2010.12.12
12012@ラフォーレミュージアム六本木
THE FANGS OF KILLER「SEVEN」SADNESS
“12012の日”として毎年ライヴを行ってきた12月12日。
今年は、ギターの須賀勇介脱退という衝撃的な日となった。
7年半に渡って活動してきた12012が5人で見せる最後のライヴとなったこの日。ライヴ開始早々、メンバー、そしてオーディエンスのライヴに向ける気持ちの大きさを思い知らされた。
「JUST THE WAY YOU ARE…」で幕を開けたステージは、「newspaper」「gallows」「サイクロン」と息つく間もなく展開し、会場のボルテージを急速に上げていく。
背景はシンプルな黒一色。そこに、モノトーンの衣装を纏ったメンバーが照らし出される。余計なものを削ぎ落としたステージから発せられる熱量はその場にいるもの全てを圧倒した。
「icy ~cold city~」「Shudder」「my room agony」で見せた激しさ、一転「LOVERS」「Over….」で聴かせた切なさ。静と動を交錯させながら展開するステージは、まさに5人で作り上げてきた12012の集大成と言っても過言ではないだろう。
「ありがとう」宮脇のこの言葉に会場からは大きな拍手が沸き起こった。
もちろんしっとりと聴かせた後には更なるシフトチェンジが待っていた。「薄紅と雨」から、ライヴの定番曲「浸色」、本編ラストの「THE PAIN OF CATASTROPHE」まで、疾走感溢れるナンバーが続く。酒井と須賀はステージを縦横無尽に動き回り、塩谷はステージの際まで出て客席を煽る。その背後で鳴り響く川内の渾身のドラミングと相俟って、ライヴはさらにヒートアップしていった。
そしてこの日、ステージから発せられる熱量同様、オーディエンスがステージに向けられるパワーにもすさまじいものがあった。曲中の満場のオイコール、ハンドクラップ、そしてヘッドバンキングでメンバーに応える姿には、7年半という年月で培われたバンドとファンの絆を見せつけられた思いだった。
本編を終え、メンバーがステージを去ると直後に沸き起こる大きな「アンコール!」の声。そして、メンバーが姿を現すと同時にあがる悲鳴のようなメンバーコール。今日のライヴに全力で挑むオーディエンスの気持ちが切ないほどに会場内を満たしていた。
「まだまだいけるだろ! こんなもんじゃねーよな!」
メンバーが、オーディエンスが、持ち得る限りの集中力を傾け作り上げた今日のライヴの完成度は、12012史上でも、記憶に残るものになったはずだ。
そんなアンコール中盤、それまで一言も触れなかった須賀脱退について、宮脇が口を開いた。
「今日は12月12日。俺たちは12012の日だと言っているけど、もうひとつ大きな分岐点となる日でもあって…」
5人の12012が迎える終焉。その事実が急にリアルさを増し、静寂の中、会場からはすすり泣きが聞こえる。
「12012の7年間めっちゃおもろかったで? ほんとありがとう」
須賀の言葉にファンからも「ありがとう!」の声が沸き起こった。
でも、ここでしんみり終わらないのが12012だ。
「みんなの泣いてる顔見てたら汚いやん(もちろんファンからは「ひどーい!」の声が!)。最後はとびきりの笑顔で!」
その言葉を受け、涙を堪え、笑顔でアンコール・ラストの「SHINE」に聴き入る客席に宮脇が放ったのは、「俺たちが12012です!」この一言に、彼らの全てが集約されているように感じた。
客電もつき、誰もがライヴ終了を覚悟したとき、なんと再びメンバーが登場。狂喜するオーディエンスに迎えられた5人が奏でたのは名曲「僕ノ殻カラ」。
「また会おうな!」
2010年の12012の日、最後は須賀勇介のこの言葉と満ち足りた笑顔で幕を下ろした。
12012、そして須賀勇介の次なる動きを、ファンと共に今から心待ちにしたい。
◆SET LIST◆
01.JUST THE WAY YOU ARE…
02.newspaper
03.gallows
04.サイクロン
05.TATTOO
06.As
—– SE —–
07.icy ~cold city~
08.Shudder
09.my room agony
—– SE —–
10.LOVERS
11.Over….
12.配られたカードで勝負するしかないのさ、それがどういう意味であれ…
13.薄紅と雨
14.浸色
15.THE PAIN OF CATASTROPHE
ENCOREⅠ
EN01.vomit
EN02.罠
EN03.「6」party
ENCOREⅡ
EN04.逢いたいから….
EN05.SHINE
ENCOREⅢ
EN06.僕ノ殻カラ