インタビュー

cali≠gariインタビュー

cali≠gari

今年2度目の活動再開を宣言し、6月には日比谷野音2Days公演を成功させたcali≠gariがニュウシングル『#』をリリース!

2003年に無期限活動休止、2009年に消費期限付きでの復活、2010年に再び活動休止、そして先日堂々の復活…という自由気ままなスタンスを貫くcali≠gari。2年ぶりのニュウシングル『#』で、「娑婆乱打」「東京、43時00分59秒」という正反対な世界観の2曲をリードナンバーとしたその意図は? そもそも彼らのすることに意図はあるのか…? メンバーを代表して桜井青(Gu./Vo.)が、『#』の聴きどころと活動再開の真相を、丁寧に、そして驚くほど赤裸々に語ってくれた。

◆時代がcali≠gariを呼んだんです

――2003年の無期限活動休止から2009年消費期限付きでの復活、2010年2月11日に日本武道館で行われたマストライブ「解体」をもって消費期限切れとなり再び休止に入ったと思われたcali≠gariが、2011年再び動き出したことは驚きでした。この短いスパンで再び始動することになった要因とは?

桜井:真面目に答えると“お金”です。国のシステムに頼っていられないので、老後のために頑張っているんです。きっとほかのメンバーも一緒です。

――働ける時に一生懸命働く、と。

桜井:2003年に活動を終えてから、バンドはあくまで趣味というスタンスで普通に会社を作って仕事をしていたんです。だからcali≠gariをやらなくても生きていけるんですけど、まぁ…時代が呼んだっていうか。これを読んでくださっている皆様に「こんなドロドロした話聞かない方がいいんじゃないの?」って言われてしまうような“ホニャララ”なことが起こって、必然的にcali≠gariをやらなくてはいけなくなってしまったわけです。

――“ホニャララ”の部分とは?

桜井:もう、時代に呼ばれたでいいじゃないですか!(一同爆笑)2003年までは若さ故かガツガツしていたんですね。「評価を得られないのに音楽をやってどうする」みたいな。今回は、そういうのじゃなくて遊びの範囲なんですよ。ビクターさんのお金を使って本気で人を小馬鹿にしたような遊びができるなら、こんなに面白いことはないかなと。レコーディングまでできて、お金まで稼げてしまうし。

――ある意味、最高の副業ですよね。

桜井:うちら、自分でcali≠gariのことを“長期高額アルバイト”って呼んでいるんですよ(笑)。

――ファンからすると複雑です。

桜井:まあ、一回染まってみちゃえば気持ちいいですよ(笑)。

◆野音って日本で一番好きな場所なんです

――「解体」以来となったライヴ6月18・19日の日比谷野外大音楽堂2Days公演を終えて、いかがですか?

桜井:僕、野音って日本で一番好きな場所なんですよ。やっぱり活動休止をした場所という点でも思い入れは強いし、一番好きなバンドが伝説のライヴをした場所でもある。青天井で、すべてが外に向かっている…こんなに気持ちがいい場所はないし、そんな場所のライヴが悪くなるわけがない(笑)。

――あの2Daysは、日比谷野音だからこそのライヴだったんですか?

桜井:あそこだからこそのライヴで組み立ててました。開演からの日没時間や天候を考慮した上でのセットリストです。

――10月に控えている8年ぶりの全国ツアー『トゥワー2011「GIVES」』と、11月5日「LAST GIVES」として行われる台北ライヴに向けての意気込みはありますか?

桜井:ツアーとかに関しては昔から意気込みはまったくないですね。ライヴ前に思うこともない。強いて言うなら、僕たちが地方に行く目的は、“おいしいものを食べに行く”ってことですね。それ以外で言うと、地方の方にちょっとした優しさを届けに…かな。東京まで来るの大変ですからね。あ、意気込みではないですね(笑)。

――ライヴで「ココを見てほしい!」というポイントを教えてください。

桜井:石井秀仁with cali≠gariみたいな感じなんで、石井さんを見ていてくれればいいです。特に、僕のことは見ないでください。桜井は、日々老化との戦いで大変なんです。

◆一度原点に帰らなくちゃ40代には“戻れない”と思った

――ニュウシングル『#』は、ジャケット&カップリング違いの「# 娑婆乱打編」「# 東京、43時00分59秒編」という2タイプでのリリース、しかもどちらも初回限定盤で通常盤は無しということで。何ともニクイ仕様ですが、なぜこんな出し方をされたんですか?

桜井:ビクターさんが「作れ」って言うから。ヴィジュアル系の作法にのっとって初回出荷に2枚は出さないといけないんですよね。

――通常盤も出した方がいいと思いますが…。

桜井:違う違う! 初回限定っていう言葉に日本人は弱いでしょ? 何か知らないけどそう書いてあるだけでみんな買うでしょ? 興味もないのに(笑)。そういうことなんです。初回限定って書いてあるだけで、どっちも買わなきゃいけない。今回は通常盤は出さないので、これを買い逃すと買えないぞ、と。むしろ買わせません。今がチャンス!

――リードナンバーの一つである「東京、43時00分59秒」は、都会の情景がリアルに浮かぶ何とも切ない作品ですね。

桜井:僕、今年で二十歳セカンドシーズンなんですけどね。

――2度目の成人式ですね。おめでとうございます。

桜井:ありがとうございます。ハタセカになった時に作りたいテーマの曲というのがあったんですが、それを作る前に30代までの自分を一旦曲で整理してみようと思ったんです。僕の音楽の初期衝動にはAORがあるんですが、自分が呼吸する如く自然に創れる曲って何だろうって作ってたらやはりAORになってました(笑)。

――根本を掘り起こす作業。

桜井:一度原点に帰らなくちゃ40代には“戻れない”と思った。“先に進めない”というか…。夏休み最後の宿題ですね。あと、僕、上京してから20年、遊びはずっと新宿なんですよ。金が無い頃、西新宿の中央公園や都庁に陽が沈む様がすごく好きだったんです。都庁舎の壁や窓が真っ赤に染まっていく夕景がすごく心に残っているんです。もう言葉にするのがチープなくらい美しくて…。たぶん、曲を創る時にその光景がふっと出てきたっていうことは、こういう曲を創らなきゃいけなかったんだと思う。言葉で説明しづらいんだけど、自動的にメロディと詞が一緒に出てきたし。

――この曲を聴きながら夕陽が見れたら…。

桜井:陽に沈んでいく東京を見る時に、こういうBGMがあったらいいなって思ってたんだよね。夕方とか深夜の高速でドライブする時に、J-WAVEをよくかけるんです。あれって本当よく出来ていて、ドライヴ中の景色にとても似合う音楽が流れているんですよね。だから単純にJ-WAVEから流れそうな曲を創りたかったのもありますね。自分の見ている景色に似合う曲。主張は強くないけど、BGMとしては際立つ音楽を創りたかった。

――切ない気分に浸れそうですね。

桜井:浸っていただけると嬉しいです。最後の「夕映えに沈む、東京を見てた。どこまでも沈む、東京を見てた。」というところで、ちょうど陽が沈めば完璧…。

――地元の茨城ではなく東京を題材にしたのは?

桜井:地元も好きなんですけど、僕、ずっと東京に出たかった人だから。東京に対してのコンプレックスが人の3倍くらい強かった。16歳くらいの時に東京にいたら、バンド活動のスピードとか、色んなことがもっと速かっただろうし。当時バンド雑誌を読んでいて、「同年代の人たちはこんなに頑張っているのに、何で自分は田舎でくすぶっているんだろう」とか思ってね。田舎に生まれてしまったが故のジレンマ。だから、東京に出てきた時は、もう本当にね…。当時の西新宿って新宿LOFTもあったし、ロックが盛んだったじゃないですか。そういうこともあって、自分にとっての聖地は新宿だったんです。

――原宿や下北沢もロックのイメージがありますが、桜井さんにとっては新宿だったんですね。

桜井:圧倒的に新宿ですよ。僕にとってはロック=新宿LOFTだった。自分の中で、勝手に新宿のイメージが出来ていたんですよね。そのイメージと先ほど言った初期衝動とが合致していたというのもあって、今回の曲になったんじゃないですかね。

――cali≠gariからもある意味新宿くささが感じられます。決して明るくはないですよね。

桜井:割とシビアに現実味を帯びたことしか言わないです。

――歌詞を書く時は、現実を意識しているんですか?

桜井:してますね。曲と歌詞を聴いて、頭の中で映像が浮かんでくれれば一番いいなと。ショートフィルムみたいな。

――「東京、43時00分59秒」はまざまざと映像が浮かびますね。あ、「すべてが狂ってる~あんまり狂ってない編~」も浮かびますが。

桜井:え? それはちょっとまずくないですか? おすすめしないです!

――間違った方向に行った女子高生とか想像してしまいます(笑)。

桜井:そういう感じですね(爆笑)。ああ、何かすみません。それは本当にノリだけで創ったんですよ…。昔はこういう曲をよく創ってたんですが、周りから催促されて久々に。かっこいい曲やcali≠gariを代表してくれそうな曲は石井さんが創るので、僕は昔のcali≠gariをイメージしたものとか叙情的なものを創ることが多いです。

――石井さんの歌詞は言葉遊びが多いですよね。

桜井:彼の歌詞は理解できないですから(笑)。この方、言葉遊びしか興味ないんじゃないかっていう。意味があるのかすらわからないです。あ、あるって言ってたか?

――歌詞についての話し合いはしますか?

桜井:2人で歌詞の話なんて、まずしないです。とにかくあの方はそういう方向なので、僕は聴き手のイメージが湧きやすい曲を書くようにしていますね。あとは「言われたらすごく嫌だろうな」っていう言葉をあえてぶち込んだり。昔からそういうの好きなんですよ。

――確かに「すべてが狂ってる~あんまり狂ってない編~」の歌詞は直接言われるのはちょっと…ね。歌詞を掲載しないのも嫌なフレーズが多いからですか?

桜井:この曲は、「あんまり狂ってない編」なんです。もうちょっと時間があったらちゃんとレコーディングできたんですが、スケジュールの都合があって。だから、一生懸命やって50%くらいの出来で納品してしまうよりは、今回はラフに創って、再度きちんとレコーディングした方が全力で狂えるかなって思いまして。だから「あんまり狂ってない編」なんです。

――では、今後「本当に狂ってる編」が出ることもあるんですか?

桜井:「本当に狂ってる編」(笑)。単純に「すべてが狂ってる」を出しますよ。歌詞含め、色んなことが変わるかもしれないし変わらないかもしれないし。ただ、「すべてが狂ってる〜あんまり狂ってない編〜」はちょっとだけ羞恥心が残ってるんですが、こういうものは羞恥心を残しちゃだめなんですよね。

――羞恥心、残ってますか?

桜井:残ってる! 色々残ってるんです!! もっともっといけるはずなんです!

――結構狂ったように聴こえましたが…。

桜井:足りないです! 全力で足りない! もっともっと狂えるんで、楽しみにしていただければ。全力で発狂しますから!

――cali≠gariの狂気はまだまだこんなものじゃないぞ、と?

桜井:こんなものじゃないです。人を小馬鹿にしている感が全然足りない。徹底的に小馬鹿にしないとだめなの。聴いててイラつくくらい。

◆桜井青(2代目)を加入させるとかはどう?

――『#』というタイトルにはどのような意味が込められているのでしょうか?

桜井:意味はないです。後付けで言うならば、前作『≠』に1本足してみたというところです。タイトルを一生懸命考えてつけているバンドには申し訳ないんですが、cali≠gariにとってタイトルはまったくどうでもいいところなんです。ばらばらな曲が集まっていても、そこに1本通っているものがあればいいじゃない?

――その1本が“cali≠gari”の芯なのですね。「娑婆乱打」「東京、43時00分59秒」というタイトルにも意味はないんですか?

桜井:「東京、43時00分59秒」は、意味はありますよ。けど、個人的なアニバーサリーが込められているものなので、皆さんがそこまで考えることでもないです。

――44時1分までの1秒間は、桜井さんにとってどんな時間なんでしょうか。

桜井:永遠の1秒間ですね。この1秒には色々なことがあるんです。僕も乙女なので、あまり詮索しないでください。

――はい(笑)。「娑婆乱打」は石井さんが考えたんですよね。どういう意味があるのかご存じですか?

桜井:娑婆を乱打するという意味ではないと思いますが、知らないです。

――石井さんと桜井さんの作る曲は、cali≠gariらしさがありながらも対極の雰囲気が感じられるものが多いです。

桜井:通った音楽は似てるんですが、思い入れが違うからだと思います。AORやフォークは、僕しか通ってないですし。石井さんは、物心ついた時からNWやポジパンとかばっかですし、洋楽志向だったはずですよ。なんにせよ何で一緒にやっているのかわからないです。

――桜井さんが石井さんを誘ったんですか?

桜井:いや、気がついたら一緒にやっていたというか。あの人、「cali≠gariに加入する」と言ったこと未だにないですから。永久なサポートメンバーです。そもそも、このバンドに正式メンバーはいるのかっていう。

――ということは、桜井さんも正式メンバーじゃない…!?

桜井:まあ、もう良い意味で自分の作ったバンドでは無いから(笑)。次にcali≠gariを面白くするには、僕が脱退した方がいいのかもしれないし(笑)。桜井青(2代目)を加入させるとかはどう? 世代交代、なんてね(笑)。

――でも、仮に桜井さんが脱退したらcali≠gariではなくなると思いますが。

桜井:2003年まではそうだったかもしれないけど、もうそれはないですよ。てーかそもそも脱退しないですよ(笑)。割のいい高額バイトなんですから(笑)。

――そうでしたね。では、今年から始動した新生cali≠gariは、以前のように桜井さんが主体というわけではないのですか?

桜井:うーん、僕もよくわかんない。世界一いい加減なバンドなんで。僕的には、「1回復活して2009年の夏くらいに辞めればいいんでしょ」くらいの気持ちだったんですけど、「あららら〜…?まあいいや!?」みたいな…。本当、いい加減なバンド(笑)。

――今後も活動は続けるんですよね?

桜井:みんなが面倒じゃない限りはね。あくまで“長期高額アルバイト”なので、お金をもらえる間はやります。

――では、永続的に続く“かもしれない”cali≠gariの今後の予定は?

桜井:とりあえずはツアーと台北ライヴ。あとは、年末にバカンスをしたいです。台北もその為のリサーチ(笑)。

――思い切りプライベートですね(笑)。じゃあ、ライヴをしたら帰ってこないかも?

桜井:台北でかわいいマッチョとデブ達のハーレム?そんな楽園なら帰れないかも(笑)。でも、私cali≠gari以外他の仕事もありますのでね。ノルマをこなしてから、素敵なメンズたちが集まるところに行きますよ。そのための資金を稼いでるところです。だから、台北はライヴだけじゃなくあくまでリサーチ(笑)。そして、そういった目的の裏に、cali≠gariのお仕事がある。これを報酬効果といいます。

――桜井さんにとっての報酬って…。

桜井:メンズ&マネーです(即答)。これがすべて(笑)。

――うーん、何だか経験不足ですみません…。最後になりますが、Vifをご覧の皆さんにメッセージをお願いします。

桜井:中途半端に興味を持つと戻れなくなるんで、やめておいた方がいいですよ。でも興味を持ってしまったら、最後までちゃんと責任は持ちますよ。ビクターさんがね(笑)。

――cali≠gariが、じゃないんですか(笑)。

(文・竹村千代子)

cali≠gari

<プロフィール>

2000年6月、石井秀仁(Vo./G.)、桜井青(G./Vo.)、村井研次郎(B.)、武井誠(Dr.)の現メンバーになり活動。2003年6月、日比谷野外音楽堂でのライヴを最期に無期限活動休止に入る。2009年4月、消費期限付きで復活し、シングルとアルバムを発売、2010年2月に日本武道館で行われたマストライヴ「解体」をもって消費期限切れとなり、消費期限終了記念チビアルヴァム「≠」を発売し再び活動休止に入ったと思われたが、2011年再び始動。6月には日比谷野外音楽堂2daysライヴを行い、10月には約8年ぶりとなる全国ツアーと、台北公演を控えている。

■オフィシャルサイト
http://www.missitsu.com/

【CDデータ】

初回限定盤
「# 娑婆乱打編」
VICB-35030
¥1,050(tax in)


初回限定盤
「# 東京、43時00分59秒編」
VICB-35031
¥1,050(tax in)


『#』
2011年8月24日発売
(発売元:FlyingStar Records)
cali≠gari奇跡の2年ぶりのニュウシングル!  石井秀仁と桜井青の個性溢れるナンバーを両A面として収録。ジャケット&カップリングナンバー違いの2タイプで、どちらも初回限定盤。

【収録曲】
[# 娑婆乱打編]
1. 娑婆乱打
2.トイトイトイ
3.東京、43時00分59秒
[# 東京、43時00分59秒編]
1. 東京、43時00分59秒
2. 娑婆乱打
3.すべてが狂ってる ~あんまり狂ってない編~