君がどれだけチャレンジ精神を持ってくれるのかなと思っていたんですけど、思っていた以上にすごくて。僕らからすればタクヤ君はすごくキャリアの長い人だから、「いやいや、狸にはなれませんよ」って言われることを想像していたんです(笑)。でも、どうせやるならとことんやりたいからと、メイクも衣装もライブのパフォーマンスで踊るシーンも一緒に楽しんでやってくれる。良かったなと思います。

――AYAさんとseekさんに料理されると相当振り切ったことになると思うのですが、それに柔軟に対応するTAMAさんとタクヤさんもすごいですね。

TAMA:衣装もここまでガッチリ作ったことがなかったから衝撃的でしたけどね。

タクヤ:新しい一面を引き出してもらえているなと思います。

◆映画を観たような泣ける音楽、落ち着いて聴けるような音楽を作れたら(AYA)

AYA

――MIMIZUQという名前にはどういう意味を込めたんですか?

seek:TAMAさんの名字が玉水さんで、僕が白水、AYA君が大川さんで、タクヤ君が楠瀬君。みんな水にまつわる文字が入っているので、バンド名にも水が入っていたらいいねということと、TAMAさんが動物にまつわるバンド名がカッコイイと言っていたので、それが合わさったところがMIMIZUQです。水にまつわるエピソードが多くて、最初の写真撮影日が2018年の梅雨入りの日だったり、たまたま水曜日だったり。

TAMA:僕は晴れ男なんですけど、やっぱり水が揃うとね…(笑)。

seek:水属性のバンドですからね(笑)。このバンド名もサクッと決まって、バンドのコンセプチュアルな部分を固めている時にAYA君がナミダミュージックというのを持ってきたんです。

AYA:泣けるバンドを作りたいなと思って。最近ノリを気にするバンドさんが多い中で、映画を観たような泣ける音楽、落ち着いて聴けるような音楽を作れたらいいんじゃないかなと。あと、TAMAさんの声はポップなんですけど、切ない儚い感じが合うと思ったんです。

――MIMIZUQの楽曲はTAMAさんのそういう面を見事に引き出している気がしました。

TAMA:楽しかった後って寂しくなったり、感動して泣いたり、いろんな感情があると思うんですけど、それを解釈して自分の思いを込めて歌いました。

――アルバムを聴き終えた後、1本の映画を観終えたような気持ちになりました。情景が浮かぶ1枚だからなのかもしれませんね。

AYA:すごく嬉しいです。

seek:それが一番だと思います。今回のアルバムは、結成して、衣装が出来上がって、撮影して、ジャケットを撮る中で、一つひとつ自分たちらしい面白い作品が作れているという感じがあって。例えば、梅雨入りの日に渋谷でロケをしたんですけど、これが難しいところで、すごく雨が降っていても晴れていても困る。でも現場で、バックにはまだ傘をさして歩いている人がいて、僕らは傘をさしていないという不思議な画が撮れたんです。1枚目の作品なので、コンセプトが伝わりやすいように森をテーマにしたんですけど、こんな素敵な画はなかなか撮れないだろうと思いました。デザイナーさんやカメラマンさんも含め、MIMIZUQとしての世界観はこの半年間で急速に出来た気がしますし、自分たちらしさというバンドとしての画があって、それが具現化できているのは楽しいです。夜中からメイクして朝撮ったりして大変ですけどね(笑)。

AYA:夜明け前撮影というのがあって、終電で集まって前の日の夜からメイクしたんです。このバンドならではですね。

TAMA:僕はこれまで、夜中からメイクというのはしたことがなくて。撮影が終わった後4人で食べたラーメンの味が忘れられない! 寒かったし、歩き回った後だし、美味かった~!

seek:MIMIZUQは今のところ何かにつけて歩き回ることが多いですね。ブレーメンではないですけど、4匹が連なって音楽を作って行く旅が画になりやすいのかなと思います。

タクヤ:僕も終電で集まるというのは初めてだったんですけど、撮影が長いのに、みんなテキパキ動いていて、段取りも大幅にズレることなく、優秀でした。

seek:みんな大人ですよ。時間を守るし、疲れて寝落ちはしても不平不満を言うこともないし。そして最後は一杯のラーメンで一つになれる(笑)。バンドらしいなと思いますね。この歳になるとそういう機会ってなかなかなくなるんですけど、こういうのがバンドの醍醐味なのかなと思います。

――結成から8ヵ月経って、MIMIZUQは思い描いていた通りのバンドになっていると感じますか?

seek:AYA君が最初に地図のようなものを描いていて、その方向性からは大きくズレていないと思います。ただ、6月に結成して、いきなりワンマンをやりますと発表したものの、曲がないところからのスタートだったので慌ただしかったですね。そして、ライブができるだけの曲数を作らないといかんという中で、徳間ジャパンさんから「アルバムを出しませんか」というお話をいただいて。

――この速さでのメジャーデビューも、AYAさんの地図に書き込まれていたんですか?

AYA:いやいや、全然! 曲自体はワンマンライブに向けて作っていたので、アルバムを作る前から心の準備はできていたんですけどね。

seek:何なら録り始めていましたからね。そういう部分に皆のプロの部分が出ていたのかなと思います。イメージするスピード感ってすごく大切で、みんなが「こういうものが出来上がっていくんだ」とイメージできているかどうかで変わってくるんですよ。普通に考えたら結成から1年経たずにフルアルバムを作れるというのはすごいことですからね。そして、メジャーデビューはとてもありがたいんですけど、バンドとしてはまだまだこれからなので、バンドとしての経験をこれからもっともっと増やしていきたいなと思っています。みんな忙しいですけど、できるだけMIMIZUQに関わる時間を作りたい。メジャーデビューは、みんながこれまで頑張ってきたキャリアに対してお声がけをいただいたというニュアンスが強いので、自分たちがこれからどういうものを作品として残せるかということが重要なのかなと思います。

――メジャーデビュー以外にも意外な発見や展開はありましたか?

AYA:バンドとしてやりたいことはできているし、方向も段々定まってきているなと思うんですけど、想定外だったのは、ワンマンをやっていて中盤部分が良いバンドだなと思ったことですね。普通のバンドだったら落としゾーンでお客さんがダレてしまうところなんですけど、逆に引き込めているなと思うことがあって。これはMIMIZUQの武器なのではと思うようになりました。

seek:イメージ的にTAMAさんはCASCADEではポップスターなんですけど、ライブが始まってから、MIMIZUQのTAMAさんでしか出せない声の質感や、表現できない部分が出ているなと思いました。

TAMA:今、ワンマンでやっている曲に起承転結ができかけてきている感じがします。AYA君が言っていたように、中盤部分が良いということもあって、ライブで盛り上がれる曲もあるし、押し引きがちゃんとできているから、もっともっと濾過していきたいと思っています。MIMIZUQは、4人の聴いてきた音楽が近かったのかなと思いますね。だから、自分にこの曲は合わないなと思ったことはないんです。このアルバムができて、これからさらに曲がどんどん生まれていくと思いますし、ライブもドラマティックになっていくと思います。

――ライブを観て、緻密な計算の上に成り立っているコンセプチュアルなバンドという印象を受けました。

seek:おや、緻密なんですかねAYAさん。大体油そばのことしか考えてませんけどね。

AYA:いやいや、全部計算や(笑)。

TAMA:飯の話をよくしているんですよ(笑)。ミーティングの帰り道に、「今日、何食べます?」って聞いてきて。「あ、さっきのミーティングの話じゃないんや」って思うんです(笑)。

seek:でもこういうところもステージに出ているのかもしれないですね。MCの部分は結構自由だったりするので、コンセプチュアルなんだけど人間味がある。そのあたりが関西人の部分なのかなと思います。