2013.2.16

PENICILLIN@渋谷公会堂

PENICILLIN 20th Anniversary LIVE FINAL

〜HAPPY BIRTHDAY & VALENTINE’S DAY LIVE〜

 

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2012年に結成20周年を迎え、ベストアルバム『DRAGON HEARTS』、『PHOENIX STAR』をリリース、ツアーを展開してきたPENICILLIN。その20周年を締めくくるファイナル公演が2月16日、渋谷公会堂で行われた。毎年、結成日である2月14日付近の日程で記念ライブを行っている彼ら。つまり、この日のライブは20周年の終わりでありながら、21周年の始まりとなるPENICILLINのバースデイライブでもある。

 

ホールならではの豪華な舞台セットや照明の演出に導かれ幕を開けたステージ。ミラーボールが光り輝くなか丁寧に奏でられる「地球」を聴き、今夜は愛に満ちた温かな夜になるに違いないと確信した。より多くの曲数を演奏するために本編のMCはほぼ無く、PENICILLINの代表曲が次々と繰り出される。本能的な愛情、欲望をモチーフにしながら、ファンとの関係性をもっと深めたいというメッセージが込められている最新曲「PHOENIX STAR」はもちろん、力強く情熱的なアクトに拍手が起こった「腐海の砂」、コール&レスポンスに笑顔が溢れた「ウルトライダー」と、様々な楽曲がこのスペシャルな夜を彩り場内の熱をぐんぐんと上昇させていく。

 

この日のステージをさらに熱くさせたのは、2007年に脱退したオリジナルメンバー、GISHO(Ba)の登場だ。彼がこのライブにSPECIAL GUESTとして出演することは事前にアナウンスされていたが、スタートから15曲目に入ろうというとき、ついにその姿を現すと、ひと際大きな歓声が湧き起こった。ベストアルバム『PHOENIX STAR』でGISHOも再録に参加している「God of grind」から4人のステージはスタート。黒のエナメルの衣装を身にまとったGISHOが得意の大回転を見せると大歓声が起こる。演奏中、千聖(G)がGISHOの額にキスをしたり、HAKUEI(Vo)がGISHOを抱きしめる場面も。GISHOがドラムセットに駆け寄れば、O-JIRO(Dr)は笑みを浮かべる。寄り添いながら、アイコンタクトをしながら、ステージを楽しむ彼らの姿は、まるで愛を確かめ合っているようだった。こうしてあっという間に4人のPENICILLINでの時間は過ぎ去り本編は終わりを迎えた。

 

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アンコールではPENICILLINの21歳の誕生日を祝い、サポートメンバーのHIROKI(Ba)、TACOS NAOMI(Key)も含めた5人でケーキの火を吹き消す一幕も。そして2度目のアンコールではGISHOが再び登場。HAKUEIはPENICILLINの初のホールワンマンがこの渋谷公会堂だったこと、そしてまたこのステージに立てたことの喜びを語り、「『PHOENIX STAR』にも収録されている「螺旋階段」は、PENICILLINの本来の勢いや力を感じさせてくれる曲。初めて作ったバラード曲で、レコーディング当時のことを今でも鮮明に思い出します」と話すと、GISHOにマイクを渡した。すると、「ただいま! 帰ってきました! PENICILLINのGISHOです!」という彼の第一声に、場内は「おかえり!」と歓喜の声に包まれた。「歌詞にある〈歩き疲れて明日が見えない〉と思うことが自分にもあったけど、〈最高のSTORY信じていたい〉という歌詞に救われました」とGISHO。こうして披露された「螺旋階段」は、ここに居合わせた全ての人たちの背中を押してくれるだろう。そしてステージは「ロマンス」「Chaos」で最高の盛り上がりを見せ、幕を閉じた。

 

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メンバーがステージを去った後、「螺旋階段」をBGMに、スクリーンにはその歌詞である「太陽の下で目をふせたまま 曖昧な夢を手放せなくて」というワード。このライブのエンドロールに続き、1992年2月14日の結成からこれまでのバイオグラフィーとディスコグラフィーが映し出された。そして最後に浮かび上がったのは「過去を愛して 今を壊して 未来を奏でて 僕らは生きていく 共に未来へ…」というPENICILLINからのメッセージだった。

 

MC中の「全ての出会いに感謝しています」というHAKUEIの言葉に彼らの全てが詰まっていたと思うし、終演後、会話の中で「涙ぐんでいる顔がたくさん見えて、やばかった」と話したO-JIROの言葉が、この日のライブを物語っていた。バンドの形というのは様々だが、これだけ個々の存在感が明確にあり、それぞれの魅力を放つ、良い意味で個の集合体であるということを感じさせられるバンドは数少ない。バンドというのは私たちには計り知れない奇跡的なバランスの上で成り立っているもので、ある種とても繊細なものなのだろう。いくつものバンドが生まれ終焉を迎えたこの20年間、PENICILLINは歩き続けている。千聖が口にした「これからも続いていくバンドだから」という言葉が何よりも頼もしかった。そう、これからも共に未来へ。

 

◆セットリスト◆

SE. VIBE∞

01. 地球

02. REAL×××

03. 99番目の夜

04. Rosetta

05. PHOENIX STAR

06. 冷たい風

07. one star

08. 腐海の砂

09. ×・×・×

10. ウルトライダー

11. Desire

12. Quarter Doll

13. NEW FUTURE

14. 太陽の国

SE. In the Kingdom of the Moonlight

15. God of grind

16. Melody

17. fantasia

18. FOR BEAUTIFUL MAD HUMAN LIFE

 

EN1

19. 男のロマンZ

20. イナズマ

21. 天使よ目覚めて

EN2

22. 螺旋階段

23. ロマンス

24. Chaos

 

(文・金多賀歩美/写真・加藤正憲〈KATO PHOTO CLUB〉)