2014年の集大成として掲げたテーマ“シアトリカル”。その名を冠した第一作目となるシングル『シアトリカル・ブルーブラック』とは――
このシングルのリリースに先駆け、12月3日に2ndフルアルバム『THE”420″THEATRICAL ROSES』のリリース、そして、12月22日にはバンド史上初の渋谷公会堂公演「THE THEATRICAL SHOW」『鳥ハ泳ギ方ヲ知ラズ溺レ亡骸』を発表したMEJIBRAY。今回のシングル『シアトリカル・ブルーブラック』はニューアルバムのキーであり、トリガーでもある。新たな幕開けを予感させるこの作品について、4人に語ってもらった。
◆上に何をのせても負けない色(綴)
――先日アルバムのリリースが発表されましたが、いつの間に録ったのかと驚かされました。
MiA:8月下旬には完全に録り終わってましたからね。
綴:シングルは5月には完成して、3~5月は「KILLING ME」「Divergence」「シアトリカル・ブルーブラック」のMVを録っていました。
――マンスリーでMV撮影とは、すごいスケジュールです。ところで、今回のシングル『シアトリカル・ブルーブラック』、思わず二度見するタイトルですね。
綴:お、それはインパクトがあるってことですね?
――全てカタカナというのも目を引きます。
綴:実は最近のMEJIBRAYの曲名は英語が少ないんですよね。セットリストを作るとカタカナと漢字ばっかり(笑)。
――このタイトルの意味するところを教えてください。
綴:“シアトリカル(theatrical)”という単語の意味で一番最初に出てくるのは「劇場的な」という意味ですよね。これは自分の中で欠かせないワードなんです。ただライブをするだけだったらいいんですけど、ワンマンライブ中は絶対、演出的に、自分が自分じゃなくなるような空間がほしいんですよ。この曲はアルバムのキーであってトリガーだと思っています。アルバムのリリースと渋公でのライブを発表して、これからシアトリカルな2014年末に向かって、もっと大きくシアトリカルなMEJIBRAYを打ち出していくという、言わば今年の集大成ですね。
――MEJIBRAYのキーともいえるシアトリカルというテーマをこの段階で掲げたのはなぜでしょう?
綴:去年の夏頃から、僕らにはそういう一面があるんじゃないかと思うようになって、だったらもう大々的に銘打っちゃったほうが良いやと思ったんです。誰かがやる前にやってやろうと。うちがシアトリカルって言葉を出していなかったら、例えばMEJIBRAYのライブを見た若い子が、この言葉を使っちゃうかもしれないじゃないですか! それは困る! なのでこの作品を、うちがシアトリカルなバンドだと伝える第一作目にしたんです。
――では“ブルーブラック”は?
綴:これは、万年筆のカートリッジの色で、一番濃い黒なんですよ。上に何をのせても負けない色。
――ブルーブラックは、書いた時点では青と黒の間のような色合いで、時が経つと黒だけが残るそうですね。これもとても含みがあるなと思ったんです。
綴:真っ黒になるんですよ。こういうのができるのはうちだけだと思うんです。今、いろんなバンドが出てきているし、刺激はあるし、あのバンドはヤバいなっていうのはあるんですけど、冷静になって考えたら、自分はMEJIBRAYが一番好きだからMEJIBRAYをやっているんですよね。勝ち負けとか比べるんじゃなく、自分たちの中でも塗り替えられなくていいんだなと思ったんです。みんな他にも好きなバンドがあるかもしれないけど、MEJIBRAYはMEJIBRAYだと思ってくれていると思うので。
◆自分たちで叩いて、弾いて、歌っているのは、そこに個人の個性が詰まっているから(恋一)
――MEJIBRAYの曲作りはどのように進めているんでしょう?
綴:基本、僕とMiAで作るんですけど、MiAに「どうする?」って聞いたら、「こういう感じ」って言われて、「じゃあお願いします」と。曲ってパターンがあるじゃないですか。今回は「王道で」と言われたので「あ、そういうのがよかったよねー」という、メールだけのゆるーいやりとりです。
――その段階では「シアトリカル・ブルーブラック」というタイトルは?
綴:伝わってないです。だから各々やりたいようにやってるんですよね。縛りがないというか。「シアトリカル・ブルーブラック」いう言葉は曲が来てから浮かびました。元々「シアトリカル」という言葉は入れたかったんです。そうしたらサビに入っていた音が「タータータータータータータタッター」…で、完璧(笑)! なんて完璧なメロディがついてきたんだろうと思って。
――MiAさんさすがだ!と。
綴:そうです。MiAさんの手柄です。
MiA:俺の手柄になってるけど違うと思う(笑)。
綴:まぁ、こんな感じでばっちり乗ったんです。
――なるほど。では、MiAさんは今回はどんな曲にしようと思っていたんですか?
MiA:アルバムの先行シングルなので、王道なもので行こうと思ったんです。アルバムの入り口として入ってもらって、アルバムを聴くとバリエーションがあるようにしたいなと。僕は2年分くらい、ざっくりとした企画書を作っているんですよ。この時期にはこう思われてるんだろうなとか、あー言われはじめるとかある程度想定出来るじゃないですか。だからそういう事を踏まえて色んな方面に対するアプローチの仕方を練ります。
綴:結成当初、MiAから昔のヴィジュアル系を分析した年表が長文メールが来ましたからね。
MiA:計画性があるほうが好きなんです、あんまり性格がロックじゃないんで(笑)。
――ブレインですね。
MiA:でも全員僕みたいだったら絶対まとまらないので、MEJIBRAYはいいバランスなんです。みんながロックなアプローチをしてくれるから、僕はロックである必要がなくて、そっちに専念できるんです。
――絶妙なバランスです。では、レコーディングはいかがでしたか?
恋一:僕、レコーディングのスタジオに行く前に、いつもコーヒーを買うんですよ。普段は眠くならないようにブラックなんですけど、今回はレコーディング前に渋滞がすごい場所を通らないといけなかったし、自分にご褒美をあげようと思って、コーヒーに毎回ミルクを入れてたんです。その違いが出たかなと。
――それはどういう…?
恋一:やっぱり違うんですよ。例えば朝ごはんを食べた日と食べない日のレコーディングは違うと思うし、スタジオまでスムーズに行けた日とそうじゃない日の録りは全然違うと思うんです。今回の“何か違ったな”を考えたときに、僕は「コーヒーにミルクを入れたな!」と思ったわけです。ベースは3曲を1日で録ったんですけど、これがあったから、「1曲録り終わってもまだいける!」と。やっぱりミルクを入れると違うのかなと思いましたね。
――ミルクが鍵になったんですね。意図的にやったんですか?
恋一:たまたまですね。でも、その違いがなかったら誰が弾いても一緒じゃないですか。自分たちで叩いて、弾いて、歌っているのは、そこに個人の個性が詰まっているからですよね。最後はその精神的な部分が大きいのかなと思います。
――メトさんはレコーディングは?
メト:………………………。
るあな:俺も3曲を1日で録りました。でも俺、いつもレコーディングの前に眠れないんです。遠足の前が楽しみで眠れないみたいに。そうすると叩きながら眠くなるんですよね。セッティングに時間がかかりすぎてそれだけで疲れちゃうし。昨日もフルセット持ち込んで4時間練習したんですけど、セッティングに2時間以上かかってびっくりしました、と言っています。
――それは大掛かりですね。
メト:………………………。
るあな:レコーディングも、セッティングしたりチューニングしたりで大体2時間位かかるんです。そこからやっとスタートだから、集中力をもたせるためにも、前日は寝ないといけないのに眠れないんですよ。c/wの「BI”name”JIKA」のサビの録りとかもう眠くて(笑)。その時の自分のテンションで録る曲順を激しいのからにしたりしてるんですけど、それで録り終わって帰るともう寝る体力すら残っていなくて、また寝られないんですよね、と言っています。
――レコーディング中、眠くなるというのは初めて聞きました(笑)。
綴:レコーディング中は眠くならないですけど、僕が数年前バーベキューを企画して、みんな呼んで、前日からコ〇トコに買いに行って、仕込みをして、当日なかなか火がつかなくて、「やっと火がついた!」…ってところからバーベキューが終わるまで寝ていたことがあります。
恋一:あったあった! 寝てた!
綴:起きたら全員、肉を食い終わって帰り支度をしてるんですよ! 途中起こそうとバンバン叩いたらしいんですけど全く起きなかったらしくて、すべてのバーベキューが終了した時に目を覚ましました。頑張りすぎたんでしょうね。そこから仕込みというものを僕はしなくなりました。
メト:………………………。
るあな:俺の場合も仕込みですよね。予習復習とかやっていると眠れなくなりますからね。俺は真面目なんで(笑)、と言っています。
――MEJIBRAYのレコーディングは楽しそうですね(笑)。
恋一:エンジニアさんがアーティストサイドの考え方の方なんですよ。「面白いからいいじゃん!」て言ってくださるので、MEJIBRAYに合っているというか。サウンド面を抜きにしても人間的にも合っているし、一緒に何か作ろうと思わせてくれる人なので、僕らが自分たちがやりたいことを突っ込めるんです。
◆いつも狙っているのは「ありそうでなかった」(MiA)
――c/wの「BI”name”JIKA」についてお聞きしたいのですが、真ん中の「”name”」は発音しないんですね。これはどんな意味なんでしょうか。
綴:そこも各々感じてもらえれば。受け取る側にお任せです(笑)。
MiA:曲的には今回、タイトル曲の「シアトリカル・ブルーブラック」が王道なので、この曲ではちょっと違うテイストのものを入れたいなと。サビの音階とかスケールの音階の感じを和にしました。
――タイトルから全く想像がつかないですよね。
MiA:大体新しいテイストのものを入れる時にいつも狙っているのは「ありそうでなかった」なんですよ。ガラッと音楽性を広げたり変えるのもバンドイメージを雑多にしてしまって違うし。
――今回「シアトリカル・ブルーブラック」のMVをSPOTで観たときに王道だと思ったのに、音源を聴いて「あれ!? ちょっと新しい!」と思ったのですが。
MiA:そうなんです。ちょっと新しいんですよ。サビはやっぱり核になる部分なので、プロモーションで流れたりするじゃないですか。その時にMEJIBRAYっぽいなと思ってもらえて、でも全部聴いたときに「あれ? ちょっと違うね」ってMEJIBRAY好きな子達が思ってくれれば狙い通りです(笑)。
メト:………………………。
るあな:そのSPOTは俺が作ったんです。伝わったなら良かった、と言っています。
MiA:サビだけ聴いたらいつもと変わらないですからね。シンコペーションもコード進行もメロも「カルマ-瓦礫のマンティコーラース-」(ライブ会場・通販限定シングル)とか「サバト」(2ndシングル)と同じ感じですし。音楽性広げるのは安易な事なんですけど、バンドとしてそれが良い結果に向かうかは博打なのでタイミング見て広げていきたいですね。今回みたいにC/Wで今までと違う要素入れたりとか。アプローチ方法とタイミングは大事にしたいです。
――サビは安定のMEJIBRAY感がありました。
綴:実は、SPOTが出た時点で「またこれですか、そろそろ違うことしたほうがいいんじゃないですか」ってファンメールがきていたんです。SPOTで判断しやがって、見てろよと思って、一昨日、モバイル会員限定でフルMVを流したんですよ。そうしたら、同じ子からファンメールがきて「すみませんでした。本当にかっこいいです」と。
全員:(笑)
綴:だからSPOTで判断するなと。
MiA:15秒って掴みですからね。SPOTは怖いです(笑)。
――「シアトリカル・ブルーブラック」で王道からの新鮮味があり、「BI”name”JIKA」でありそうでなかった新しいテイストが入りましたが、通常盤に収録される「HATE」はまた全く違うパターンですね。
綴:これは前にちょこっとあったパターンの曲なんですよ。
MiA:50曲くらいある中のほんの3曲くらいですけどね。
綴:僕がたまにパンク寄りのハードロック寄りのテイストを作るんですけど、今回MiAが「HATE」を持って来てくれたので「お!」と。
――これはぜひライブで観たいですね。
綴:4カ所の振替のワンマンで「BI”name”JIKA」と「HATE」をやったんですけど、いい感じに盛り上がってくれました。
――ところで、前回の「Divergence」でコーラスを頑張った恋一さんですが、今回は?
恋一:僕も入ってます。
綴:最近コーラスを頑張っていますからね。
◆新たなMEJIBRAYのスタートのつもりで(メト)
――ところで、今回のアー写でもまたまたビックリさせられたのですが…。
綴:メトのアブノーマルベイビーですね。
メト:………………………。
るあな:3周年で原点に戻ろうかと思って、と言ってます。
――戻りすぎです。
メト:(笑)。
綴:「DIE KUSSE」「DECADANCE – Counting Goats … if I can’t be yours -」に続いて、今回も撮影でびっくりしました。「赤ちゃんがいる!」と。
メト:………………………。
るあな:でも、何か月か前から「赤ちゃんになる」って伝えてたんですよ、と言っています。
綴:「赤ちゃんになる」…赤ちゃんてなんだよ。
全員:(笑)
綴:と思っていたら赤ちゃんでした。
――予想通りでしたか?
綴:いや、すごくかっこいい赤ちゃんだなと。
――赤ちゃんというのは斬新ですね。
メト:………………………。
るあな:3周年て、よく原点に戻るって聞くので。新たなMEJIBRAYのスタートのつもりで、というのもありますし、単純にやってみたかったっていうのもあります。でも、今回の赤ちゃんも、「DIE KUSSE」のかっこいいのも、『THE"420"THEATRICAL ROSES』のカワイイのも、それをできる俺がかっこいいと思っているってことを、書いておいてください。カワイイとかじゃないんですよ。そういうことをできる俺がかっこいいんです。そこをみんなはき違えているんですけど、間違えんなよ、と言っています。
綴:衣装といえば、次のアルバムのアー写で、僕、網を着てないんですよ。ファンメールで「網やめちゃったんですか? 悲しいです!」みたいなのがいっっっぱい来たんです。でも、「KILLING ME」でも僕、網を着てないんですよ。
――!
綴:「Sadisgate」(3rdシングル)も「EMILY」(4thシングル)も着てないし。「KILLING ME」なんて素肌が出ていて明らかに網を着てない写真をblogのヘッダーにしていたのに…。いつも着てるわけじゃねーから! みんなちゃんと見てるか?と言いたいですね。まぁでもライブでは着るからな。網がないと恥ずかしくて上が脱げないんですよね。乳首をさらすのはちょっと…
――その羞恥ポイントがよくわからないですが(笑)。
綴:網は大事です。でも次はバラードのMVなんですよ。バラードで網って気持ち悪いじゃないですか。なので、網をいつも着ているわけじゃないんだぞということを言いたいです。
――網も気になりつつ、この取材の3日後にはZepp DiverCity Tokyoでのライブが行われますね。
メト:………………………。
るあな:ドラムセットがかっこいいですよ、と言っています。
――要注目ですね。前回のインタビューでは「ガンダムを見てからZeppに来い」と言っていましたが、今回は?
恋一:(親指を立てつつ)ガンダム見てね。 ガンダムとMEJIBRAYとどっちがかっこいいか見てて。という感じ。
綴:でも、MEJIBRAYは持ってるバンドなんで、台風呼んじゃってるんですよね。
恋一:だけど、そういうライブって記憶に残るじゃないですか。僕が観に行った中で記憶に残っているライブも台風の日のリキッドルームでしたからね。頑張って来て良かった!と思いました。
綴:でも、お客さんがたどり着けないと困るので、24日までに台風をどかします! もしくは、静岡あたりで消滅させます! あ、ガンダムが消してくれるかもしれません(笑)。
(文・後藤るつ子)
MEJIBRAY
<プロフィール>
綴(Vo)、MiA(G)、恋一(B)、メト(Dr)の4人からなるロックバンド。2011年6月18日より活動をスタートさせ、2011年8月24日、1stシングル『KILLING ME』をリリース。同年12月7日にはミニアルバム『Slivers.exe』を、2012年5月2日には1stフルアルバム『Emotional【KARMA】』をリリースする他、精力的にライブを行う。5月7日にシングルコレクションである今作『SM』をリリース。12月3日に2ndフルアルバム『THE”420″THEATRICAL ROSES』のリリース、そして、12月22日にはバンド史上初の渋谷公会堂公演「THE THEATRICAL SHOW」『鳥ハ泳ギ方ヲ知ラズ溺レ亡骸』を行うことを発表した。
■オフィシャルサイト
http://mejibray.com
『シアトリカル・ブルーブラック』
2014年9月24日発売
(発売元:フォーラム/販売元:ダイキサウンド株式会社 )
3周年を迎えたMEJIBRAYの11枚目となるシングル。12月にリリースされるニューアルバムの序章というべき1枚。
【収録曲】
【初回盤 Aタイプ】
[CD]
01.シアトリカル・ブルーブラック
02.BI”name”JIKA
[DVD]
「シアトリカル・ブルーブラック」Music clip
【初回盤 Bタイプ】
[CD]
01.シアトリカル・ブルーブラック
02.BI”name”JIKA
[DVD]
会員限定ツアードキュメント
【通常盤】
[CD]
01.シアトリカル・ブルーブラック
02.BI”name”JIKA
03.HATE
2014年12月3日
2nd Full Album Release
『THE”420″THEATRICAL ROSES』
(発売元:株式会社フォーラム/販売元:ダイキサウンド株式会社)
【収録曲】
【初回盤】
[CD]
01.シアトリカル・ブルーブラック
02.DiefiL
03.Hungry Psychopath
04.Mr.レインは死んだふり
05.RAVEN
06.埋葬虫
07.Contagion
08.Echo
09.hatred × tangle red × hunger red
10.瞬間のアイディアル
11.BOWWOW
12.SUICIDAL WORD GAME
13.SERVANT
14.Cristate
15.鳥は泳ぎ方を知らず溺れ亡骸
[DVD]
「Echo」Music Clip
【通常盤】
[CD]
01.IDEA
02.シアトリカル・ブルーブラック
03.DiefiL
04.Hungry Psychopath
05.Mr.レインは死んだふり
06.RAVEN
07.埋葬虫
08.Contagion
09.Echo
10.hatred × tangle red × hunger red
11.瞬間のアイディアル
12.BOWWOW
13.SUICIDAL WORD GAME
14.SERVANT
15.Cristate
16.鳥は泳ぎ方を知らず溺れ亡骸
17.COPERNICUS
【ライブ情報】
2014年12月22日(月)渋谷公会堂
「THE THEATRICAL SHOW」
『鳥ハ泳ギ方ヲ知ラズ溺レ亡骸』
Open17:30/Start18:30
前売り:4,800円 当日:5,300円 D別