2011.12.27
MAVERICK DC GROUP@日本武道館
「JACK IN THE BOX 2011」

 

 

すっかり年の瀬の風物詩となった「JACK IN THE BOX」が、10回目となる今年も盛大に開催された。“びっくり箱”というその名の通り、セッションバンドのシークレットメンバーや演奏されるナンバーなど、毎回様々なサプライズでオーディエンスを楽しませてくれるこのライヴイベント。2011年冬の会場となった日本武道館には、底冷えするような寒さをもろともせず、熱いファン達が続々と集った。

 

今回は事前に“ムックとシドの持ち時間は各60分、どちらかがトップバッターを務め、もう一方がトリを飾る”とサプライズ仕込みの発表がされていたため、初めにステージに現れるのがどちらのバンドなのか、誰もが注目したところだろう。そんな中、先陣を切って舞台に現れたのは――ムック!「フォーリングダウン」「ファズ」で会場を文字通りの大揺れにしたかと思えば、「最終列車」では叙情的かつレトロなメロディーでしっかりと聴かせにいく。曲に合わせて思うままに場内の空気を変えていけるのは、ムックというバンドが持つ安定感ゆえだろう。メンバーも余裕を持って楽しんでいる雰囲気があり、サイケデリックなライティングに彩られた「アルカディアfeaturing DAISHI DANCE」では楽器陣も踊るようにしてプレイ。2012年シングル第一弾となる「ニルヴァーナ」もいち早く披露され、その力強く羽ばたいていくようなサウンドに、2012年のムックも楽しみになった。

 

 

続いてステージに上がったギルガメッシュは、なんと登場前に全曲新曲を演奏することをアナウンス!「それでもついて来れんのか!?」という自称“サディスティック・ロックバンド”からの挑戦状に会場中から歓声が上がった。SEと共にメンバーが舞台に駆け出し、そのハイテンションのままアッパーなロックチューンを連発。「楽しい!」という気持ちがダイレクトに伝わってくるやんちゃぶりに、観衆もしっかり食らい付いていく。4曲目には2011年ニコファーレで行われた『夏JACK』で公開レコーディングしたという曲もお披露目され、「た、た、た、たつろー!」という他に類を見ないコーラス(笑)が武道館にこだました。

 

 

 

3番手のBUGはスタイリッシュに登場。ボウラーハットで粋にきめたkyo(Vo)が、力強くも艶のあるシャウトを響かせた。ダンディな色気漂う「Gothic Romance」やデジタル色の強い「bugnoid」など、限られた時間でもさまざまなタイプの曲でオーディエンスを楽しませる。歌い上げながらゆっくりと花道を行き来し、時折笑みを零しながら客席を眺めるkyoの姿からは、ベテランの風格と優しさが伝わってきた。抜け感のあるベースから始まる「PROMISE」は明るく広がりのあるサウンドスケープを描き、熱くなった場内にある種の開放感がもたらされた。

 

 

 

そこにフレッシュな風を吹き込んだのが、BeepSpree。MAVERICK DC GROUPのオーディションを見事通過した5人により結成された、期待の新人バンドだ。聴きごたえのある楽器隊セッションからスタートし、先頃ドロップされた1st アルバム『STAY FOOLISH!!!』から3曲を熱くプレイ。爽やかさの中に切なさが滲む「farewell」を奏で終えた彼らに、観客からは盛大な拍手が送られた。

 

 

 

ここで、お待ちかねのセッションタイム第1弾! 今回のセッションバンドは「MDC History Session」と銘打たれ、MAVERICK DC GROUPの30年に渡る歴史を彩った曲が披露されるというスペシャル仕様だ。その1曲目を飾ったのは、ギルガメッシュのメンバーにTAKASHI(Ba/BUG)を迎えてのDIE IN CRIES「WEEPING SONG」。リスペクトの意を込めつつ堂々と歌い上げる左迅(ギルガメッシュ)の歌声に、観衆は拳を突き上げて応え、演奏を終えたTAKASHIと弐(Gt/ギルガメッシュ)、Яyo(Dr/ギルガメッシュ)がハグを交わす一幕も。続くREACTION「JOY RIDE」ではREACTIONのベース YUKIが登場しアグレッシブなプレイでメンバーをリード、kyoの気迫溢れるヴォーカルとの共演で会場を圧倒した。そして3組目としてステージに現れたのは逹瑯(Vo/ムック)、ミヤ(Gt/ムック)、TAKASHI、yukihiro(Dr/L’Arc〜en〜Ciel)の面々。彼らの姿を目にするや否や一斉に大歓声を上げたオーディエンスに、D’ERLANGERの「LA VIE EN ROSE」と「LULLABY」をセッションであることを忘れるほどにバンド感たっぷりの熱いサウンドで届けた。

 

 

 

名曲を堪能した後に巡ってきたのは、大御所44MAGNUMの出番。ヴォーカルのPAULは、息子STEVIEとの絶妙なハーモニーを披露しながら、花道の端で観客とハイタッチ。MCでは、持病の若年性パーキンソン病治療のため今回限りで大舞台から退くことを報告しつつも、「歌バカなので、小さいところでは歌い続けたい」とファンを安心させた。それから「ラストだから盛り上がってこうぜー!」の叫びで会場を煽ると、ノンストップで「STREET ROCK’N ROLLER」「IN THE END」など激しい曲をたたみかける。「SATISFACTION」では場内に大きなコール&レスポンスの波が生まれ、温かな空気に包まれた。

 

 

 

モニターに“TETSUYA”の名が映し出されると、幾つも灯りだすピンクのサイリュームの光。それに迎えられて現れた彼は、1曲目の「EDEN」から水鉄砲を手にしてはしゃぐ気満々だ。切々とシリアスに歌い上げる「TIGHTROPE」の後に「こんばんはー! 少女時代です! 違うか?」というおどけた挨拶で会場をすっかりポップな色に染め上げると、「魔法の言葉」や「lonely girl」といったキュートなナンバーを続けてプレイ。TETSUYAのエンターテイナーぶりはこれだけに止まらず、自らもタオルを回して盛り上げた「Roulette」や、会場中が「Oh!」「Yeah!」の大合唱となった「Are you ready to ride?」で、真冬の武道館をホットにしてくれた。

 

 

 

そして出演バンドのトリとして登場した、シド。並んで灯ったたいまつが照らすステージにShinjiのかき鳴らすアコースティックギターが響く「証言」から、疾走感のある「Dear Tokyo」へ……意外な選曲の連続に“おや?”と思っていると、マオが今夜はマニアック路線でいきますと告げ、そして最新シングル「冬のベンチ」なども交えながら、カップリング曲やアルバム収録曲を次々と披露。後半、「歌姫」からのり始めたスピードはゆうやのドラミングに支えられてみるみる加速し、「眩暈」で最高潮へ。オーディエンスから轟くデスボイスに吹き出すスモーク、派手な爆発音まで上がり、テンションが臨界点を突破したような様相に。「最後、バラードを届けます」というマオの言葉から奏でられた「2月」。一転してゆったりしたメロディーに揺られ、場内は解放感に浸った。

 

 

 

いよいよ終盤に差し掛かり、セッションタイム第2弾では結成20周年を迎えたL’Arc〜en〜Cielの楽曲を様々な顔ぶれでカヴァー。まずは逹瑯と明希、SATOち(Dr/ムック)、ゆうやにBeepSpreeというメンバーで「REVELATION」をプレイ。イントロだけで反応した観衆から即座にOiコールが巻き起こり、トリプルドラムの熱量も手伝って、あっという間に会場がヒートアップした。2組目にはマオ、ミヤとともにken(Gt/L’Arc〜en〜Ciel)が登場!「 flower」でブルースハープを披露したほか、スモークを撒き散らしたり、高音のコーラスまでこなしたりと大活躍で場を沸かせる。そして最後のセッションバンドのメンバーには、ついにhyde(Vo/L’Arc〜en〜Ciel)の姿が。観客からは黄色い悲鳴が上がった。Shinji、YUKKE(Ba/ムック)、BeepSpreeの面々と「The Rain Leaves a Scar」を聴かせたhydeは、「このメンバー、今顔合わせたばっかりやで。すごいなぁ」と口にしながら、もう1曲歌いたい曲があるとリクエスト。「Inner Core」を気持ち良さげに熱唱し、オーディエンスを魅了した。

 

 

 

ラストは恒例のMAVERICK DC SUPER ALL STARS。歴代の映像がスクリーンに映し出される中、出演者が続々と舞台に集う。マオの「先輩呼んじゃおうかなー?」の言葉で呼び込まれたhydeが「Are you ready!?」と高らかに叫び、L’Arc〜en〜Cielの「READY STEADY GO」へ。楽しげにセッションするメンバーの傍らで、その他の出演者はサインボールを客席に投げ込んだりとお祭り騒ぎが繰り広げられる。最後には盛大に紙吹雪が舞い、一年を賑やかに締めくくるのにふさわしい、華やかな光景が広がった。

 

(写真・今元秀明、田中和子、石井亜希)

 

◆セットリスト◆

 

【ムック】

01. 路地裏 僕と君へ

02. 蘭鋳

03. アゲハ

04. フォーリングダウン

05. ファズ

06. 最終列車

07. ホリゾント

08. アルカディアfeaturing DAISHI DANCE

09. 名も無き夢

10. ニルヴァーナ

 

【ギルガメッシュ】

01. 新曲

02. 新曲

03. 新曲

04. 新曲

 

【BUG】

01. NEW WORLD

02. Gothic Romance

03. bugnoid

04. PROMISE

 

【BeepSpree】

01. Placebo

02. 希-nozomi-

03. farewell

 

【MDC History Session #1】

MDC History Session A “DIE IN CRIES 1991-1995”

[Vo. 左迅(ギルガメッシュ)、Gt. 弐(ギルガメッシュ)、Ba. TAKASHI(BUG)、Dr. ЯYO(ギルガメッシュ)]

01. WEEPING SONG / DIE IN CRIES

MDC History Session B “REACTION 1983-1989”

[Vo. kyo(BUG)、Gt. 弐(ギルガメッシュ)、Ba. YUKI(REACTION)、Dr. Яyo(ギルガメッシュ)]

01. JOY RIDE / REACTION

MDC History Session C “D’ERLANGER 1983-1990 2007-”

[Vo. 逹瑯(ムック)、Gt. ミヤ(ムック)、Ba. TAKASHI(BUG)、Dr. yukihiro(L’Arc〜en〜Ciel)]

01. LA VIE EN ROSE / D’ERLANGER

02. LULLABY / D’ERLANGER

 

【44MAGNUM】

01. SOULS

02. I JUST CAN’T TAKE ANYMORE

03. STREET ROCK’N ROLLER

04. IN THE END

05. SATISFACTION

 

【TETSUYA】

01. EDEN

02. TIGHTROPE

03. 魔法の言葉

04. lonely girl

05. Roulette

06. Are you ready to ride?

 

【シド】

01. 証言

02. Dear Tokyo

03. ワイフ

04. 日傘

05. いつか

06. 冬のベンチ

07. 歌姫

08. one way

09. Sympathy

10. 眩暈

11. 2月

 

【MDC History Session #2】

MDC History Session D “L’Arc〜en〜Ciel 20th Anniversary Session #1”

[Vo. 逹瑯(ムック)、Gt. シュンジ(BeepSpree)・テルヤ(BeepSpree)、Ba. 明希(シド)、コータ(BeepSpree)、Dr. SATOち(ムック)・ゆうや(シド)・ユウキ(BeepSpree)]

01. REVELATION / L’Arc〜en〜Ciel

MDC History Session E “L’Arc〜en〜Ciel 20th Anniversary Session #2”

[Vo. マオ(シド)、Harp ken(L’Arc〜en〜Ciel)、Gt. ミヤ(ムック)・シュンジ(BeepSpree)・テルヤ(BeepSpree)、Ba. コータ(BeepSpree)、Dr. ユウキ(BeepSpree)]

01. flower / L’Arc〜en〜Ciel

MDC History Session F “L’Arc〜en〜Ciel 20th Anniversary Session #3”

[Vo. hyde(L’Arc〜en〜Ciel)、Gt. Shinji(シド)・シュンジ(BeepSpree)・テルヤ(BeepSpree)、Ba. YUKKE(ムック)・コータ(BeepSpree)、Dr. ユウキ(BeepSpree)]

01. The Rain Leaves a Scar / L’Arc〜en〜Ciel

02. Inner Core / L’Arc〜en〜Ciel

 

【MAVERICK DC SUPER ALL STARS】

01. READY STEADY GO / L’Arc〜en〜Ciel