GREMLINS

多彩な楽曲たちが描き出す、唯一無二のGREMLINSワールド。
待望の1stアルバム『MAD THEATER』の魅力に迫る!

2013年の結成以来、オリジナリティ溢れるアートワークと音楽を追求し、提示してきたGREMLINS。Hits(G&Vo/柩 NIGHTMARE)の歌声と、KNZ(Dr/BVCCI HAYNES)の描く音世界が見事に融合した彼らの音楽が、この度1枚のアルバムにまとめられた。今回の作品を引っ提げ、初のワンマンツアーも決定し、さらにその勢いを加速させるGREMLINS。Vif初登場となるHitsとKNZに、アルバムのことからライブのことまでたっぷり語ってもらった。二人の仲良しぶりを、コメント動画と併せてお楽しみいただきたい。

◆仲良しですから(Hits)

――まず、お二人の馴れ初めから聞かせてください。

Hits:出会いは12年くらい前です。僕がYOMI(NIGHTMAREのVo)の誕生日会にサプライズで行ったら、後輩の友達としてKNZがいて、そこで初めて会いました。そこでは先輩後輩という感じだったんですけど、この人、しつこいくらい話しかけてくるんですよ。

KNZ:(笑)

Hits:「どんな音楽を聴いてるんですか?」「どんな音楽が好きなんですか?」って、「なぜ初対面の君に全部話さなきゃいけないんだ!」ってくらい色々聞かれましたね(笑)。そんなことまで聞いてくる後輩はなかなかいないから、すごく印象に残りました。その時に連絡先を交換して、あまり日が経たないうちに俺から連絡して、飲みに行ったんです。4~5回も飲まないうちにタメ語を使うくらい意気投合しました。年も近いですしね。

――KNZさんは、いつもそんな風に初対面の人にもフレンドリーなんですか?

KNZ:人によりますね。俺もHitsも建前で話をするのは好きじゃなくて、好きな先輩とか、友達になりたい人には結構グイグイいきますよ。それに、自分がヴィジュアル系でやっていこうと決めた頃で、NIGHTMAREはもちろん知っていたし、柩という人間に興味があって、魅力的だと思っていたというのもあります。この人かっこいいな、この人と何かやったら面白いだろうなと思っていました。

――そこから10年経って、こういう形で組むことになったというのは面白いですね。

Hits:そうですね。ソロ自体は、2年くらい前にNIGHTMAREのFCライブで僕が歌う事になったのをきっかけに、事務所から「やってみるか」と言われたんです。最初は柩って名前でソロを、と言われたんですけど、俺がソロをやる時の理想としては、バンドとか別の形がほしかった。なので、誰かと一緒にやりたい、ドラマーならKNZが一番いいと言っていたら、ちょうどKNZが前のバンドを辞めるタイミングだったので声をかけたんです。

――Vo&GとDrという組み合わせは珍しいですよね。

Hits:最初はどうしようかなと思っていたんですよ。4~5人でやるのも面白いけど、普通といえば普通だし、全員で動かないといけないとなるとフットワークも重くなるし。

KNZ:各々、他にメインでやっていることがあると、そのスケジュールに合わせて動くことになりますからね。

Hits:そもそも、ソロをやるにあたって、一緒にやる人は自分と同じ立場の人が良かったんです。僕がNIGHTMAREをやっているように本体があって、それとは別にGREMLINSをやるという人。KNZはソロで動き出したし、サポートの美月(G/Sadie)、Chiyu(B/SuG)もそれぞれ自分のバンドがある。GREMLINSで面白いものを作ったり、経験したことをそれぞれのバンドに持ち帰ろうと。

――なるほど。それにしても、サポートメンバーの顔ぶれが意外でした。

Hits:美月は二人とも面識があったんですけど、KNZはChiyuとは面識がなかったみたいです。ベーシストを決める時、何人か浮かんだんですけど、彼のライブを観に行ったらすごくロックだなと思って声をかけたんです。SuGはそれまであまり男臭さがないイメージだったんですけど、観てみたらすごくロックで意外でしたね。Chiyuも美月も早い段階で「やりたいっす」って言ってくれて決まったんです。

――GREMLINSとして1年半活動してみていかがですか?

Hits:メンバー間での難しさはないですね。仲良しですから。

KNZ:僕の場合は、プレイヤーとしては今までと同じドラムをやっていますしね。強いて言えば、各々が自分にないフレーズをやることとか、Hitsが歌に挑戦していることかな。

――HitsさんはGREMLINSで初めてヴォーカリストとしてレコーディングをしたわけですが、いかがでしたか?

Hits:最初は本当にどうしていいかわからなくて、試行錯誤というか、暗中模索というか…(笑)。レコーディングにKNZが立ち合ってくれたり、アレンジャーさんに歌い回しを相談したりして、何とか歌えましたけど。考えてみたら、これまで僕が歌うのは基本カラオケでお手本があったんですよね。でも、GREMLINSで歌ってみて、正解がどこにあるかわからないってすごく難しいと思いました。楽器が変わるだけで世界が変わるんだなと。

◆映画の中の役どころというイメージ(KNZ)

――GREMLINSの音楽性の方向性は結成の段階で決めていましたか?

Hits:はい。音を聴いた人にどう捉えられているかはわからないんですけど、音に関しては、ヴィジュアル系という意識はなかったですね。

KNZ:この見た目のイメージのままやっちゃうと、曲調も暗くなったり、ドロドロしたイメージになりますからね。見た目に関しても、どちらかというとヴィジュアル系というより、映画の中の役どころというイメージで作っている方が大きいです。

――『MAD THEATER』というアルバムタイトルにも通じるようなお話です。それにしてもGREMLINSは作品ごとにどんどん表情が変わっていきますよね。

Hits:そうですね。でも、1stシングルの『the Carnival』と、2ndシングルの『故、』までは最初の段階から道筋としてあったんです。

――どことなく中世ヨーロッパを思わせる『the Carnival』から、和の雰囲気漂う『故、』まで、全く異なる道筋が決まっていたんですね。

Hits:ふふふ、今の「和」という言葉を聴いてしめしめと思いました。実は「故、」は和音階ではないんですよ。洋楽に、ヒョロロー♪という和っぽい音が入っているだけなんです。

KNZ:あのフレーズ、本当はヴァイオリンで弾くようなフレーズなんですけど、わざと和音階を使わずに音色だけ和っぽくしているんです。

Hits:あと、見た目と歌詞の漢字の多さに引っ張られたでしょ(笑)。

――だまされました…。

Hits:しめしめ(笑)。まぁ、自分たちでも「和」って打ち出しているんですけどね。

KNZ:実は効果音以外は全く和じゃないっていう(笑)。フレーズもメロディもどっちかっていうと最近のアメリカのロックというか。

Hits:そもそも最初は、「外国の人が勘違いした日本のロックを作る」というテーマがあったんです。なので、どちらかというとアジアっぽいんですよ。

KNZ:アジアだよね。白人の人たちは日本をアジアとして見るから、中国とか台湾が混ざるじゃないですか。そのイメージです。

――聴き手の脳内で色々と補正してしまいました。

Hits:でも、音楽の楽しみ方としてはそれが正解だと思いますよ。

◆GREMLINSとして打ち出しているシナリオ部分を気に入ってくれたら(KNZ)

――GREMLINSの作詞は全曲Hitsさんが担当していますが、NIGHTMAREではあまり書いていないので意外でした。これだけの曲数を書いてみていかがでしたか?

Hits:大変でしたね。結構ギリギリまでできなくて。数日後に録るって段階でも、言葉が出てこなかったりして。NIGHTMAREはメインのコンポーザーが詞まで書くのが多いので、僕はなかなか書く機会がないんですけど、今回すごく勉強になりました。

――冒頭で、各々がここで学んだことを本体に持って帰って…と言っていましたが、これを糧に今後はNIGHTMAREでもガンガン歌詞を書くということですね。

Hits:そうですね(笑)。

――ちなみに、KNZさんも書く、という選択肢はなかったんですか?

KNZ:書いてもよかったんですけど、自分は曲をやっているし、彼一人が書いた方がアルバムの世界観に統一感が出るかなと思ったんです。僕が書いたら違う言い回しになっちゃいそうで、任せたほうが良いなと。何より、彼の詞が好きですし。

Hits:逆に曲はほとんどKNZに任せています。僕はアイディアを出したり、こんな感じの曲調でって言うくらいで、PCに向かっての作業はKNZに頼ってました。

KNZ:でも、本当は作詞作曲で個人名を出さずに、全部で「GREMLINS」でいいかも、と思うんです。それぞれのファンや、誰が歌詞を書いたのか知りたい人にはいいのかもしれないけど、やり手側としてはGREMLINSとして打ち出しているシナリオ部分を気に入ってくれたらいいかなと思うので。

――なるほど。それにしても作品を聴いて二人の息がぴったり合っている作品だということが伝わってきました。

Hits:そうですね。すごく合っていると思います。あと、ChiyuとKNZのリズム隊の絡みも僕的にはすごく気持ちいいんですよね。

――「「朦朧サスペンス」」のリズム隊にグッときました。

Hits:あのギター難しかったわー…。歌は全部大変なんですけど、ギターは「「朦朧サスペンス」」が大変で、「Film」も聴くより弾く方が大変でしたね。

KNZ:「Film」はギターもベースも、ずっとランニングしている感じなんです。

Hits:あれをどうやって歌いながら弾くんだよ、と(笑)。ライブでも歌いながら弾けるように練習しているんですけどね。この曲は最初、人ごみから声が聴こえるんですけど、僕のイメージではあれはゴンドラの船頭さんなんですよ。その後ろにGREMLINSのメンバーが乗っていて。船がヴェネチアとかの水路を通って、橋をくぐって、最後、曲が始まるときにオペラ座のような開けた場所に出る、というイメージです。堂々の1曲目ですよね。演説も入ってるし。

KNZ:この曲ではドイツ語と英語とか色々な言語を使ってます。多国籍な人がたくさんいるイメージを作りたかったんです。

――ちなみにリード曲「Bacchus」はどんな位置づけですか?

KNZ:リード曲として視覚的、聴覚的にわかりやすい曲ですね。パーティー感があって、今まで出したことがない感じで。『MAD THEATER』の曲は全曲にバラバラの世界観があるので、その中でも一番キャッチーなのが「Bacchus」なので。

――起承転結や1幕、2幕のように展開に沿って作ったわけではないんですね。

Hits:そこまでは意識しませんでした。でも、最初に「THEATER」という言葉はあったんです。それをアルバムのタイトルにするのか、曲のタイトルにするのかまでは考えていなくて。そもそも、二人とも映画が好きで、グループ名を決める時も僕が映画の『グレムリン』が好きだったからなんです。あと、わかりやすい言葉が良かった。最初、エイリアンてワードも出たんですけど、そうすると二人とも宇宙服を着てないといけないじゃないですか。

KNZ:(笑)。エイリアンはスペイシーな感じがあるのと、すでにエイリアンというバンドがいたので、映画でマスコット的な物ないかね…と探してGREMLINSにしたんです。

Hits:映画に関することが常に頭にあったので「THEATER」という曲か、ライブをやるかって考えていたんですけど、曲がまとまった時に、これらをひっくるめてアルバムタイトル『THEATER』でもいいなと。でも、ちょっと言葉の響きが弱いので、二人の中二病感を出すためにMADって言葉をつけました。

――中二病感(笑)。

Hits:結構詰め込んでますよ。歌詞にも結構散りばめました。入っていないのは素直な気持ちで書いた「Hidden+A」くらいですね。何だかんだ、みんな中二病感が好きじゃないですか。例えば、映画の『スパイダーマン』とか、子供向けのアメコミを何百億円もかけて大人たちが一生懸命作ってますよね。あれも中二病だと思うんです。

KNZ:でもあれが大ヒットして興行収入1位になったり、世界中でみんながこぞって観に行きますよね。あそこまでやると中二病もかっこいいとしか思えない。どの話もそうだけど、誰がどうやるかだと思うんです。

Hits:それに、KNZに関しては病気じゃないもんね。

KNZ:僕の場合は中二なのかもしれない(キリッ)。

Hits:(笑)。ロックって特にそういうものだと思うんです。若い時に感じたストレスだったり、直感的なものだったり。なので、中二病を散りばめています。あ、でもそこは太字にしないでくださいね。

KNZ:さすがに見出しで使われると…

Hits:ちょっと照れる(笑)。

◆音源を超えないとライブの意味がない(Hits)

――歌詞カードの各曲の最後に「Q」と「※」が書き添えられていますね。

Hits:これはその曲に対する聴き手に対しての投げかけですね。

――とても意味深だったり、ちょっと哲学的な投げかけの中で、「INSANE」の〈※これはいかん。〉が気になって。

Hits:これはいかんのです。その歌詞はやっちゃだめなことなのです。

KNZ:隠語になっているところは、あるものを意味しているんですよ。

Hits:スペードとかハートはそれをごまかすための流れで…バラしてしまうと〈キャンディ〉〈ファイア〉とか、全部××××ですね。

――それはいかんです。そして今回もhideさんのカバー「50% & 50%」が収録されていますね。これを聴いて、Hitsさんの声は少しhideさんに似ている気がしました。

Hits:昔から何百回もhideさんの歌を聴いているし、カラオケでも歌っているからかもしれないですね。hideさんの曲に関しては原曲を意識しつつ自分らしさを入れています。

KNZ:カバー曲はコピーにしたくないので自分なりに消化しています。「DICE」(1stシングル『the Carnival』収録されたhideのカバー曲)はメタルっぽくしたり。全体的にGREMLINSの曲のイメージはインダストリアルと言われるロックだったり、グラムっぽさを入れて、それをわかりやすくもっとメロディアスにしているんですけど、「50% & 50%」はさらにインダストリアルの若干デジタルの部分を濃くしています。この曲はアレンジするなら絶対アメリカンロックだと思って、テキサスっぽい感じに作ったんですけど、このドラムが一番難しかったですね。

Hits: Bメロが難しいのかなと思った。

KNZ:全体的にすごく難しい。ただ2バスを均等に踏むんじゃなくて、足で跳ねるリズムを出したりして、それをやりながら上は普通に叩くっていう。やったこともあるし、やれるだろうなと思ったけど意外と難しくて(笑)。

――お話を聞いて初ワンマンツアー(GREMLINS 1st ONEMAN TOUR2015“MAD SHOW)がますます楽しみになりました。アルバムリリースから1週間後にスタートですから、ファンの方もじっくり聴き込んで挑めますね。

Hits:ごまかしが効かないです(笑)。

KNZ:リリース日とかだったら歌詞を間違っても…とか淡い期待もしちゃいますけどね(笑)。

Hits:でも音源を超えないとライブの意味がないと思うので、がんばります。不安より楽しみの方が大きいんですよ。4人それぞれに自分の本体があって、そこでは多少のルールや縛りがあると思うんですけど、ここは遊べるスペースというか、好き勝手にやるし、喋るし、何でもありです。そういう楽しさがライブでも伝わってくれたらいいなと。だってリハの段階ですでに楽しいからね。

KNZ:うん、リハも面白い。Chiyuはふざけすぎだけどね(笑)。

Hits:ライブでは世界観を作り上げてじっくり楽しむというよりも、みんなでワッと楽しめる空間を作りたいと思います。

(文・後藤るつ子)


GREMLINS

<プロフィール>

Hits(Vo&G/柩 NIGHTMARE)、KNZ(Dr/BVCCI HAYNES)によるユニット。サポートギターに美月(Sadie)、サポートベースにChiyu(SuG)を迎え、2013年6月始動。同年10月16日に1st Single『the Carnival』をリリース。2014年夏にはLM.C、BAROQUEと共に『The SURVIVORZ’14』を開催し話題を呼んだ。2015年2月25日よりアルバム『MAD THEATER』を引っ提げた自身初のワンマンツアー「MAD SHOW」を開催する。

■オフィシャルサイト
http://hitsuuu.me/

【リリース情報】


A type
【CD+DVD】
TRCL-0102A
¥3,500+税

B type
【CD】
TRCL-0102B
¥3,000+税

『MAD THEATER』
2015年2月18日発売
(HPQ)
GREMLINSが放つ待望の1stアルバム。B typeにはhideのカバー曲「50% & 50%」も収録される。

【収録曲】
[CD]
01. Film
02. the Carnival
03. 朦朧サスペンス
04. Breavement
05. INSANE
06.『故、』
07. シンデレラ
08. Trigger
09. Fellow Traveler
10. Bacchus
11. to die
12. Hidden+A
13. LOVE YOU
14. 50% & 50% (hide cover) ※B typeのみ収録

[DVD]※A typeのみ収録
「Bacchus」Music Clip