特集-Special Feature-

BORN×R指定

今なお多くのアーティストたちからリスペクトされ続けるhide。トリビュートアルバムを通じ、彼に多大なる影響を受けたアーティストたちの褪せることない想いを聞いた。

hideが永眠して15年、そして、ソロ活動20周年となる今年、彼の楽曲が、ジャンルと世代を超えたアーティストたちによる6つの作品としてリリースされる。シリーズ第1弾となる今回は、V系アーティストによって構成された2枚のアルバムが同時リリース。スペシャル対談②では『hide TRIBUTE Ⅲ -Visual SPIRITS-』の参加アーティストであるBORNの猟牙(Vo)、K(G)、R指定のZ(G)、宏崇(Dr)に、hideへの想いを存分に語ってもらった。

◆【hide×想い出】

――みなさんがhideさんの音楽に出会ったのはいつ頃ですか?

宏崇:小学校5年生の時ですね。まだX JAPANでしたけど。

Z:俺も最初はXで、中学の時です。音源は持っていなくて、友達にいろいろ聞いたり、本を買ったり。それがきっかけで、ギターがほしくなりました。

K:俺は家に兄貴の『HIDE YOUR FACE』(2008年にリリースされたhideの1stアルバム)の初回盤があったんです。その作りがすごかった。鎧が立体になっていて、目だけが見えているんですよ。ジャケットをめくるとhideさんの大きい写真が出てきて。すごく印象的でしたね。とはいえ、その頃ガッツリ聴くことはなくて、「ROCKET DIVE」で好きになりました。

猟牙:僕も小学校の時にテレビで「Beauty & Stupid」を観たんですけど、かっこいいというより怖かったです。とにかく衝撃的でした。でも曲は癖になるかっこよさとサビが印象に残っていますね。

K:Mステとかで見たけど、すごかったよね。

宏崇:すごかった。

――hideさんのコピーをしたことはありますか?

K:「ROCKET DIVE」のコピーをしたことがあります。

Z:あ! 俺も「ROCKET DIVE」のコピーやっとるわ! 覚えていなかったくらいですけど、今話してて思い出した。

K:Xのhideさんはテクニカルなんですけど、ソロの方はニュアンスというか、手数がそんなに多いわけではないんです。でも、hideさんにしかできないかっこよさがあるんですよね。

Z:hideさんのギターって、キャッチーですごくわかりやすいんですよ。それが印象にあります。パッと口ずさめるというか。

宏崇:…(うなずく)

――宏崇さん、何か言いたげですね。

宏崇:俺、hideさんがきっかけでギターをやってました。

――そうだったんですか!?

宏崇:だからさっきの話に入りたくて。

全員:(笑)

――では宏崇さん、コピーしてみていかがでしたか?

宏崇:「ROCKET DIVE」のスコアを初めて見たとき、「ドロップD(※)ってなんだよ」と思いました。(※ドロップD:レギュラーチューニングから6弦の音を1音下げてDの音にするチューニング)

全員:(笑)

宏崇:わからなかったので、レギュラーチューニングのままやってました。

Z:実は俺も無理矢理やってた(笑)。知らなかったんですよ。「ドロップDってなんや。でもまぁこっちで弾いたら弾けるしな」って。

K:そう言う意味ではドロップDってキッズには良くないですよね(笑)。

Z:確かに(笑)。でもインパクトはでかいですね。覚えてるもん「ドロップD」(笑)。

K:俺はギターを始めた頃、同じ中学の友達で音楽一家のやつがいて、そいつは中一なのにhideさんのギターもバリバリ弾けるから、ドロップDとかいろいろ教えてもらってました。

――Kさん、かなり恵まれた環境だったんですね。猟牙さんはドロップDと何か絡むことはありましたか?

猟牙:そうですね、みんなの話を聞いている限り、ドロップDを広めたのはhideさんなのかなと。

全員:(笑)

K:まぁ間違ってはない(笑)。

猟牙:かっこよければ何でもいいってことを教えてくれたのがhideさんってことですよ。ドロップDってある意味邪道だと思うんですよね。キッズには良くないし。だけど、それでもみんながコピーしたくなるのを作り出すっていうのはセンスでしかないですよね。

全員:おぉー…。

――今のまとめにセンスを感じました。猟牙さんはギターは?

猟牙:僕、ここ最近Kに教えてもらっていじってるんです。hideさんの曲にもチャレンジしたいんですけどなかなか難しくて…「ROCKET DIVE」の最初のイントロだけ弾けるようになりました。

K:しかも弦1本でやるからね。とととととと…って行きすぎたりして(笑)。

猟牙:楽しいです(笑)。

K:でもあのイントロのギターは普通思いつかないですよね。

Z:うん、半音であんな上がり方しようなんて思わん。

K:それを曲としてやっちゃうからすごいんですよ。

猟牙:hideさんのギターは難しいというより発想が新しいですよね。誰も思いつかない。

Z:例えば、ギターを始めたばっかりの猟牙っちが、すぐできるフレーズなんです。熟練してなくてもやろうと思えばできる。

K:そういうものって一歩間違えるとダサくなるから危ないんですけど、hideさんは全部かっこいいですからね。

◆【hide×トリビュート】

――みなさん、hideさんを相当リスペクトしていますね。

K:はい(笑)。当時、hideさんはhide with Spread Beaverと同時にzilchをやってましたけど、それがまたかっこよかったですよね。

宏崇:あ! 「ever free」にzilchのアレ、入れたでしょ!

猟牙・K:わかった(笑)?

宏崇:わかったよ。「うわ! やってる!」って思ったもん。

――曲頭の「日本の杉並区からお越しのBORNさんです。はりきってどうぞ!」というナレーション部分ですね(※zilchの「ELECTRIC CUCUMBER」では「日本の神奈川県横須賀市からお越しの松本秀人さんはりきってどうぞ!」のナレーションが入る)。

K:はい。hideさんファンの方にわかってもらえたらいいなっていう俺らなりのギャグです。

宏崇:すぐわかった!

――さすがhideさんの影響でギターを始めた男(笑)。では今回、そんなhideさんの楽曲をカバーしてみていかがでしたか?

K:トリビュートをやるにあたってイメージが難しかったです。hideさんの曲を普通に聴いてきたわけじゃないですか、それを壊したくなくて、そんなにド派手なアレンジはしませんでした。でもちょっとしたフレーズとかニュアンスの付け方でBORNになればいいかなと。結構ガラッと変えているバンドもいますもんね。勇気あるなと思いました。

――ちなみに今回の作品で勇気があると思ったのはどのバンドでしょう?

K:ダウトかな。演歌ですからね(笑)。

宏崇:己龍も琴が入ってるよね。曲は後ろで鳴ってるけど琴が前に出てるから、全然違うように聴こえる。

K:それぞれ楽曲に対する思いがあるんだろうなと思いました。

――なるほど。レコーディングはいかがでしたか?

K:ギターソロとかなかったので土台を弾いてオーバーダビングするときにノリで思いついたものをどんどん入れていく感じでしたね。最初はギター2人で「あんまり崩すのはね…」とか言いながら「足りないからここ入れるか」とか、エンジニアさんと盛り上がって「もっとやっちゃいましょう!」みたいな(笑)。土台はほとんど変えずに、上をどんどん変えてましたね(笑)。

――楽しそうですね!

猟牙:ギター隊が遊び始めた分、俺の録りは押しましたけどね(笑)。夕方6時からって言われてたのに、始まったの深夜1時でしたから(笑)。

K:なかなかヴォーカルに辿りつかなかったんです(笑)。最初、弦楽器隊は普通のテンションでレコーディングしてたんですけど、ギター録りになった途端みんなテンションが上がりだして(笑)。それこそ「hideさんってこんな音出てなかった?」「この音を薄く入れてみたらどうなります?」なんて言いながら遊んでました。意外と入れた音はシンプルなんですけど多いんですよ。

――ヴォーカル録りはどのくらいかかったんですか?

猟牙:2時間半くらいでした。歌自体はパーっと録り終えて、その後遊びでシャウトを入れたりしていたので。本当は、メロは原型をとどめてないくらいにしてやろうかと思ってたんですけど、あまりにもバックが美しく再現されていたので、メンバーの努力を無駄にするわけにはいかないなと思って忠実に誠実にやりました(笑)。

全員:(笑)

――zilch部分はどなたの案だったんでしょう?

K:確か俺がhideさんファンしかわからない何かを入れたいと言っていたら、Ray(G)が「zilchやってから入るってどう?」ってサクッと作ってきたんですよ。

猟牙:曲は忠実に再現されているんですけど、何かフックがほしいねって話をしていて。こういうの、ずっとやってみたかったんですよね。

――対するR指定は比較的原曲を忠実にカバーしていますが、大幅に変えることは考えなかったんですか?

宏崇:元の形は崩さずにR指定的なダサみを出しつつ…という感じです。

K:ギターソロに行く前の掛け声とかすごいR指定っぽいよね(笑)。

――難しさを感じた部分は?

宏崇:裏でスカっぽい感じをちょっと意識しました。そこまでのアレンジで悩みましたね。原曲の「ROCKET DIVE」が頭の中にあったので。久々に聴いたんですけど、この曲が10年以上前にあったのかっていうのがすごい。

Z:俺、ギターソロを録る日、レコーディング前に耳コピしながら「このわかりやすさ、なかなかできんよね!」と思ってました。Xの時は早く弾いてなんぼで、ギターやってない人にはわかりづらいんですよ。口ずさみづらいというか。でもこの曲はギターソロが一発で耳に残るやんと思って。うちのギターソロも曲によるんですけどシングルのA面とかはわかりやすさを重視しているんです。すごく単純だけど耳に残る。ソロになってから特にその傾向があるので、本当にhideさんがやりたかったのはこういうことだったんだってコピーしてすごく思いました。

◆【hide×初期衝動】

――みなさんは今回それぞれ「ROCKET DIVE」と「ever free」をカバーされましたが、今後カバーする機会があればこれをやってみたいという曲はありますか?

宏崇:俺は「Beauty & Stupid」ですね。初めてテレビで見たのがこの曲なんです。俺は「この人はかつらをかぶってやってるんだ」って思ってました。猟牙もMステで初めて見たって言ってましたけど、多分、俺と猟牙は同じ日の同じ番組を見てたんですよ。

――なんだか運命的!

猟牙:ちなみに俺は夕ご飯食べながら見てました。

宏崇:俺は福岡ドームで家族で野球を見に行った時に、ドーム内のどこかのテレビで。俺、それまでX JAPANもhideさんもテレビで見たことなかったんです。で、絶対テレビで見てみたくて。

――無事見られて良かったです!

猟牙:俺は本当は「ピンク スパイダー」がどうしても歌いたかったんです。この曲をカバーしている人がたくさんいるからこそ、負けないくらいかっこよくしてやる!と思ってたんですけど…。

――己龍に取られちゃいましたね(笑)。

猟牙:そうなんです。それか「Beauty & Stupid」だったんですけど、今回「ever free」をやることになってシンプルで素敵な曲だって気づけたので良かったです。

K:俺は…

猟牙:Kは「限界破裂」が似合うと思う。

全員:(笑)

K:俺って言うかBORNとしてだからね(笑)。次はBORNの激しい部分を出せたらと思うんで「D.O.D」とか「DOUBT」とか。

猟牙:「D.O.D」やりたがってたよね。いじり倒してやりたいって。

K:猟牙にデスヴォイスをやらせようとか考えてたんですよね。

猟牙:またこういうトリビュートアルバムの機会があったらお願したいです。

宏崇:俺はギターが弾きたかったです。

全員:(笑)

Z:ソロお願いすればよかったな。実は前半は宏崇が弾いてるみたいな。

――それいいですね(笑)。みなさんの愛情たっぷりのこのアルバム、どんな風に聴いてほしいですか?

宏崇:このアルバムがきっかけでいろんな人にhideさんを知ってもらえれば良いなと思います。

Z:それってすごいことですし嬉しい限りですよね。

猟牙:名前は知っていても聴いたことがない人もいると思うけど、これがきっかけで、これだけ多彩で面白い音楽を作っていた人がいたんだってことを、体感してくれたら嬉しいです。そこに、何でもありなんだっていう初期衝動があると思うんですよね。

(文・後藤るつ子)


『hide TRIBUTE Ⅱ -Visual SPIRITS-』『hide TRIBUTE Ⅲ -Visual SPIRITS-』
【CDデータ】
2013年7月3日(水)発売
(徳間ジャパン)
hideソロ活動20周年を迎えた今年、ジャンルと世代を超えたアーティストが集結してリリースされるトリビュートアルバム第1弾。


CD
TKCA-73924
¥3,000(tax in)

CD
TKCA-73924
¥3,000(tax in)


【『hide TRIBUTE Ⅱ』収録曲】
01. TELL ME/heidi.
02. DICE/摩天楼オペラ
03. OBLAAT/GOTCHAROCKA
04. D.O.D.[DRINK OR DIE]/柩 from NIGHTMARE
05. ピンク スパイダー/Sadie
06. ever free/defspiral
07. DOUBT/machine
08. HURRY GO ROUND/CELL
09. MISERY/DaizyStripper
10. Beauty & Stupid/DOPPEL
11. DAMAGE/THE KIDDIE
12. Junk Story/UNDER CODE PRODUCTION LAST COLLABORATION「D•N•A」
13. 50% & 50%/Mix Speaker’s Inc.

【『hide TRIBUTE Ⅲ』収録曲】
01. ROCKET DIVE/R指定
02. Beauty & Stupid/DIAURA
03. ピンク スパイダー/己龍
04. In Motion/FEST VAINQUEUR
05. DOUBT/ダウト
06. DICE/SCREW
07. BACTERIA/アヲイ
08. ever free/BORN
09. D.O.D.[DRINK OR DIE] /DEZERT
10. 限界破裂/グリーヴァ
11. EYES LOVE YOU/A(エース)
12. HURRY GO ROUND/HERO


■hide MUSEUM、8年ぶりに復活
2000年に横須賀にオープンし、日本だけでなく世界からも多くのファンが訪れた『hide MUSEUM』が8年ぶりに復活。 6月29日(土)から東京のダイバーシティ東京プラザのフェスティバル広場、8月7日(水)から大阪のユニバーサル・スタジオ・ジャパンでそれぞれ1ヶ月開催される。各会場には、本人を忠実に再現したリアルヒューマンドール、生前愛用していた1959年製のギブソン・レスポールスタンダードギター、1stソロアルバムのジャケットに使用されたH・R・ギーガーによる仮面のオブジェなどが初披露され、hideの音楽、アート、ライフスタイルにリアルに触れられる空間が再現される。


■オフィシャルサイト
http://www.hide-city.com/


BORN

<プロフィール>

猟牙(Vo)、K(G)、Ray(G)、KIFUMI(B)、TOMO(Dr)の5人組ロックバンド。ヴィジュアル面において鮮やかに黒を彩り、サウンド面において荒々しく黒を奏でる。6月12日の目黒鹿鳴館を皮切りに全国7か所のワンマンツアー「BORN LIVE TOUR 2013 BREAK BASTARD CITY」を行っている。2013年7月3日、3か月連続リリース第三弾となるシングル『MOTHER』をリリース。


■オフィシャルサイト
http://www.indie-psc.com/born/


【CDデータ】
Single『MOTHER』
2013年7月3日発売
(PS COMPANY CO., Ltd.)


初回盤
CD+DVD
PSIM-30038
¥2,625(tax-in)

R指定

<プロフィール>

マモ(Vo)、Z(G)、楓(G)、七星(B)、宏崇(Dr)による5人組ロックバンド。2008年4月より現メンバー現表記で活動スタート。地元博多を中心に全国的にアグレッシブな活動を展開し、2009年9月のワンマンライブをもって、活動の拠点を東京に変更。7月17日に13thシングル『セカイノオワリ』をリリース。7月21.日にはZepp Diver City Tokyoにて「ワンマンツアー2013 世界の終わり FINAL」が決定している。


■オフィシャルサイト
http://r-shitei.net/


【CDデータ】
Single『セカイノオワリ』
2013年7月17日発売予定
(SPEEDDISK)


初回限定盤
CD+DVD
S.D.R-251-A
¥1,890(tax-in)