特集-Special Feature-

◆人時くんとの関係はもう例え黒夢がなくても大丈夫

――最近の清春さんと人時さんは傍から見ていてほっこりする仲の良さですが、いつ頃から今のような関係性になり始めたんでしょうか?

清春:去年くらいまでは、ここまででもなかった気がするな。どこかでsadsって“アンチ黒夢”で黒夢に対してのカウンターだから、僕、sadsやってる時はsadsだし、『Headache and Dub Reel Inch』を作った時はまだ三代さん(アレンジャー)が間にいないと成立しにくいところもあった。代々木(2011年2月26日、国立代々木競技場第一体育館での完全復活ライブ)が終わって、Zepp何本かやって、武道館(2012年1月13日)やって…それ以降かな。前に戻ったというか、むしろ大昔に知り合った頃よりも良い。なんか不思議な関係です。二人しかいないから、僕と人時くんさえ良ければ全て良くなる。それが、周りも幸せなムードを感じ取れるような現場になるんですかね。

――昨日(取材日前日の清春のライブ)も、“黒夢”という名前よりも二人で今一緒にできていること自体が重要、と言っていましたよね。

清春:うん、二人で泥を塗って終わらせるの。

――以前からのアルバム最終作発言と、昨日も言っていたその発言、意味深です。

清春:本当にそう思ってるんだよ。2009年1月29日の「the end」から2014年1月29日の武道館で5年経って、それってデビューしてから活動停止するまでの期間と一緒なんですよ。「the end」の時は、活動停止してからちょうど10年後に黒夢をやりたいっていうスタッフがいて、人時くんもやりたいと。僕はその頃はやりたくなかったんだけど、1回だけやろうってなったんだよね。でも気まずいし全然楽しくなくて。それで終わらせることはできたわけよ。その後に、世話になった音楽編集者の東條雅人さんが他界されて、何かできないかなと思った時、その2009年に黒夢を一回やってたということが布石になった。アレをやってなかったら復活はなかったとも思う。ただ、5年経ってその役割としてはもう終わってるのかなと。復活して大きな会場で何度か演ったことで、天国に飛び立って行った彼の面影をある程度フォーカスすることは出来たんだと思う。今年は黒夢として東條さんの地元岡山で追悼ライブがやれたんですけど(※2010年、2011年はsadsとして、2012年はソロ名義でライブを行った)、あれで僕の中では僕がやれることの大きな一つはやったのかなと。ずっと何年もやり過ぎることは御親族にとって逆に負担なんじゃないかなとか。ずっと忘れないでいてほしいという気持ちもあれば、この現実を受け入れたいという気持ちもあるでしょうから。

――色々と考えるところですね。

清春:“黒夢”って呪縛だったんですよ。活動停止してから15年、たぶん僕はもう“黒夢”じゃないんです。僕からすると人時が“黒夢”なの。一緒にいて楽しいし嬉しいけど、このままずっと黒夢を彼とやろうっていうのは間違いな気がする。だってさ、僕らは一回終わってるんだから…。二人で一緒にやって一度クラッシュしてる。その形がロック的で素敵だったのに、新車で同じ車種で年代だけ変えて優雅に安全運転できるっていうのは、都合良過ぎるんじゃないの?って思っちゃう。実際は当時みたいに猛スピードでは走る気がないわけで、だったら無理矢理動かしてまたクラッシュする。それが今だと思うんだよね。高性能の車で余裕で走れるっていうのは黒夢じゃないんだ。普通の乗用車で全力で走ってクラッシュするのが黒夢だと思うの。そのクラッシュの仕方が美しかったから多少の伝説にもなったんだと思う。それはお互いなんとなくは感じてて。彼がいようがいまいがこの話はできるし、彼が観てる僕のライブでもMCで話せる。ただ、どちらかが相手を裏切ったりして胸が痛くなるっていうのは、やっぱり人としてよくないんだよ。昨日の僕のアコースティックのライブさ、「あの詩を歌って」で彼の方を見て、〈人を裏切ったら胸が痛むから〉という歌詞を彼に当てたつもりだったんだけど、まさにそういうことを言える関係になってきてて。黒夢を無理に継続してやるのは僕ら二人にとっては“嘘”かもしれないんだ。黒夢っていうのは、我慢して続けることを受け入れなかったバンド。それが黒夢の美学だと思うんだよね。

――クラッシュするのが黒夢…。

清春:「奇跡的な復活です」っていう復活ビジネスは、僕らのファンは望まないんじゃないかなとも思う。特に今、常に来てくれてるディープなファンの子たちは昔の曲なんてそんなに聴きたくないんじゃないかとも。FCオンリーのライブの時こそ新曲をやってほしい、武道館では古い曲をやった方が盛り上がるんじゃない?って言うような冷静な捉え方。人時くんとの関係はもう例え黒夢がなくても大丈夫。僕と彼は前のバンドから一緒だったし、黒夢から始まったわけでもない。黒夢として生きてきた割合は長いけど、黒夢っていうのは僕らにとってのトラウマでもあり、お互い違う10年を経験してきて、今黒夢には関わってるけど、すごく客観的なんですよね。彼にとっては昔から知ってる“清さん”だし、僕はベーシストとしての彼をも尊敬してる。別に一緒に音楽をやらなくてもなとも思うし、一緒にもっと楽しくやれるんだったら黒夢じゃなくてもいい。東條さんにしても“黒夢に泥を塗る”っていう発想は天国で喜んでくれてると思う。ファンの子もさ、昔は解散したらもう会えないと思うから悲しかったんだと思うんですよ。今はソロもsadsもあるし、人時くんもちゃんと別でやってるし、また解散しようが僕らには会えるわけだから。

――それはそうですね。

清春:それに、黒夢からずっと応援してくれている人って少ないからね。sadsの後半やソロ以降に好きになりましたっていう人がほとんど。sadsも前の感じではないわけじゃん。それが清春さんらしいっていうのがわかってるから、やっぱりソロにもみんな思い入れがあるんだと思う。黒夢でも人時くんと一緒に新曲をチャレンジしてる清春さんっていうのを応援してくれているんだろうね、だってそこが一番当時の黒夢の影がない部分なわけだし。「少年」とか「Like A Angel」「MARIA」をやってる僕のことを見たくない人もいると思う。なんだからしくないっていう部分で。そこの温度差は濃いゾーンなのかグレーゾーンなのかで違うけど、人生の役割として、やっぱり僕は濃いゾーンのために歌って生きてる。でもまぁ今は20周年っていう期間なのかなって。2月に『ZERO』っていうライブあるけど、デビュー日を含めた7、8、9日に地元岐阜ってさ、もうこれわかるでしょ?って思うし。でもそれまでにまた突発的なことがあるかもわからない。もちろん大人だから作品に付随することは応じるけど…僕らの中での黒夢は“1.29”でまた終わるんですよ。で、二人が“ZERO”になるという瞬間が2月のデビュー日だと思うんです。もしかしたら“泥を塗る”というのは20周年の1年間になるのかもしれない。でも気持ちの中では復活後の丸5年であり、デビューからの丸20年の2月で“ZERO”。

――そういう意味だったんですね。

清春:ひねりも何もないよ。“L”に関しても“LAST”でも“LIE”でも“LIFE”でも“LOVE”でもなんでもいいんです。僕の中では完全に“LAST”なんだけどね。人時くんの中では違うかもしれないし、僕も明日になれば変わるかもしれない。昔から適当なんですよ、黒夢って(笑)。でも5の倍数とか“1.29”や“2.9”とか数字で動かされている感はあるから、武道館で呪縛の糸は切りたいんだよね。

――では、20周年YEARの2014年は、“1.29”と“2.9”の後はわからないと。

清春:でも曲は作るよ。「戦国無双4」のタイアップもらえたからさ(笑)。

――そうですね(笑)。まずはそれがあると。では最後に、2014年の抱負をお願いします。

清春:ソロアルバムは作りたいな。色々なことを考えたい20周年、21年目です。新たな気持ちでリリースをする、もしくは制作する1年。あと、sadsもやりたい。sadsも来年デビュー15周年なんですよね。ビーストサイドというのも、もう年齢的にいつまでやれるかわからないからやっておきたいし、K-A-ZくんやGOくん…クボタ(B)はわからないですけど(笑)、彼らとももう5年の付き合い。彼らとの間にも、人時くんとはまた違った種類の確かな愛情があるし。自分の幸せも大事だけどさ、仲間と一緒に楽しく幸せな時間を共有したい。そういう意味での周年でもあるのかな。三代さんにしても佳嗣くん(G)にしても、もちろん人時くんにしてもさ、これまでのデビューしてからの20年の中で残った仲間と楽しい時間が過ごせれば、形はどうでもいいのかなって。

(文・金多賀歩美)

黒夢

<プロフィール>

清春(Vo)と人時(B)からなるロックバンド。1994年2月にシングル『for dear』でメジャーデビュー。1999年1月、人気絶頂のさなか無期限活動休止を発表。2009年1月に日本武道館にて解散ライブを行い活動に一旦終止符を打つも、翌2010年1月に再始動を発表。2011年2月にシングル『ミザリー』をリリースし、国立代々木競技場第一体育館公演にて完全復活を果たす。同年11月、約13年ぶりのフルアルバム『Headache and Dub Reel Inch』をリリースし、オリコン初登場2位を記録。2012年1月、日本武道館公演を開催。2013年9月、東阪のZeppライブを開催し、会場限定シングル『KINGDOM』をリリース。2014年にデビュー20周年を迎え、1月29日には日本武道館公演が決定している。


■オフィシャルサイト
http://kuroyume.jp/


【リリース情報】
『ゲルニカ』『I HATE YOUR POPSTAR LIFE』
2013年12月11日(水)発売
(avex trax)
2014年1月29日発売予定のニューアルバム『黒と影』に先駆けて発表される、黒夢初のシングル2枚同時リリース。「ゲルニカ」は2014年 1月18日(土)より劇場公開される映画『バイロケーション』の主題歌に決定している。

『ゲルニカ』(TYPE:A)
CD+DVD
(TYPE:A)
AVCD-48880/B
¥1,890(tax in)
『ゲルニカ』(TYPE:B)
CD+DVD
(TYPE:B)
AVCD-48881/B
¥1,890(tax in)
『ゲルニカ』
CD ONLY
AVCD-48882
¥1,260(tax in)


【収録曲】
『ゲルニカ』
【CD+DVD(TYPE:A)】
[CD]
1. ゲルニカ
2. CALLING
[DVD]
1. 「ゲルニカ」MUSIC VIDEO
2. 「ゲルニカ」MUSIC VIDEO MAKING
初回限定封入:2014.1.29 日本武道館ライブチケット優先予約応募券

【CD+DVD(TYPE:B)】
[CD]
1. ゲルニカ
2. CALLING
[DVD]
13 new ache(Live at Zepp Divercity 20130906)
White Lush Movie(Live at Zepp Divercity 20130906)
BARTER(Live at Zepp Divercity 20130906)
初回限定封入:2014.1.29 日本武道館ライブチケット優先予約応募券

【CD ONLY】
1. ゲルニカ
2. ストローヘッド
初回限定封入:2014.1.29 日本武道館ライブチケット優先予約応募券



『I HATE YOUR POPSTAR LIFE』(TYPE:A)
CD+DVD
(TYPE:A)
AVCD-48883/B
¥1,890(tax in)
『I HATE YOUR POPSTAR LIFE』(TYPE:B)
CD+DVD
(TYPE:B)
AVCD-48884/B
¥1,890(tax in)
『I HATE YOUR POPSTAR LIFE』
CD
ONLY
AVCD-48885
¥1,260(tax in)


【収録曲】
『I HATE YOUR POPSTAR LIFE』
【CD+DVD(TYPE:A)】
[CD]
1. I HATE YOUR POPSTAR LIFE
2. 後遺症 -aftereffect-(2013 NEW RECORDING)
[DVD]
1. 「I HATE YOUR POPSTAR LIFE」MUSIC VIDEO
2. 「I HATE YOUR POPSTAR LIFE」MUSIC VIDEO MAKING
初回限定封入:2014.1.29 日本武道館ライブチケット優先予約応募券

【CD+DVD(TYPE:B)】
[CD]
1. I HATE YOUR POPSTAR LIFE
2. 後遺症 -aftereffect-(2013 NEW RECORDING)
[DVD]
C.Y. HEAD(Live at Zepp Divercity 20130906)
CANDY(Live at Zepp Divercity 20130906)
後遺症 -aftereffect-(Live at Zepp Divercity 20130906)

【CD ONLY】
1. I HATE YOUR POPSTAR LIFE
2. 奴隷