ライブレポート

2020.2.8
PENICILLIN@新宿ReNY
「28th ANNIVERSARY HAPPY BIRTHDAY & VALENTINE’S DAY LIVE SPECIAL」

PENICILLINの結成28周年を記念した「28th ANNIVERSARY HAPPY BIRTHDAY & VALENTINE’S DAY LIVE SPECIAL」が2月8日、新宿ReNYにて全4公演の初日を迎えた。2月14日が結成記念日のPENICILLINにとって、この時期にライブを行うことは恒例行事であり、ファンと共にバンドの誕生日を祝う特別な時間だ。

ここから始まる彼らの新たな未来を示すように、今宵の幕開けを飾ったのは「NEW FUTURE」。約2ヵ月ぶりのPENICILLINのステージということも相まって、O-JIRO(Dr)から早くも笑みがこぼれる。彼のバスドラムのヘッドが、カラフルな大輪の花が描かれた28周年公演仕様になっていたのも嬉しいポイントだ。続いて疾走感溢れる「Dead Coaster」をプレイすると、満場の拳で応戦してみせたフロアに向け、千聖(G)はメロイックサインを掲げる。さらに「CRASH」「×・×・×」とアグレッシブに展開していき、HAKUEI(Vo)はオーディエンスに対して「聞くまでもなく、元気ですね(笑)。何だろう…帰ってきた感。行くぞ!と、そっちから煽られる、この感じがPENICILLINなんですよね」と、長い歳月を共にしてきたからこその愛ある言葉を投げかけたのだった。

本編中盤において、“ミディアムナンバー”と一括りにするのは憚られるが、PENICILLINの中では比較的落ち着いたテンポのナンバーが並びつつも、どの楽曲もカラーが異なり、そのコントラストによって各曲のキャラクターがさらに際立っていたのは特筆すべき点。2018年発表の「Lucifer ~光をもたらす者~」は、たっぷりとしたテンポ感の前半とは打って変わって曲中に激しい展開を見せるわけだが、この楽曲がここに配されたことは、その個性を最大限に活かすことになったと感じる。結果、先のインタビューにおいて「この経験年数がないと表現できない難しい曲だと思っていて、自分にとってすごく自信がある作品になったので、この路線は今の僕たちとしては来るところまで来たなという感覚がある」とHAKUEIが語っていた通り、現在のPENICILLINが一つの到達点に辿り着いた楽曲は、このステージ上でも圧倒的な存在感を放っていた。

その後、千聖とO-JIROによるバレンタインデートークで盛り上がる一幕もありながら、サポートメンバーのChiyu(B)からは「僕は2018年5月からなので、まだ“28分の2”ですが、ベースがChiyuになってからPENICILLINは再ブレイクしたと言われるように頑張っていきます!」という頼もしい宣言が。さらにHAKUEIから「30周年の節目が見えてきました。その時は何かしようね」と、未来が楽しみになる言葉も届けられた。

「まずは今この28周年を迎えられた喜びを共に分かち合いましょう」(HAKUEI)と、昨年11月にリリースした最新作『九龍頭 -KOWLOON HEAD-』収録の「Too young to die!」をプレイ。その後もPENICILLINの28年間を彩ってきた新旧様々な楽曲が繰り広げられていき、「何が飛び出すかわからないセットリスト、面白くない!?」とHAKUEI。また、後半戦へ向かう際に告げた「バンド、音楽に対する姿勢、根っこの部分はずっと変わっていないと思います。結成した当初、とにかくライブがやりたかった。そういうバンドです。ライブバンドです。それだけはハッキリと言えます。だからここが、それを一番発揮できる場所です」という言葉は印象深いものだった。

そんな言葉からハードナンバー「Justice」「記憶の固執 ~融けゆく時間~」を連投した後、ヘヴィーなバンドサウンドに乗る切なくも甘美なメロディーがPENICILLINらしい「The pain song of the beast」へ。本編ラストではオーディエンスの大合唱と共に「天使よ目覚めて」を披露すると、フロアには笑顔の花々が咲き誇り、多幸感に満ちたその光景はあまりにも美しかった。

オーディエンスによる〈Happy Birthday Dear PENICILLIN〉の歌声に迎えられ、バースデーケーキで28歳の誕生日を祝うと、96年のメジャーデビュー曲「Blue Moon」を披露。さらにフロント陣がフロアに対してほぼ背を向け、4人が向き合う形で演奏する「WILL」は、今この瞬間にPENICILLINが存在しているのだということを強く実感させてくれると共に、より一層、その歌詞が突き刺さる。〈本当の気持ちを歌うから 一瞬の奇跡をください/愛の奇跡をください〉――。

HAKUEIが改めて感謝の気持ちを述べ、「何より、皆さんがPENICILLINと共に歩んでくれているお陰です。活動が止まる予定は今のところないので、とことん付いてきてもらいたい」と話すと、「God of grind」でオーディエンスと特大の愛のやり取りを交わし、熱狂のラストシーンを描いてみせたのだった。なお、この楽曲はライブ鉄板曲だが、94年発表の1stアルバム『Penicillin Shock』の1曲目を飾ったナンバーでもある。実はこの日の最後を締め括る楽曲としては、5曲の候補が用意されていた。そんな中「God of grind」が選ばれたのは、果たして偶然か必然か。

「28周年ありがとうございました! これからもよろしく」という千聖の言葉で幕となったこの日。端的に言えば「28年間を網羅したライブ」だが、自らの歴史を辿りながらも未来を示したステージは、その随所にPENICILLINからのメッセージが込められていたと感じずにはいられない。この記念公演は翌2月9日の同会場、そして2月15、16日の梅田Shangri-Laで閉幕となったが、4月には新宿のライブハウスを巡るツアー「新しい宿」が控えている。これから先も続いていくバンド、PENICILLINが歩む道を見続けていきたい。

◆セットリスト◆
01. NEW FUTURE
02. Dead Coaster
03. CRASH
04. ×・×・×
05. 夜をぶっとばせ
06. FIORE
07. Lucifer ~光をもたらす者~
08. 白髏の舞
09. Too young to die!
10. 月千古輝
11. JULIET
12. JUMP#1
13. Justice
14. 記憶の固執 ~融けゆく時間~
15. The pain song of the beast
16. 天使よ目覚めて

En1
17. Blue Moon
18. WILL
19. イナズマ

En2
20. God of grind

(文・金多賀歩美)


【ライブ情報】
●PENICILLIN TOUR「新しい宿」
4月5日(日)新宿LOFT
4月24日(金)新宿BLAZE
4月26日(日)新宿ReNY

PENICILLIN オフィシャルサイト https://www.penicillin.jp/

PENICILLINのその他の記事を読む