2011.10.30
SPYAIR@日比谷野外音楽堂
Just Like This 2011

 

ストリートライブから始まったSPYAIRにとって、これまでの集大成、そしてこれからの大きな大きな未来への第一歩となる日がやって来た――。

「『夢は叶う』ということを行動で示せる機会」(IKE)9月のインタビューで、この日についてこんな言葉を残していたSPYAIR。彼らの“夢”であったこの日の公演が、今まさに始まろうとしていた。

 

観客のクラップで出迎えられ登場したVocalのIKEは、1stアルバムのタイトル曲「Rockin’  the World」を熱唱すると「ようこそ!  SPYAIRのライブへ!」とパワフルに挨拶。そしてすぐさま「ジャパニケーション」と続き、アルバムと同じ曲順でリズミカルにライブは進んでいく。小雨が降っているものの、ステージを所狭しと駆け回りながら高らかな歌声を披露するIKEの姿からは、この日にかける並々ならぬ情熱が伺えてならない。

続くシングルナンバーやミディアムバラードでも、感情を吐き出すような力強い演奏で観客を圧倒させる。メンバー全員が椅子に座り、和やかに演奏した「LINK IT ALL」のアコースティックバージョンでは、観客は歌詞に込められた大震災へのメッセージを汲み取るかのように、静かに聴き入っていた。

 

MOMIKEN(Ba)、KENTA(Dr)のぶつかり合うようなリズム隊ソロから一転、舞台は名物・ENZEL☆(DJ)コーナーへ。ENZEL☆がKENTAに初恋の思い出をインタビューしたり、バズーカ砲で遠くの客席にまでプレゼントを飛ばしたりと、ムードメーカーならではの嬉しいホスピタリティに、会場は温かい雰囲気に包まれていた。

 

いよいよ後半戦。強くなってきた雨もものともせずに、「STRONG」「Dead Coaster」と「これぞSPYAIR」と言わんばかりのロックチューンが連発される。ここではクールなMOMIKENもいつになく激しいパフォーマンスを披露、客席を熱狂させていた。

その後も観客全員でタオルを振り回す「サムライハート (Some Like It Hot!!)」や「LIAR」などおなじみのキラーチューンを連発。そして本編ラストの「SINGING」では雨も上がりかけた夜空に銀テープが放たれる。流れ星のように銀テープが舞う中、会場全体が1つになり大合唱。記念すべきライブにふさわしい大団円を迎えていた。

 

アンコールでは、1st Albumの青空を彷彿させる青の花紙を持ったファンがメンバーを待つ。「花、可愛いね!」とはにかむIKEが何とも可愛らしい。

そして初の全国ツアーの発表という嬉しいサプライズののち、「去年ワンマンをやった時は、300人しか集められなかった…。だけど、できるって信じて毎日走っていたら、3000人という素敵な景色を観ることができました。ありがとう」と感謝の気持ちを表した。

そして客席からの盛大な拍手の中「BEAUTIFUL DAYS」を披露。この日をイメージして作られたという珠玉のバラードに、観客は瞳を潤ませている。そしてラストは、ファンからの人気も高い「Just Like This」。公演中、何度も周囲への感謝の言葉を語ったIKEは、ライブタイトルにもなっているこの曲をエネルギッシュに歌い上げ、有終の美を飾った。

この日の野音公演は、決して彼らの最終目標ではなく、大きな夢への通過点だ。年末の東名阪ツアーでは、この日の公演を昇華し進化したSPYAIRが観られるに違いない。

 

 

◆セットリスト◆

01.Rockin’ the World
02.ジャパニケーション
03.Last Moment
04.感情ディスコード
05.Beautiful
06.Stay together
07.My Friend
08.I miss you
09.LINK IT ALL(Acoustic ver.)
10.STRONG
11.Dead Coaster
12.INCOMPLETE
13.OVER
14.サムライハート (Some Like It Hot!!)
15.LIAR
16.SINGING

EN1.BEAUTIFUL DAYS
EN2.Just Like This

 

(文・竹村千代子)