NIGHTMARE

映画『奴隷区 僕と23人の奴隷』を彩る、NIGHTMAREのニューシングル『TABOO』をフィーチャー!

NIGHTMAREのメジャー23作目となるシングル『TABOO』。タイトル曲は、映画『奴隷区 僕と23人の奴隷』(6月28日全国公開)の主題歌に、今年3月にリリースされたアルバム収録曲の「ドラスティカ」がエンディングテーマに決定している。奴隷という禁忌を描いた映画を彩る混沌とした音世界を存分に堪能していただきたい。今回は5人に、初の映画のタイアップとなった最新作の魅力、そして先日ツアーファイナルを迎えたロングツアー「TO BE OR NOT TO BE:That is the Question.」について、“下々の話”も交えつつたっぷり語ってもらった。

◆自分の声が映像に重なるって不思議な感じ(YOMI)

――今回のアーティスト写真は、鎖でつながれているものと赤と黒の衣装のものの2パターンがありますね。

RUKA:鎖を巻いている方は映画用なんですよ。これは映画会社側主導で、赤と黒の衣装の写真はこっち(バンド)主導でやってます。PVも、1曲目の「TABOO」は映画側主導、2曲目の「愛憎ロンド」とエンディングの「ドラスティカ」はこっち主導です。

――鎖でつながれているものには、さらに目隠しをしているバージョンもありますよね。あの目隠し、「the WORLD」(2006年発売のシングル)のPVのラストシーンが浮かびました。

Ni~ya:あぁ~確かに!

RUKA:あれは「Criminal baby」(2007年発売のシングル『レゾンデートル』c/w曲)につながってるんだよね。今回の目隠しは映画会社側の指示なので、俺らとしては特に意味は持たせていないです。

――もう1パターンの赤と黒というカラーも新鮮でした。

RUKA:確かにそうかも。

Ni~ya:赤は『Ultimate Circus』(2003年発売のアルバム)以来だしね。

――ところで、アルバム『TO BE OR NOT TO BE』でエンディングテーマの「ドラスティカ」を世に出した後に、主題歌をシングルとしてリリースしたのはどんな意図があったんでしょう?

RUKA:最初に主題歌になるってことだけが決まってたんです。で、気がついたらエンディングも決まってたっていう…(笑)。監督さんがこの曲を聴いて決めたらしいんですけどね。

咲人:曲自体はアルバムのレコーディングの初期に作ったんですけど、そうしたら、「枠が空いたからこいつを差し込もうと思うんだけど、どうだい」って言われて。

RUKA:でもなんで枠が空いたのかな。

Ni~ya:あー、何だっけ…

RUKA:俺は知らないよ! お前がなんか言って何かあっても「この人のことは知りません」って言うからね!

全員:(笑)

――映画『奴隷区 僕と23人の奴隷』はかなり衝撃的な内容ですが、内容は以前からご存知でしたか?

RUKA:流行っていたらしいんですけど、作品を知らなかったんですよね。この話が来たときに初めて小説を読んだんですけど、面白かったです。

柩:俺は原作は読んでいなくて、映像で観ました。個性的な作品だなと。

Ni~ya:俺は、小説も、映像も、まだ見てません!

RUKA:小説面白いよ。登場人物が23人も出てくるから、ちょっと混乱するけどね。

Ni~ya:こういう風に言われると、見てみようかなと思うな。

YOMI:俺は映像で観たんですけど、自分の声が映像に重なるのって不思議な感じがしましたね。映画のタイアップは初めてなんですよ。テレビから自分たちの曲が流れてくるのは慣れてきたんですけど、映画館だとどうなんだろうなって。時間があれば観に行きたいですね。

柩:映画館で音を聴いてみたいよね。

――ではぜひ5人で行っていただいて。

RUKA:いや、5人で行くことは絶対ないと思いますよ(笑)。

◆ちょっと混沌としています(咲人)

――音作りの面で映画の主題歌ということは意識しましたか?

柩:この曲はレコーディングの時期が早くて、主題歌に決まった段階で、もう音も映像に重なっていたので、録る段階では特に意識した部分はないですね。

RUKA:ギターを録っている段階ではまだ仮歌詞だったしね。覚えてないけど今回も間違いなく卑猥な下々の歌詞だったよな。

YOMI:そうだね。でも俺、自分で書いたのに、どんな歌詞だったか覚えてないんだよね(笑)。仮タイトルが「やうやう」だったのは覚えてるけど。

咲人:あ、「やうやう」っていうのは、こういう音が入っているからです。ギターの音を人が喋っているような音にするエフェクターを使ったので、こんな仮タイトルになりました。

――咲人さんが好きそうなアイテムですね。

咲人:そうですね。曲を作るときって、メロから作ることもあればリフからのこともあるし、機材からインスパイアされることもあるんですけど、この曲は機材発信のパターンでしたね。でも、最近はPCベースなので、このパターンは段々なくなってきてます。無駄にエフェクターを使うのが面倒くさくなってきちゃって、シンプルでもいいかなと。この曲はアルバムより前に録ったので、ちょっと混沌としていますけど。

――歌詞は、「ドラスティカ」は咲人さん、「TABOO」はRUKAさんですが、歌詞を書く時は映画のイメージありきで書きましたか?

咲人:「ドラスティカ」は原作を見てから歌詞を決めたので、ある程度意識はしましたね。

RUKA:俺は資料をもらって、小説を読んで、映画の台本も貸してもらって読みました。映画だと原作からカットされる部分があるじゃないですか。なので一応、目を通しておこうかなと。

――入念ですね。

RUKA:だって間違えたりしたら叩かれるじゃないですか(笑)。

――さすがです。ところで、「TABOO」「ドラスティカ」共に、歌詞に「飼う」「飼われる」という言葉が入っていましたが、歌詞について咲人さんとRUKAさんの間で刷り合わせはしましたか?

RUKA:内容自体がそういう話だから、わかりやすいキーワードをまず入れたっていうのと、あとは自分なりの解釈ですね。

――この言葉は、「Gallows」(アルバム『TO BE OR NOT TO BE』収録曲)でも使われていますよね。

咲人:実は、最初に「TABOO」を映画で使いたいっていうお話をいただいた時、「何なら曲を作らせてくれ」って言ったんです。こういうストーリーだし、「Cherish」(2011年リリースのアルバム『NIGHTMARE』収録曲)もペットにする曲だから、リフというかフレーズをちょっとサビ前に入れたらいいんじゃないって言われて「Gallows」を作ったんですけど、「やっぱりこっち(「TABOO」)で」って言われて…という流れがあった曲です。

――先の2曲の世界観とどこか通じる部分があるのはそういうわけですね。

咲人:自分の中から出てきたものなので、リンクしている部分はやっぱりありますね。

――それにしても前回のインタビューでRUKAさんが「自分は咲人さんに飼われてる」と言っていたので、てっきり最近流行っている言葉なのかと思いました。

RUKA:そんなこと言いました!? 俺、自分の発言は9割くらい覚えてないかも…。でもどうせなら飼うほうがいいですよね…ってこの話も次回覚えてないんだろうなー(笑)。

◆戦わずして自滅…!(柩)

――この映画では、「Slave Control Method(スレイブコントロールメソッド)」という器具をつけたもの同士が戦い、勝者が敗者を奴隷にできる、という設定ですが、この5人が戦った場合、誰が残りそうでしょう。

RUKA:条件によるんじゃないかな。部屋のサイズとか、武器や食料はあるのかとか。これが無人島でも勝者が変わるだろうし。無人島だったらNi~yaが残ると思うな。だって俺、魚釣ってもさばけない時点で不利じゃん。

柩:焼いたら食えるでしょ。

RUKA:俺、食えないやつを食っちゃう気がする。柩は最初にワライタケ食って海にドボンだよね。

柩:戦わずして自滅…!

Ni~ya:で、みんなが「これは食っちゃだめだ」ってわかると。

全員:(笑)

――武器があったらどうでしょう?

柩:その場合は俺じゃない? 

RUKA:でもさ、武器があったとしても、刺すとか殴るのは絶対できないでしょ。だから見ないでバスっと…

全員:(笑)

YOMI:俺は多分、サバイバルしないで隠れてると思うな。

RUKA:いや、最初はNi~yaとかに仲間のふりして付いてて、みんな死んだところでプスッとやるタイプだよ。

Ni~ya:「手を組もうぜ」とか言ってな(笑)。

柩:黒幕はこいつだった的なね(笑)。

RUKA:あ、ゾジーさん(YOMI)は「仲間を売るスパイ」っていうのが最近の定説なんですよ。

YOMI:仲間を売るっていうか、情報を売るっていう。

RUKA:周知のスパイだよね。

柩:…それスパイって言うのかな。

――広く知られ過ぎていて諜報活動も難しそうですが(笑)。咲人さんはどうでしょう?

咲人:俺は肉弾戦は無理だから、トラップ系だな。

YOMI:俺とNi~yaが引っかかりそうだよね(笑)。

RUKA:エロDVDに釣られて上からパスッとやられそう。

Ni~ya:でも無人島にそんなものが落ちてたら、明らかに怪しいじゃん!

RUKA:いや、極限状態だったらわかんないよ?

柩:再生機器がないのに釣られちゃうのか(笑)。

◆暗いところをずっと走らされているみたいだった(RUKA)

――2曲目に収録されている「愛憎ロンド」、タイトルに驚かされて、歌詞の最後でゾクリとしました。

RUKA:タイトルが全然決まらなくて、ぎりぎりで決めたんですよ。でも、歌詞は全然意識してなかった(笑)。この曲はPVが結構面白くて、キーボーディストが入っているんですけど、珍しくPVの案が先にあって、そこでピアノを最後まで入れたいから楽曲にもっていう流れだったんです。

――かなり早い段階から映像の全体像が決まっていたんですね。それにしてもこの曲、PVからも伝わりますが、ベースがかなり忙しいですよね。

Ni~ya:そうなんですよ。ずっと動いてて。この曲は難しかったですね。今回こういうベースラインがポッと出てきて、そこから止まらなくなったんですよ。ライブが大変…でもまぁやるとしたらちゃんとトレーニングするんで、大丈夫ですけど。

柩:俺は、この曲に関しては割とシンプルですね。

――そういえば、前回のインタビューの際に欲しがっていたキャビは買えましたか?

柩:残念ながら買えなかったんですよ。1台しかないからって言われて。この曲でも使っているんですけど、ほしかったなぁ…。

――いつかぜひ! ところで、アルバム『TO BE OR NOT TO BE』まで、ヴォーカルが重なった曲が多かったですが、今回のシングルはシンプルな印象があります。

YOMI:実際、そこまで少なくはないんですけど、アルバムの曲たちが多かったのかもしれないですね。歌入れは「TABOO」がアルバムと同じタイミングで、2曲目、3曲目はアルバムが出てからだったんですけど、「愛憎ロンド」は結構忙しい曲だなと。「TABOO」も結構スムーズに録れたんですけど、ツアー中に録ったからベストコンディションでレコーディングに持っていくのが大変でした。

咲人:俺は、自分の中のギターのモードが、どちらかというとシンプルな方に向かっているので、いつもは「俺が俺が」って行きがちなんですけど、今回は最初にもらったデモの方向性を活かしました。ソロだけは、個人的に懐かしモードに入っていたので、90年代に自分がよく聴いていたバンドと同世代のバンドで弾かれていそうなギターソロを意識してます。よく言えば懐かしい、悪く言えば古臭い。個人的に80年代がブームで、昔の良い物を再確認してますね。

――ギターで、あえて昔の音を取り入れるというのは勇気がいることだと思うのですが。

咲人:みんなやらなくなっているので逆にチャンスだ!…と、去年ダフト・パンクの新譜を聴いて思いまして。

――なるほど! そんな咲人さんはいつもデモの段階で無茶振りが多いようですが、この曲でRUKAさんは無茶振りはしなかったんですか?

RUKA:全然ないっすよ。むしろ、自分以外の人の曲はデモのドラムフレーズをどこまで完璧にするか悩むんですよね。やろうとすればするほど難しい。…で、3曲目の「SUPER BOOGER MAN」…これマジでどこ叩いてるんだかわからなくて、暗いところをずっと走らされているみたいだった!

全員:(笑)

RUKA:今どこにいるんだ俺は!って思いましたからね。

咲人:ライブの時は「今、Aメロです」って流そうか?

RUKA:うーん。これの予兆がアルバムの「ヘドバン天国」(「極上脳震煉獄・弌式」)とか「KENKA DRIVE」にあったんですけど、その最高峰がこれですね。当分これは超えないと思います。今、登頂成功!みたいな感じなんで、あとは下っていくだけだなと。

――でも咲人さんは「これができたなら次は…」と思っていたりして。

RUKA:それをやられたらもう実家に帰りたくなると思う(笑)。本っ当に大変だったんですよ。「$eam」の時みたいに心拍数が上がれば叩けるとかいう問題じゃなくて、「そこからスタートか!」ってところから始まってますしね。

咲人:曲の構成は自分でも王道ではないとは思います。ずっと曲を作っていると嫌になるんですよ。で、聴いたことがない構成にしようと思ったら、ちょっとわかんなくなっちゃったパターンですね。でも、デモの段階より結構削ったんですよ。前はもうちょっと複雑でしたから。

RUKA:あのままだったら絶対実家に帰ってた。

◆ドラクエで言う宿屋だな(Ni~ya)

――「SUPER BOOGER MAN」はライブ感満載ですが、歌ってみていかがでしたか?

YOMI:ヴォーカル的にはライブのテンションを出すのが難しかったです。ライブだと伝える相手がいるんですけど、レコーディングはいないからテンションの持っていきどころが難しいんですよね。

柩:俺はこの曲は好き系ですね。楽しんで弾けるんで。

Ni~ya:俺もこの曲のベースは逆に簡単。スラップって楽だし目立つからいいんですよね。でもあんまりやりすぎるとウザがられるから、何曲かに1回とか、色々配分してます。「こいつ、それしかできないのか」って思われると嫌だから、色々やらないと(笑)。

――策士ですね(笑)。ところで、歌詞の〈Fuckin’ complain! 〉で「ジャイアニズム罰」が、〈実態がSCUM〉で「My name is”SCUM”」が浮かびましたが、何かリンクさせようという意図があったんですか?

咲人:これは、ゲームで言うところのスターシステムみたいなものです。過去作のキャラがパッと出てきて、シリーズを通してやっている人にだけにわかるような面白い部分だと思っていただければ。

柩:『ファイナルファンタジー』のシドみたいなもんだよね。

咲人:そうそう。今回もギルガメッシュ出てきた!みたいな。

Ni~ya:ドラクエで言う宿屋だな。

全員:…宿屋!?

RUKA:宿屋は違うだろ!

咲人:それだと「今回の曲もドラム入ってますね」みたいなもんだから!

柩:今の面白かった。ゾジー級のぶっこんで来たね(笑)。

咲人:確かに(笑)。まぁ、前作のキャラが今回は敵役として出てきたみたいな感じです。「お!?」ってなるか「またこれ出てきた」って思うかは人それぞれですけどね。

――この3曲はツアー「TO BE OR NOT TO BE:That is the Question.」では披露されましたか?

RUKA:まだ1度もやってないんですよ。(※編集部注:この取材後に行われたツアーファイナルで「TABOO」が演奏されました)

柩:15日のファイナルまでにやらないとしばらく聴けないね。

――今回はどんなツアーでしたか?

RUKA:低レベルな下ネタしかしてなかったな。

柩:5人中3人(YOMI、Ni~ya、RUKA)がしてましたからね。

RUKA:5人中3人、時々5人中4人(YOMI、柩、Ni~ya、RUKA)だよ。でもさ、この3人から1週間聞けないとちょっと心配になるよ?

咲人:まぁ、3人に何かあったのかと思うよね。

RUKA:言ってるってことは平和ってことですよ。仲良いんだなって。

Ni~ya:バロメーターだな。でもゾジーは日によって差がある。

柩:自分から言わないよね。発信源じゃない。

YOMI:確かに発信源ではないな。

RUKA:やべ、そうすると言ってるのは5人中2人じゃねーか!

柩:楽屋だと言わないしね。

YOMI:これは俺がギャラリーがいないと全裸にならないのと同じだと思うんですよ。

――なるほど。プロですね。下ネタはステージまで温めて…

YOMI:そこでドーン!と。

RUKA:お前の職業は何なんだ(笑)。

YOMI:ミュージシャンです(キリッ)。でも今回のツアーで1回だけNi~ya が笑ってくれなかったんですよ。その時に、「ステージで言っていい下ネタの基準はNi~yaが笑うかどうかだな」と。

RUKA:笑わなかったらアウトって話を北海道でしてたよね。一つ賢くなったな。

柩:そもそもあの時はNi~yaが笑う・笑わないじゃなくて、お客さんがどんどん引いていったからね。

RUKA:でもハートが強すぎるから誰かが止めないと止まらない時があるからな。

――前回のインタビューで「どんな『TO BE OR NOT TO BE』を見せたいですか」ということで語っていただいたのに…

RUKA:こんなんなっちゃいました(笑)。

全員:(笑)

(文・後藤るつ子)


NIGHTMARE

<プロフィール>

YOMI(Vo)、柩(G)、咲人(G)、Ni~ya(B)、RUKA(Dr)によって2000年に結成。2003年にメジャーデビュー。2010年に結成10周年を迎え、記念アルバム『GIANIZM』をリリース。2011年、avexに移籍し、2014年3月19日、ニューアルバム『TO BE OR NOT TO BE』をリリース。このアルバムを引っさげたロングツアーNIGHTMARE TOUR 2014「TO BE OR NOT TO BE:That is the Question.」を行い、6月15日にツアーファイナルを東京国際フォーラムホールAで行った。

■オフィシャルサイト
http://www.nightmare-web.com/

【リリース情報】


A type
【CD+DVD】
YICQ-10347/B
¥1,800+税

B type
【CD+DVD】
YICQ-10348/B
¥1,800+税

C type
【CD only】
YICQ-10349
¥1,200+税

『TABOO』(HPQ)
2014年6月25日発売
NIGHTMAREメジャー通算23枚目となるシングル。タイトル曲は、映画『奴隷区 僕と23人の奴隷』の主題歌。

【収録曲】
[CD]
01. TABOO
02. 愛憎ロンド
03. SUPER BOOGER MAN(C-typeのみ)

[DVD](A type)
「TABOO」PV
「TABOO」PV making

[DVD](B type)
「愛憎ロンド」PV
「愛憎ロンド」PV making