KHRYST+

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KHRYST+が放つ1st ダブルAサイドEP『贖罪』。全く異なる二つの楽曲とヴィジュアルから溢れ出す光と闇――

昨年11月1日、初音源となる0thミニアルバム『BASALT』を手に始動したKHRYST+が、次なる作品として『贖罪』と名付けられたダブルAサイドEPを完成させた。既にMVが公開されているが、「SACRED」と「クラクラ」という二つの楽曲、そして二つの全く異なるヴィジュアルで、KHRYST+の光と闇が描き出されている。さらに、ライブでもすでにお馴染みとなった「LET’S SING ALONG」(※Redemption Cのみ収録)も収録され、まさに彼らの“1st”作品にふさわしい一枚に仕上がった。始動から半年がたった今、平成から令和へと時代が移り変わる中で、この作品を掲げた彼らはどんな未来を思い描いているのか、BYO(Vo)、QUINA(G)、IЯU(B)、JIN(Dr)の4人に話を聞いた。

◆音楽のことについてはどんどん揉めていきたいと思っている(BYO)

BYO

――バンドの始動から半年が経ちましたが、皆さんにとってどんな期間でしたか?

BYO:めちゃくちゃ早かったですね。1stライブ(昨年11月1日に行われたKHRYST+ LIVE #000000@SHIBUYA O-WEST)が終わって、次のライブまで3ヵ月くらい空いた時は、「あと〇ヵ月もあるんだ…」と思っていたんですけど、2月の僕のバースデーライブ以降、本格的にライブをするようになってからは時間が経つのが早いなと。

――自分たちのペースは掴めましたか?

BYO:掴もうとしているところですね。この半年の間に、もっともっとライブをしておけばよかったのかなとも思いつつ、これから1周年に向けてライブの本数も増えると思うので、個人的にはもっとやりこんでいきたいという気持ちがあります。

IЯU:バンドをゆっくり組み立てていく感じかなと思っていたんですけど、そんなこともなく、あっという間に時間が経った感じです。僕らは2年間シーンから離れていたので、自分たちがやっていた時との差異にビックリもしていて。ここからもっとガツガツやって、KHRYST+というものを浸透させていきたいなと思っています。

JIN:僕もこの半年は模索と創作の日々でした。

――今回のリリースはいつ頃決めたんですか?

QUINA:春にリリースしようということは、昨年末の段階で決まっていたんです。でも具体的な日や形態は徐々に固まっていったので、レコーディングのスケジュールがカツカツで。メンバー全員すごいことになっていました。

BYO:曲のストックはあったんですけど、実際レコーディングのスケジュールが決まらないとなかなかエンジンがかからず(笑)。スケジュールが出てから本格的にやったので、制作に追われた非常に苦しい日々でした。

QUINA:3月中旬~下旬にかけては常に音楽していましたからね。

BYO:うん。「どこの売れっ子だよ!」って感じだったよね。

QUINA:ライブの本数自体は多くないのに、なぜかレコーディングの時期に集中していて(笑)。でも今回、早め早めの行動を心がけたほうがいいと学んだので、僕は今から次に向けて曲を作ろうと思っています。

――ダブルAサイドEPという形態にしたのはどういう経緯があったんでしょう?

BYO:KHRYST+の1st作品はこの1作しかないじゃないですか。普通にやっても面白くないということで社長にわがままを言って、衣装も2着、MVも2本撮らせてもらいました。“普通”を一番避けたかったんです。ただ、3曲とも元々曲自体はストックとしてあったんですけど、1stには弱いかなと思ったので、「SACRED」と「クラクラ」は再構築したんです。ただ、これが一番厄介で、既にあるものを一度壊して再構築しても、元のイメージがなかなか抜けないんですよね。特に「クラクラ」はライブでも元の形で一度やっていたので余計にそう感じました。

――今回の収録曲は「SACRED」と「LET’S SING ALONG」がJINさん、「クラクラ」がQUINAさん原曲です。JINさんは前回のインタビューで「バンドをやろうかとなった時にあった曲のストックを、BYOに全部完全否定された」と言っていましたが今回はいかがでしたか?

JIN:KHRYST+の曲はBYOの案を元に作っているんですけど、最初にいろんなイメージをもらって組み立てて「これ、どう?」と見せたら、「何じゃこりゃ」と言われたりもしました。

全員:(笑)

BYO:感覚で伝えるところもあるので、実際音になって返ってきたときに、例えるなら唐揚げ1個しかないのにご飯大盛り、みたいなバランスになっていたりするんですよ。

JIN:偏りすぎているってことなんでしょうね。なので、それを踏まえてこの曲に似た別の曲を作った感じです。

BYO:僕が指示を出すと、超大変だと思いますよ。

――前回はLINE上で文字の殴り合いだったそうですが。

BYO:なので今回は直接会ってやり取りしました。「埒が明かねえ!」と思って(笑)。

JIN:一緒にやりながら、「こういうの?」って弾いて見せたりすると「そうそう!」と言われたりしたので、僕は難しく考えすぎていたんだなという発見もありました。やっぱり文字のやり取りだけだと難しいので、目を見て作ることができて良かったです。

BYO:彼はナルシストなので、カッコ悪いところを見せたくないというか、言われたものに対して倍以上のものを返してやるわ!という負けず嫌いなところがあるんですよね。

JIN:言葉を音にするって難しいんですよ。人によって発想も捉え方も違うし。

――難しく捉えてしまうというのは、よりカッコいいものにしたいという気持ちが強いからなんでしょうね。

JIN:そうなんです。難しいものを返そうというより、かっこよくしたいと思っているんですよ。

BYO:それはいいから僕が言ったままのものを一度くれ!という言い争いをしたこともありますね。

JIN:それも感覚の違いで…

QUINA:だんだん小競り合いみたいになってきた(笑)。

BYO:(笑)。でも、音楽のことについてはどんどん揉めていきたいと思っているんです。遠慮することなく言ってもらいたいので、あえて火を点けているところもありますね。僕はあまり人に喧嘩腰になることはないんですけど、このバンドでは、「こういうことを言ったらもっと燃えるんじゃないか」「バンドのためになるんじゃないか」と思ったことは、あえて強く言っています。でもこれって嫌われ役なので精神が削られるんですけどね…。

――BYOさんが何だかとても大人になった気がするのですが…。

BYO:なっちゃったんですよ。本当はくだらないことばっかり言っていたいんですけどね。

QUINA:半年前のインタビューと全然違うよね。

BYO:え、半年前も大人でしたよね!? 元々、僕は仕切れる人間じゃないので、流れに身を任せてプカプカ浮いていたいんです。でも、やっぱりバンドにはヴォーカルのイメージがつきやすいし、今の環境になって引っ張っていかないといけないなという意識になって。とは言え、きっちりした大人にはなりたくなくて、そこに振り切れない自分もいるんですけどね(笑)。

――メンバーの皆さんに、ビシビシ指摘する今のBYOさんはどう映っているんですか?

BYO:QUINAとIЯUは昔を知らないからね。本当は俺ね、良い人なの。

全員:(笑)

IЯU:ヴォーカルだし、こういうものなのかなと。KHRYST+ってちょっと特殊だと思うんです。二つのバンドから二人ずつ、付き合いの長いメンバー同士で一つのバンドが構成されている。なので、それぞれが模索しているところがあると思うんですよ。ただ、俺もQUINAもヴォーカルの意見が全くないバンドはやりたくないと決めた上でKHRYST+を始めているので、今の状況に違和感はないですね。良い悪いではなく、あるべき姿の一つかなと。

――IЯUさんは以前、強い意思のあるヴォーカリストがいいと言っていましたよね。

IЯU:そうです。表現者ですからね。

――JINさんに、今のBYOさんはどう映りますか?

JIN:あ、本当は良い人なんだ…と初めて思いました。

全員:(笑)

JIN:本当は良い人だとわかって、今すごくホッとしています(笑)。でも僕も感化されますし、気が引き締まるような一面も大事ですよね。新しいバンドではありますけど経験は長いので、気を引き締めていかないとなと思うんです。

◆KHRYST+をやり続けてきた成果を感じた(IЯU)

IЯU

――今回のタイトル『贖罪』は、バンド名とリンクした言葉ですね。BYOさんから「このタイトルを付けた意味を聞かれても答えられないけど、これが俺に出来る贖罪なんだと思う」という言葉がありましたが、バンド始動における「受難と復活」、そこからの「贖罪」という言葉に込められた意味があるような気がしました。

BYO:タイトルを何にしようか考えているときに見つけた言葉で、すごく引っかかったんです。何でこのタイトルにしたのか理由はわからないんですけどね。

JIN:僕は、この言葉自体がシングル全体のテーマだと思っていて。「SACRED」「クラクラ」というタイプの違う二つの曲を表に出して、俺らをもっと知ってほしい、新しい俺たちを理解してほしいという意味でのこのタイトルだと思うんです。

――KHRYST+の二つの面を見ることができる1枚ですね。

JIN:光と闇という感じですね。楽曲も映像も良い表現ができたと思います。

――曲は『贖罪』というタイトルありきで選んだんですか?

QUINA:いや、曲が揃ってからタイトルができました。

JIN:だからより、音で償おうという気持ちを感じたのかもしれませんね。BYOは「何でこのタイトルにしたのかわからない」と言っていましたけど、言わないだけで、きっと自分の中には答えがあると思うんですよ。

――では各曲の聴きどころを教えてください。

01.「SACRED」

――〈真っ赤な果実〉〈蛇〉〈楽園〉〈鳥〉と聖書に描かれているものたちが散見されます。

BYO:バンド名が“KHRYST+”ですからね。1stのタイミングで入れたいと思ったんです。

JIN:この曲は3サビの入りをどうするかで揉めました。普通に入っても面白くないから色々やってみたんですけど、スタジオで「普通のままでいいんじゃないか」とか「ここでブレイクがあるのに、またブレイクが来ても」という小競り合いがあって(笑)。最終的には意見が割れすぎて空中分解して、結局新たに作ってこっそり持っていったものになりました。

QUINA:一度揉めた後なので、作曲者がこう言っているならこれでいいかなって(笑)。

BYO:何が正解かわからなくなっちゃったんだよね(笑)。

JIN:最終的に一番カッコいいものになったので良かったです。

BYO:僕も各サビの入りが気に入っているんですけど、1~2サビは気持ちがいい入りではないんですよね。そういう特殊なことをやっているのに、3サビでさらに何かやろうとしているということが僕には理解ができなくて…

QUINA:また小競り合いが(笑)。

BYO:(笑)。この曲は「クラクラ」と同時進行で作っていて、あっちはサビの入りがジャストなんですよ。なので、ちょっと変なことがしたくて何パターンも考えて。それが揉めた原因かもしれません。

JIN:クリーンな曲ではないですよね。光と闇の光の曲ではあるんですけど、そこに闇を少し感じさせるような曲になりました。

QUINA:僕は、自分の中にあるエッセンスは「クラクラ」に100%出そうと思っていたので、「SACRED」に関しては完成するまで何も言わないようにしようと思ったんです。ギターもイントロのタッピングには僕らしさが出ているんですけど、基本的にはデモに忠実に、いい意味で崩さないようにしていて。「クラクラ」は棘のある曲だったので、スタイリッシュで大人な感じにしようと思ってアレンジしました。

JIN:…まるで、僕の曲がスタイリッシュではないかのような。

全員:(笑)

IЯU:俺は、「SACRED」で自分を出しました。「クラクラ」は表題曲になると決まってから、QUINAからこういう風にしたいという話も聞いていたし、どういうベースを弾いてほしいかが彼の中にあると思ったんです。逆に「SACRED」はロックなので、こっちで自分を出したいなと思って。ベースのフレーズもデモとは全く違って、かなり動かしました。

――インパクトがありました。

IЯU:そうですね。このベースのフレーズはかなり気に入っているんです。俺は歌メロに沿う感じで、なおかつ抜けるところは抜けるフレーズを作るのが好きなんですけど、この曲はメロが全部決まったのがギリギリだったので、BYOのメロの入れ方を想像しながら作りました。そうしたら結構ハマって気持ちいいなと。周りのサウンドはあまり考えずに、ヴォーカルがきっとこういうメロで来るだろうから、自分はこういきたいと思った結果、それが正解だったので、KHRYST+をやり続けてきた成果を感じましたね。

◆僕の頭の中にはやりたいことが明確にあって、それをいかに表現するかだった(QUINA)

QUINA

02.「クラクラ」

JIN:QUINAに「サビをすごくモッタリした感じにしたらどう?」という案を出したんですけど、鉄のような心で断られました。

QUINA:その案は聞きもしなかったです(笑)。

JIN:この曲は、アレンジは違うものの始動の日からやっていてイントロが好きだったので、その雰囲気のまま行ってくれれば僕は何も問題ないんですけどね(笑)。

IЯU:この曲は、QUINAの言っていることの振り幅が広くて大変でした。ベースのフレーズができたのがレコーディングの締め切り6時間前だったんですよ。その前日がMVの撮影で、その時にフレーズをこうしてほしいと言われて、撮影中の楽屋で弾いて(笑)。特にイントロは元々スラップにする気はなくて、最初のギターのフレーズに準じたずっしり重たいものにしようと思っていたんです。そうしたら、いきなりイントロで飛び道具を出すことになってしまって。それ以降は、「ギターはこう弾いているけど、あとは自分のやりたいようにやって。そうしたら俺も合わせるかもしれないから」と言われたり(笑)。

――本当に振り幅が広いですね。

IЯU:そうなんです。でも、そのスラップの部分はゆずれなかったみたいで。この曲のベースはこうだ、と何度も聞かされました。QUINAにとって、自分が出した原曲が表題曲になるということで、入れ込み方も通常とは違ったと思うんです。すごくこだわりもあったと思うし、一生懸命作りこんでいたので、それなら彼の意思を汲もうと思って。

QUINA:この曲は始動前から僕の中にあったんです。デモのタイトルもこの曲名のままで。なぜこのタイトルかというと、このバンドの始動前に仮でつけていたバンド名が、眩暈とかクラクラするという意味の「DIZZY」だったんですよ。それで、そこから「クラクラ」という仮タイトルを付けたんです。

――具体的に表現したいと思っているものはあったんですか?

QUINA:僕がカッコいいと思うヴィジュアル系の音楽を表現しようと思ってデモを作ったんです。始動前、他にも僕の曲は何曲かあったんですけど、BYOがワンマンで「クラクラ」をやろうと言ってくれて。でも、その後まさか表題になるとは思っていなかったので、僕の当初の気持ちと、表題の新たなワードを組み合わせるのにすごく苦戦しました。ライブで映える曲にしたいし、聴かせるところは聴かせたいし、元々あった「クラクラ」の世界観も壊したくない僕の頭の中にはもうやりたいことが明確にあって、それをいかに表現するかだったので、JINがさっき言っていた「サビのパターンを変える」という意見が全く入らなくて(笑)。IЯUもすごく苦戦したと思うんです。これまでBYOがJINにああしてこうしてと言っていたことを、今度は僕がメンバーに言って。僕のわがままもあって出来上がった曲です。MVも自分の中である程度イメージがあって。監督に、「こういう役者さんにこういう演技をしてほしい」と伝えたんですよ。

――QUINAワールドを具現化したから「螺旋階段」や「SACRED」とは異なるテイストの映像作品になったんですね。

QUINA:そうです。僕の世界観がかなり強く出ていると思います。

BYO:バンドってインタビューの時に「こいつ、こういうことを考えていたんだ」って思うことが多いんですけど、この曲はそれが制作の段階から伝わってきたんですよ。スケジュール的にはすごくギリギリでしたけど、QUINAに一度完全に任せようと思えるくらいの明確なヴィジョンがあったので、QUINA色に染まりました。

QUINA:BYOから、「ヴォーカルレコ―ディングの時は集中したいからメンバーは来なくてもいい」って言われているんですけど、僕は出向きましたからね(笑)。でもBYOが歌い方や雰囲気をどうしたらいいか俺に聞いてくれて。染まろうとしてくれるのをすごく感じたので、楽しく制作できました。

――歌詞の〈桜〉もQUINAさんの中にあった言葉なんですか?

QUINA:それはBYO発信ですね。

BYO:曲が割とドロドロしているところに、〈桜〉が降りてきたんですよ。メロディーともすごく相性が良くて、この部分の歌詞はサビよりも先にできました。今回、背景の違いはありますけど、全曲「現実を打破したい」という思いが散りばめられているんです。そしてこの「クラクラ」の主人公は僕の中では完全に死んでいて、土の下から、死んでもなお希望を掴みたい、現状を打破したいと思っている。桜の下には死体が埋まっているっていうじゃないですか。そこを表現できたらなと思ったんです。

◆良いことがあって喜んだり、悪いことがあって反省したりしながら進化してきた(JIN)

JIN

03.「LET’S SING ALONG」

――ファンの方々が慣れた手つきでタオルを取り出す、ライブでは定着した1曲です。

JIN:そうですね。この曲も初ライブからある曲なので。

――この曲はライブと音源で雰囲気が違いますね。

JIN:ライブの時は生ドラムを叩いているんですけど、元々音として入れているドラムが打ち込みの音なので、そこで雰囲気が全然違うんだと思います。

BYO:あと、ラップだね。

――ライブではJINさんのラップが披露されますよね。

JIN:そうだね(笑)。いや、ライブでも本当はドラムを叩きたくなかったんですけど…

QUINA:またそこでもひと騒動あったんですよ(笑)。

JIN:僕は前に出たいというより、曲自体をデジタリズムにしたかったので、打ち込み要素というかクラブ的な要素を入れたいなと思ったんです。QUINAはいつもこの曲で、「LET’S DANCING」って言うんですよ。曲タイトルでもないのにQUINAの中でそういう風に印象づけられているのは面白いなと思いました。

QUINA:リハの時にJINが前に来て踊っているんですよ。それで、「LET’S DANCING」ってJINに対して言っているんです。

――ライブで、ファンもメンバーも楽しそうだったのが印象的でした。

IЯU:実際楽しいですよ。

QUINA:本当にライブ曲という感じですね。KHRYST+って、アーティスト写真や衣装の印象でちょっと堅いイメージがあると思うんですけど、メンバーは堅い人間ではないので、こういう曲をやっているときのほうが生き生きできているんじゃないかなと。

BYO:僕は、この曲が表題かなと思ったんですけどね。長年やっているせいか、ガチガチに作っても自己満足で面白くないなと思ってしまって、これくらいラフに砕けた曲を出してもいいかもしれないなと思ったんです。残念ながらOKは出なかったんですけど、聴いて引っかかるのってこういうちょっと変わった曲だと思うんですよ。ストレートなロックはありふれているし、ちょっとはみ出していきたいという気持ちもあるので、他との差別化を図る意味でも、数曲に1曲はこういうノリで作っていきたいなと思います。

――耳に残る1曲です。この曲のベースもスラップですね。

IЯU:そうです。僕は元々ピックでガシガシ弾くほうが好きで、スラップタイプのベーシストじゃないんです。でもバンドをやっていくうちに、気づけばスラップや指弾きをしていて、『贖罪』も6~7割は指かスラップで、ピックで弾いているのは「SACRED」だけなんですよ。「LET’S SING ALONG」についてはドラムが打ち込みなので、デモの段階からスラップにしようとは思っていたんですけど、この四つ打ち感はただルートを弾いてもつまらないと思うので、楽しく跳ねる感じがいいかなと。でもリズムが取りづらいんです。

BYO:そうなんだよ! 何なんだろうね。

QUINA:俺らはバンドマンだから、ドラムじゃないとビートを感じられないんじゃないかな。

BYO:リハーサルだと生ドラムから同期に変わって大変だもんね。何とかしてくれないかなーって毎回JINに言うんですけど、自分だけ踊って楽しんでいて何もしてくれないんですよねー(笑)。

JIN:みんなクラブとかに言ったらノレるようになるんじゃないかな。

IЯU:最終的には慣れることですよね(笑)。

――ところで、この作品についてBYOさんは「ヴィジュアル、アートワーク、MV、時代に反している箇所もあるけどKHRYST+の1stを飾る1枚としてこう在るべき作品になったんじゃないか」と言っていましたね。

BYO:自分たちは2年前活動していた時期のままだったところがあって、今のシーンのことは最近になってわかってきたんです。でっかい夢を持ってこのシーンに戻ってきたのに、流されているところもあるし、自分たちが武器だと思っていたものの先端を削られたりしていて、新たな武器を手に入れないとなとも思う。話には聞いていたけど、厳しいところは厳しいですし。でも、だからこそ作品をどんどん作りたいと思うんです。僕はそういう気持ちがないと歌詞が書けないので、僕にとっても音楽をやる上では素敵なシーンなんじゃないかと。1秒でも早くこのシーンを引っ掻き回していかないといけないなと思っています。

――元号が変わって令和になりましたが、KHRYST+にとってどんな時代にしたいですか?

BYO:KHRYST+が曇り空を羽ばたく時代にしたいですね。青空は求めていないので。堕落することなく羽ばたき続けたいです。

QUINA:僕個人としては平成にできなかったことを全部やり遂げたいなと。僕、本当は平成で死んでいるつもりだったんですよ。でも目標を達成できず元号が変わってしまったので、令和でカッコよく死ねる人生を送りたいです。

IЯU:平成時代を生きてきて、バンドもプライベートも良いことも後悔することたくさんあったので、元号が変わって大事なものをちゃんと大事にして頑張っていきたいです。何が大事かを見極めて、ちゃんと生かせるような人になりたいですね。

JIN:僕は、何一つ変わらず生きていきたいです。

QUINA:どういうこと!?

JIN:良いことがあって喜んだり、悪いことがあって反省したりしながら進化してきたから、これ以上進化しようとするとコケるだけなんじゃないかと。日々の積み重ねという意味で何も変わらず生きていきたいです。

QUINA:さっきBYOが「JINはナルシスト」って言っていたことの意味がこれで証明されましたね。

BYO:俺は時代なんかに流されない!という頑固おやじ的な一面を垣間見ましたね。でもカッコいいです。男らしい。

QUINA:ロックだね!

BYO:ということでKHRYST+、令和も頑張っていきたいと思います!

(文・後藤るつ子)

ARTIST PROFILE

KHRYST+

<プロフィール>

BYO(Vo)、QUINA(G)、IЯU(B)、JIN(Dr)の4人からなるロックバンド。ex.SCREWのBYOを中心に、同じくex.SCREWのJIN、ex.NihilizmのQUINAとIЯUによって2018年7月15日に始動を発表。11月1日(木)にTSUTAYA O-WESTで初ワンマンライブ「KHRYST+ LIVE #000000」を開催し、0thミニアルバム『BASALT』を会場限定でリリース。2019年5月に1stダブルAサイドEP『贖罪』をリリースし、little HEARTS. Presents 「MY little HEARTS. Tour Edition Vol.13」への出演が決定している。

■オフィシャルサイト
https://khryst.jp/

【リリース情報】

贖罪
2019年5月22日(水)発売

贖罪
初回限定Redemption A
(CD + DVD)
RRDF-0101
¥2,000+税
amazon.co.jpで買う

【収録曲】

[CD]
01. SACRED
02. クラクラ
[DVD]
01. SACRED -MUSIC VIDEO-
02. SACRED -MAKING-

贖罪
初回限定Redemption B
(CD + DVD)
RRDF-0102
¥2,000+税
amazon.co.jpで買う

【収録曲】

[CD]
01. クラクラ
02. SACRED
[DVD]
01. クラクラ -MUSIC VIDEO-
02. クラクラ -MAKING-

贖罪
Redemption C
(CD)
RRDF-0103
¥1,500+税
amazon.co.jpで買う

【収録曲】

[CD]
01. SACRED
02. クラクラ
03. LET’S SING ALONG

【ライブ情報】

●little HEARTS. Presents 「MY little HEARTS. Tour Edition Vol.13」
6月1日(土)仙台darwin
6月15日(土)札幌KRAPS HALL
6月16日(日)札幌KRAPS HALL
7月6日(土)名古屋E.L.L
7月7日(日)静岡LIVE ROXY
7月14日(日)高松MONSTER
7月15日(月)大阪BIG CAT
7月20日(土)TSUTAYA O-EAST

●DNL Presents-Chaotic melting pot
6月7日(金)EDGE Ikebukuro

●リリース記念LIVE『贖罪と救済』
6月22日(土)下北沢LIVEHOLIC

●JIN BIRTHDAY LIVE【東京・酸欠の陣】
7月22日(月)東高円寺二万電圧