インタビュー

メトロノーム

メトロノーム

22年目を迎えたメトロノームが放つ、ニューアルバム『確率論≠paradox』。中毒性の高いバラエティー豊かな11曲を詰め込んだ最新作の魅力に迫る!

今年9月に行われた21th ANNIVERSARY LIVE「ニイチ点時空論-結線-」「ニイチ点時空論-解放-」をもって、めでたく21歳を迎えたメトロノームが、待望のニューアルバム『確率論≠paradox』を完成させた。これまでの彼らの作品とは一味違う、数学的なアルバムタイトルが目を引くが、そこには長い時間を共に過ごした彼らだからこその深い意味が織り込まれている。フクスケ(G)曰く「おしゃれ」な作品にしたかったという今作には、新たなメトロノームの魅力が随所に織り込まれているので、ぜひじっくり聴きこんでいただきたい。この注目すべき作品について、シャラク(Vo)、フクスケ、リウ(B)に話を聞いた。

フクスケ

――21周年、おめでとうございます!

フクスケ:ありがとうございます! 今後は今以上にやりたいことをやれる良い環境を作っていけたらいいなと思っています。

シャラク:オイラは“二十歳”とか“40代”みたいに、物事を20年で区切るタイプなので、今年は1年目のつもりでやろうと思っていました。新たな気持ちというか、ここからが大切だなという感じがしているので。

リウ:例えば「こんなバンドと対バンしたい」というアイディア一つとっても、まだ尽きることなく前に進めているのはいいなと思っているんです。節目節目って燃え尽き症候群になることもあると思うんですけど、メトロノームは20周年の区切りでも燃え尽きませんでしたし(笑)、今年は特に攻めることができたんじゃないかと思います。

フクスケ:バンドが7年休んでいる間にメンバーそれぞれが十二分に大人になったので、再起動してからというもの、とても良い空気でバンドができているのもいいなと思いますね。

――さて、そんな21周年最初の作品として、アルバム『確率論≠paradox』が完成したわけですが、今回もまた意味深なタイトルシリーズですね。これはフクスケさん案ですか?

フクスケ:そうです。

――タイトルがこれまでの宗教的な言葉から一転して、数学的な言葉にシフトしたんですね。

フクスケ:衣装も含め、今回はスタイリッシュに、簡単に言えばおしゃれな感じにしたかったので、宗教的なものから路線を変えて数学的なものにシフトチェンジしました。意味合いとしては、“確率論”は、20周年の時に、こんな風に20年も存在しているバンドができてすごくよかったなと思って、「これだけ人がいる中でこの3人が出会えた確率を考えると尊いものがあるな」というところからです。“パラドックス”というのは逆説という意味もあるんですが、もしかしたらその逆で、実際は出会うことが決まっていたんじゃないかと思ったんですよ。その両方を考えてそれを「=(イコール)」で繋がず、「≠(ノットイコール)」で表して、同じものなのか、似ている同じものなのか、という今のメトロノームの状態をパッケージできたら素晴らしいアルバムになるんじゃないかということで付けました。

――深いですね。そして、『弊帚トリムルティ』のタイトル同様、メンバー間の結束を感じます。

フクスケ:そうですね。タイトル的にはそういうものを出していきました。でも、直接言うと恥ずかしいので、考えさせるタイトルにしているんです。

――「≠」はあえて読ませないんですね。

フクスケ:そうなんです。読ませると長くなっちゃいますからね。

――メトロノームは、音源を作るときに特にテーマなどは設けないということでしたが、各々の中ではこういうアルバムにしたいという思惑などはあったのでしょうか?

フクスケ:僕は今回、スタイリッシュなテクノが作れたらいいなと思っていたんですが、なかなかできず、最後の最後に5曲目の「脳内消去」ができて、あぁやっとできた!ということで滑り込みセーフ…いやアウトくらいのタイミングで出しました(笑)。なので狙って出したのはその曲ですね。それ以外は今の自分の好きな感じを出せたらいいなと思っていました。

シャラク:オイラは特に考えなかったです。曲自体はシングルの時に候補用として作ったものもあったり、ギリギリでできた曲もあったりとバラバラですね。

リウ:僕は、特に再起動後にライブをやっていて、昔以上にお客さんとの盛り上がりを感じるようになったので、ライブで一緒に盛り上がったり感動したりするような、感情が伝わる曲をと思って書きました。

――一つのアルバムを作るにも3人それぞれの思いがあって面白いです。

フクスケ:そうですね。うちはいつもこんな感じです(笑)。

――さて、前作シングル『Catch me if you can?』についてお聞きしたところ、シャラクさんは「自由」、フクスケさんは「華」、リウさんは「メトロノーム風和ロック」と表現していましたが、今回のアルバムを一言で言うと?

シャラク:メトロノームを長くやっていて、毎回これを言うので語彙力がないのではないかと心配になるんですけど…「バリエーション豊か」です。

全員:(笑)

リウ:いろんな曲があってどれも癖も強いんですけど、聴きやすくて、すっと素直に入ってくる感じがあるんですよね。なので、「このアルバムが好き」、もしくは「このアルバムでメトロノームが好きになった」と言われることも多くなるようなアルバムなんじゃないかなと思います。

――フクスケさんは一言で言うと「おしゃれ」ですか?

フクスケ:と言いたいんですけど、それほどおしゃれじゃない曲も入っているんですよね(笑)。「忘れん坊」とか全然おしゃれじゃないですからね。

全員:(笑)

フクスケ:でもせっかくなので、総括して「おしゃれ」ということでお願いします。

――(笑)。それにしても、シャラクさんの「バリエーション豊か」という言葉通り、今回も多彩な楽曲が顔を揃えましたが、曲の並びで悩んだところはありましたか?

フクスケ:今回、一度決めたものをちょっと変えたんです。メンバーから出た「自分はこっちのほうが良いと思います!」という意見に対して「お、それいいね!」という感じで決めたんですけど。

――和やかな決まり方ですね。

フクスケ:うちは大体こんな感じです(笑)。

――7曲目の「憂国の空」(作詞作曲:リウ)と8曲目の「そうだ手紙を書こう」(作詞作曲:シャラク)の並びには驚かされたのですが、ここはすんなり決まったんでしょうか?

リウ:確か、今までになかった感じの7曲目、8曲目、9曲目(「Hello Stranger」作詞作曲:リウ)を最後のほうに持っていくか、真ん中に持ってくるかで、それぞれの意見があった気がします。でもやっぱり、最終的に決まったこの並びが良いですよね。

――確かに。意外性がありましたが、ベストなのはここ!という感じがしました。では、各曲の聴きどころを教えてください。

01.ニイチ点時空論(作曲:フクスケ)

フクスケ

フクスケ:この曲は21周年のライブのSEを、1曲として聴けるように構成を作り直して収録しました。今までワンマンの時にいろんなタイミングでSEが変わっているんですけど、その時が終わったらライブでは一切使わないので、DVDになっていない限りは聴けなくなっていたんです。でも、たまにはSEを収録して、このアルバムが21周年の時に出たんだぞと、皆にもわかりやすく聴いてもらえるようにと思って、これにしました。

――SEがアルバムに入るというのは珍しいですし、ファンの方もライブの思い出が蘇って嬉しいと思います。

フクスケ:そうなんですよ。ちょっと構成は違うので、ライブの時のままではないんですけど、大体は同じにしています。

――〈時空論〉は物理用語ですね。

フクスケ:そうです。〈論〉がついているので、ちょっとだけアルバムタイトルとリンクする感じです。テンポ感的に結構速いので、最初からテンションが上がって、そこから「テンションゲーム」に繋がるのがいいかなと思っています。

02.テンションゲーム(作詞作曲:シャラク)

シャラク:この曲は「Catch me if you can?」と同じ時期に作ったので、どちらもバンドバンドしているというか、ライブが盛り上がる感じのものをと思って作りました。

――コーラスが良いですね。メトロノームのこういう盛り上げ方は新鮮です。

シャラク:そうなんです。わざとらしく盛り上がらせようとしてもいいんじゃないかと思って。20代っぽい曲が作りたいなと。

――20代っぽいという表現に納得です(笑)。さらに、途中から3拍子に変わって、展開も華やかですね。

シャラク:ストレートにしてもよかったんですけど、ストレートにならないのもメトロノームかなと思ったんです。

――リウさんがツイートしていた「作業中のシャラク君の曲の魅力が半端ない」というのはこの曲のことだったのでしょうか?

リウ:デモで聴いて、レコーディングしたデータを並べていくじゃないですか。その時に「おぉ、こういうことなんだ!」と驚いて、感動したんですよ。次から次へとギターソロも入って、すごいなこの曲と思って。最終的な曲順はシャラク君案なんですけど、僕も最初の曲は「テンションゲーム」だなと思っていました。

――コーラスの「フッフー!」はどなたの声でしょう?

リウ:これは全員ですね。フクスケ君もリハスタでやったもんね。

フクスケ:メトロノームは制作段階で集まらないので、僕はスタジオでのライブのリハの時に録ったんです。

リウ:僕は自宅で…

――え、「フッフー!」ってお一人で?

リウ:はい。一人で「フッフー!」ってやりました(笑)。

――シャラクさん曲はお二人はどんな印象ですか?

フクスケ:「Catch me if you can?」の時からそうなんですけど、この曲のソロでもバンドっぽいロックなソロを入れているので、カッコよく決まるのを目指して何度も録りました。でも、変にハマったりはしなかったので、すんなり録れましたね。「テンションゲーム」のイントロは単音で目立つので、ちゃんと鳴るように弾こうと気を付けました。

――「テンションゲーム」はベースもかなり耳に残ります。

リウ:そうなんです。張り切って弾きました。最初から最後までいろんなフレーズを弾いて…かなり張り切っていますよね(笑)。

03.Catch me if you can?(作詞作曲:シャラク)

04.とある事象(作詞:シャラク、作曲:リウ)

リウ:自分が好きな感じで、自然に作れました。派手なシンセでテンションが高い曲です。歌のレンジが広くて歌い上げる感じだったので、シャラク君は大変だろうなと思いながら「…よろしくお願いします!」と渡しました(笑)。「僕の仮歌は気にしないで歌い上げてください。色々試してOKです」と伝えて。でも、すごく良い感じに仕上がったなと思いますし、展開がどんどん変わっていくのがライブでも楽しいんじゃないかと思います。

フクスケ:この曲はギターソロがチョロッチョロッと出てくるんですけど、そのチョロッチョロッでいかに主張するか。ちょっとシンセっぽくなるエフェクターで主張しました。

――曲頭にシャラクさんのブレスも収録されていますよね。生っぽさにドキッとしました。

リウ:そうですね。ブレスは通常切ることが多いんですけど、始まりを聴いて、これはあったほうがいいなと。何気にサビも転調したりしていて、最初はしっとり聴かせる感じなので、その雰囲気に合わせました。

シャラク:この曲では、自分の理想の行動ができないモヤモヤを歌っています。あと、歌録りにすごく時間がかかりました。最終的には2パターンに絞ったんですけど、自分の中で正解がどこなのかわからなくなって。リウさんから「ニュアンスはお任せします」と言われていたんですけど、ニュアンスをどこまで出していいのかな、あんまり出してヤラしい感じになるのもな…と悩んで、ちょうどいい所に収めるのに時間がかかりました。ちなみに、もうライブでやっているんですけど、ライブでは全く抑えずに、クセ強めで歌っています。

――YouTubeのこの曲のMVに「ライブで聞いてすごくよかった」というコメントが寄せられていました。ファンの方々にはクセ強めバージョンも好評のようですよ。

シャラク:良かったです。そのほうが歌っていて気持ちがいいんですけど、作品としてはいやらしく聴こえてしまいそうで迷ったので(笑)。CDに収録されているほうが綺麗目で、ライブだと自分が歌っていて気持ちがいいためだけに歌っています(笑)。

05.脳内消去(作詞作曲:フクスケ)

――漢字四文字のタイトルが好きな、フクスケさんらしいタイトルです。

フクスケ:この曲はおしゃれなテクノを作ろうとしていて、最後にやっとできた曲です。ちょっと落ち着いた歌声から入り、サビでおしゃれなメロディーが飛び込んできて、始まった瞬間からベースラインがおしゃれ、というのが気に入っています。

――おしゃれで畳みかける感じですね。そして、とても中毒性の高い曲です。

フクスケ:そうですね。僕はずっと同じフレーズが続く曲が好きなんですけど、繰り返しても大丈夫なフレーズがなかなか上手くハマらなくて苦労したんです。でも最後にはできてよかったとホッとしました。

リウ:この曲が最後に届いたんですけど、これがアルバムの心臓部分だなという感じがしたので、丁寧にアレンジしました。一番インパクトのある曲だし、カッコいいなと思って。ベースのスラップもデモの段階から入っていたんですよ。あれを生かしつつ、さらに手を加えました。

――デモの段階から完全おしゃれ仕様だったんですね。

フクスケ:そういうことです。それをリウさんがさらにおしゃれにしてくれました。

リウ:他でいろんなジャンルを弾いたおかげで、こういうのにも対応できるようになったなと思って。昔はこういうフレーズは弾けなかったかもな、と出来上がったときに思いました。

シャラク:オイラは「脳内消去」は肝になるかどうかというよりも、他の曲と毛色が違うなと思ったんです。バンドっぽくないというか。

――確かに。シャラクさんは毎回ブレスで悩まされている印象ですが、歌って大変だった曲はありますか?

シャラク:いつもブレスと譜割りで悩まされます。オイラはけっこうシンプルな譜割りなんですけど、二人とも結構難しいんです。でも今回は歌録りする前に聞いて「今回はいけそうだ! よかった!」と思いました(笑)。

――(笑)。ところで、この曲と「忘れん坊」の歌詞には〈3〉という数字が入っていますが、これは意識して入れたんでしょうか?

フクスケ:そうです。忘れるときって大体3歩歩くと忘れるじゃないですか。三日坊主も3ですし。大体忘れるときは3なんですよ(笑)。なので両方の曲に入っています。「脳内消去」と「忘れん坊」はどちらも忘れるんですけど、片方は自ら忘れる、もう片方は勝手に忘れていく、という使い分けです。

06.戻れぬ世界で(作詞作曲:フクスケ)

フクスケ:これは僕が作りがちな「自分がギターを気持ちよく弾ける曲を作ろうではないかシリーズ」で、刻んでいるギターが自分的にとても心地よい1曲です。

――ギターソロもとても気持ちよさげでした。

フクスケ:そうなんですよ。一度間奏を経てからのギターソロというのがいいなと。

――ここでギターソロ!?という驚きがありました。ところで、フクスケさんのソロといえば、「強くてNEW GAME」ではメトロノームではこれまでやっていなかったタッピングを入れ、「解離性同一人物」ではチョーキングから始まる珍しいパターンでしたが、今回は?

フクスケ:今回はいわゆるエモい、かき鳴らす感じのソロが多めのスタイルです。これのギターソロの最後に、伸びてディレイが深くなって、ヒョヒョヒョヒョヒョンって飛んでいく感じなんですけど、今あれをどうやってライブで再現しようか悩んでいるんです。きっと足で踏めば何とかなると思うんですけどね…悩んでいます(笑)。

07.憂国の空(作詞作曲:リウ)

リウ

リウ:おしゃれテクノというのは僕の引き出しにはなかったので、僕なりのEDMや逆にアコギがあったらいいだろうなと考えつつアレンジしました。

フクスケ:この曲のアコギは鳴りもあるので丁寧に弾いています。

――最後を彩る切なくも美しいアコギでした。ラスサビの歌詞2行は曲頭でも歌われていますが、歌詞カードには載らないんですね。

リウ:歌詞として字面で見たときに、この2行が最初にあると全部結論が見えちゃうというか。ちょっともったいないなと思ったので、最初はメロディーの綺麗さで聴いてもらえればと。歌詞としては最後だけあればいいんですけど、アレンジ的に頭にも入れています。でも、物語としてはここが一番読ませたい部分ですね。

――「東京ロマンチカ」の〈病〉もそうでしたが、この〈最期〉という歌詞がとてもストレートでハッとしました。メロディーが美麗かつキャッチーで自然と体が動く曲でありながら、最後の歌詞で息を呑むという。

リウ:ありがとうございます。そういう感じにできればなと思っていたので嬉しいです。

――曲の終わり方もまたドラマチックだったので、冒頭でお話したように、そこからの「そうだ手紙を書こう」という流れに驚いた次第です。

リウ:なるほど(笑)。

08.そうだ手紙を書こう(作詞作曲:シャラク)

シャラク:本当は他に入れようと思っていた曲があったんですけど、この曲が最後にできて、「これと入れ替えてください」と言って入れた曲です。この曲は本当にパッとできたんですよ。アレンジとかは別として、曲そのものができたのは30分くらいでした。

――降ってきた感じですね。

シャラク:そうですね。そういうことになるのかも。

――キャッチーなメロディーもそうですが、〈みんなに手紙を書こう。感謝の言葉を書こう。〉〈そうだ、何にだってなれるなら そうさ、空にだってなれるんでしょう?〉というポジティブな歌詞に驚きました。

シャラク:そういう風に受け取ってもらえると嬉しいです。

――感謝の言葉は「弊帚トリムルティ」の時にも〈ありがとう〉という言葉が出てきましたね。その時はメンバーの皆さんに向けてでしたが今回は?

シャラク:今回の感謝の言葉は、お世話になった皆様に向けて送っています。

――お二人はどんなアプローチをしましたか?

フクスケ:この曲はクリーンなので歯切れよく気持ちよく弾こうと意識しました。タッタラッタッタッタという感じを気持ちよく出せるようにやっています。

リウ:シャラク君の曲だからというより曲ごとに自然とアプローチしています。メトロノームはドラムが打ち込みなので、ベースでノリやニュアンスを出さなきゃなと思っているので、やりがいがありますね。

09.Hello Stranger(作詞作曲:リウ)

――「憂国の空」とは真逆とも言えそうな、とてもストレートな歌です。

リウ:書いた順としては「Hello Stranger」のほうが先なんです。この曲でストレートな歌詞を書いたので、「憂国の空」は、何となく自分の中では物語は同じ舞台上にあるんですけど、少し憂いの方向の設定というイメージですね。

――〈涙した〉〈嫉妬した〉〈そして僕らは弱さを知った〉と、胸の内を曝け出す歌詞ですね。

リウ:この曲では人間の弱さを歌っています。自分はどちらかというと前向きな人間ですけど、そういう気持ちのときもあるので。誰でもあるんじゃないかな。でも「大丈夫じゃない?」と(笑)。でも、だからこそ余計タイトルを悩みました。あまりストレートにしたくなかったので、ちょっと変わった感じにしたんです。「Hello Stranger」って、別の意味で「お久しぶりです」ってちょっと冗談ぽく言う意味合いもあるんですよ。久々にライブに来た人たちへの挨拶代わりにもなったらいいなと思って。

――二つの意味がある言葉なんですね。ところで、メトロノームの選曲会はどんな感じで決めていくんですか?

フクスケ:レコード会社の担当者さんも含め、基本的には平和的に多数決で決めます。

――メトロノームらしいです(笑)。リウさんは今回一番自信をもって送り出した曲が票を集められなかったそうですね。

リウ:そうなんです。今回のアルバムにも入っていません(笑)。でも僕、そういうことが毎回あるんですよ。自分だと客観的になれない部分もあるので、選曲会の時は周りの意見を尊重するんですけど、そこから時間が経ってちょうど今くらいになると、「あぁやっぱり」と思うんですよね。今回6曲出して、全部違うタイプの曲を書くようにしたんですけど、6曲の中からこの3曲が選ばれたのもわかるなと。

10.忘れん坊(作詞作曲:フクスケ)

フクスケ:この曲は、基本的にギターがジャカジャカいっていて、観ている人が元気にノれて、楽しめる曲になればいいなと思って作りました。

――ライブで聴きたい1曲です。

フクスケ:そうなんです。まさにライブ映えを意識した曲です。

――ちなみに、メトロノームで一番の忘れん坊はどなたですか?

フクスケ:僕じゃないですかね。物事を忘れるのは僕が一番多いです。

リウ:僕は忘れ物が多いです。

シャラク:オイラも忘れます。

フクスケ:これくらいの年になると大体忘れていくんですよ。スルッと。

リウ:(笑)

――〈忘れたくって忘れてる物などひとつも無い〉けど忘れちゃうぞと。

フクスケ:そうです! 一つもないんだぞ!と(笑)。

11.まだ見ぬ世界(作詞作曲:シャラク)

リウ:「テンションゲーム」とはまた違った意味でびっくりした曲です。

シャラク:びっくりしたというのも、曲出しのデモの段階では本当に全く違っていて、サビだけしか残っていない感じだったんです。この曲はギターとベースが入っていないので、ミックスをお願いする時に初めて完成した音を聴くわけじゃないですか。「…全然違う」と思ったのを覚えています。

全員:(笑)

シャラク:オイラのデモって、歌とドラムとベースくらいしか入っていないので、今回こういうことが起きたことで、今後はこういう状態でもちゃんと曲出しに持っていけるように頑張ろうと思いました(笑)。

――こういう構成にしたのはなぜだったんでしょう?

シャラク:最初、ギターとベースでヘヴィーなリフを弾いて、激しいAメロで、急にサビで開ける…という曲を作ろうとして、結果打ち込みだけで作らせてもらうことになったんです。それで、打ち込みだけだったらメロディーを変えようかなと思ったらこうなりました。

リウ:ギターとかベースがヘヴィーなのが1回目に来て、2回目にちょっと変わったのが来て…なので大幅に3段階変化があったよね。

シャラク:そうそう。楽曲が揃ったときに、フクスケがおしゃれなテクノみたいな曲を意識してという話をしていて、じゃあやろう!ということで、この曲をテクノ枠として作ろうと思ったら、最終的にこうなった感じです。オイラのはおしゃれが抜けて「テクノ枠」ですけど(笑)。

――なるほど(笑)。どの曲もライブで聴くのが楽しみです。さて、リリース後まもなく、ツアー「醍醐味カルチベート」がスタートします。「カルチベート」は太宰治の『正義と微笑』に出てくる言葉ですが、「土地を耕す」「栽培、養殖、培養する」「才能を磨く、高める、洗練する」「友情を育む,深める」などなど色々な意味があります。

フクスケ:基本的には全ての意味合いが含まれているんです。21年目を迎えて、バンドとしてのメトロノームや、個々のメンバーの1番の醍醐味を育てていけるような、そしてそれを出していけるようなワンマンツアーになったらいいなと思って付けました。

――バリエーション豊かなこのアルバムを引っ提げてのツアーとなると、様々な意味合いのカルチベートがありそうですね。

フクスケ:そうですね。観に来てくれる人たちも色々違った印象を受けるかもしれないなと思います。

――2019年も残りわずかとなりました。メトロノームの今後の目標を聞かせてください。

シャラク:より広く、皆に認められるようなバンドになりたいです。

フクスケ:今、環境がとても良くて、いい感じで活動させてもらえているので、この環境を維持しつつ、より良くなるような活動内容もそうですし、自分たちの裏の動きも充実させられたらいいなと思います。

リウ:このアルバムもそうですし、シングル『Catch me if you can?』の収録曲3曲もそうなんですけど、2019年のメトロノームはすごくクオリティの高い楽曲を作ることができたなと思うんです。それで本当にジャンルの壁も超えていけるんじゃないかという自信もあるし、そういうライブや音源もできたので、来年はもう1歩羽ばたいて、更にいろんな人に知ってもらいたいなと思います!

フクスケ:何しろ、おしゃれなアルバムができましたからね!

全員:(笑)

(文・後藤るつ子)

ARTIST PROFILE

メトロノーム

<プロフィール>

シャラク(Vo)、フクスケ(G)、リウ(B)によるテクノ・ポップ・ヴィジュアル系バンド。1998年に結成。テクノ・ポップの他、ニューウェイヴやパンクロックを色濃く感じさせる特異な音楽性で注目を集める。2009年の5月31日にC.C.Lemon ホールでのライブをもって活動を無期限で停止。7年後の2016年同日に復活を発表。9月19日にZepp Tokyoで行われた再起動後初のワンマンライブ『Please Push Play』をソールドアウトさせた。再起動後、3枚のシングルとアルバムをリリース。2019年11月23日より、ニューアルバム『確率論≠paradox』を掲げたワンマン・ツアー2019「醍醐味カルチペート」がスタートする。

■オフィシャルサイト
http://meto21.com/

【リリース情報】

New Album『確率論≠paradox
2019年11月20日発売
(発売元:KING RECORDS)

確率論≠paradox
【初回限定“メト箱”仕様】
(CD+DVD)
KICS-93864
¥5,000+税
amazon.co.jpで買う
確率論≠paradox
【通常盤】
(CD Only)
KICS-3864
¥3,000+税
amazon.co.jpで買う

【収録曲】

[CD]※初回限定“メト箱”仕様・通常盤共通
01. ニイチ点時空論
02. テンションゲーム
03. Catch me if you can?
04. とある事象
05 .脳内消去
06. 戻れぬ世界で
07. 憂国の空
08. そうだ手紙を書こう
09. Hello Stranger
10. 忘れん坊
11. まだ見ぬ世界

[DVD]
Catch me if you can?(music video)
とある事象(music video)
特典映像:「シャラクの日」Live at LIQUIDROOM ebisu, August 11, 2019より 抜粋

【ライブ情報】

●メトロノーム ワンマン・ツアー2019「醍醐味カルチペート」
11月23日(土)新宿BLAZE
11月30日(土)仙台darwin
12月7日(土)Umeda TRAD
12月8日(日)名古屋CLUB QUATTRO
12月14日(土)福岡DRUM Be-1
12月15日(日)広島SECOND CRUTCH
12月22日(日)CLUB CITTA’

●メトロノーム FEST.2019
黒の日-ウィスヌ-
11月2日(土)新宿BLAZE
出演:メトロノーム / 彩冷える / D

白の日-イスワラ-
11月3日(日)新宿BLAZE
出演:メトロノーム / 新宿ゲバルト / 人間椅子

●メトロノームpresents COUNTDOWN≠paradox→2020
12月31日(火)品川インターシティホール