2018.5.24、26
K@渋谷WWW、高田馬場AREA
『K ONEMAN LIVE 2018 UNENDING STORY』『URGE OF K BIRTHDAY』

2018年もこの時期が巡って来た。BORNの解散から2年、そしてその日はギタリスト・Kの誕生日でもある。今年のKのバースデーライブは、5月24日に渋谷WWWで行われたワンマンライブと、26日の誕生日当日に高田馬場AREAで開催された主催イベントの2本立て。その模様をお届けしよう。

●2018.5.24『K ONEMAN LIVE 2018 UNENDING STORY』@渋谷WWW

この日のライブは「K ONEMAN LIVE 2018 UNENDING STORY」と銘打たれ、渋谷WWWにて行われた。思えば今年はBORNの結成から10年目の年。その節目の年が招いたかもしれない奇跡が、この公演では起きていた。バンド解散以来ステージに立つことのなかったRay(G)が、Kからの出演依頼を快諾し、ギターを手に取ったのだ。それをファンがどれほど待ち望んでいたのかは、事前にチケットがソールドアウトしていたことからも明らかだろう。

かくしてKとRayによるBORNギター隊の一日復帰という記念すべき日となったこの日、BORNの10周年アニバーサリー作品『BORN Devilish of the PUNK』がオフィシャルリリースを前に会場にて急遽先行発売され、多くのファンが次々と手に取っていった。

フロアを埋め尽くしたオーディエンスの期待の込もったさざめきが、SEが流れ出した瞬間、歓声に変わる。それに迎えられて、KそしてRayと共にCazqui(G/NOCTURNAL BLOODLUST)、Ivy(B/ラッコ)、ばる(Dr)がステージに姿を現した。「渋谷、やっちまうぞ!」というKの煽りから開幕に投下されたのは、激しくも切ないメロディーラインの「Rebirth」。客席ではヘッドバンギングが巻き起こり、サビでは楽しげにジャンプする姿も見られた。舞台下手に陣取ったRayは、2年のブランクを感じさせない立ち姿で弦をかき鳴らしている。

「今日は俺の前前前夜祭…いや、俺の誕生日の前前夜祭か。『前前前世』みたいになっちゃった」とおちゃめな発言をしたKが「今日ここに集まったみんなと、最高のメンバーで、最高の空間を作ろうと思うからよろしく!」と伝えると、フロアからは頼もしい声が返される。そして更なるガソリンを浴びせるかのごとく響き渡ったのは、ライブ定番のヘヴィなナンバー「雀羅」。キラーチューン「Higher」も立て続けにドロップされ、客席のボルテージは右肩上がりに。ギターリフがキャッチなーな「HARMFUL」では一体となってライブを楽しむファンを見て微笑むKの姿も見られた。

そこから一転、場内をダークでメロウな色に染め上げた「Mirror」。アウトロでRayの奏でる音が暗闇の中に差し込んだ希望のように鳴り響く。次いで贈られた「Lily」では優しく寄り添うようなKの歌声と、泣きたい気持ちになるような情景を描くCazquiのギターソロに、観客は静かに聴き入っていた。温かな拍手が満たす空気感から、瞬く間にギアチェンジし、アクセル全開のイントロのフレーズがたまらない「深愛」へ。Kの音楽性の幅広さに、気持ちよく翻弄されるひと時となった。

「楽しんでるかい? 俺も最高に楽しいです、ありがとう」と口火を切ったKは、この夏にソロワーク2周年を迎えることに触れて、夏のワンマンライブの情報を解禁。「最高の夏にしようと思ってるから、思いっきり楽しんでこうぜ!」と客席を煽り、ここからのブロックはまさに興奮の坩堝のような様相となった。

四つ打ちのリズムに思わず身体がのせられてしまう「4/4Party」、オーディエンスが手にするタオルが乱舞し、ビートを刻むばるもご機嫌な表情に。「お前ら踊りに来たんだろ? 頭ぶっ飛ばす準備できてるか!」というKの叫びから雪崩れ込んだ「The beautiful hate」ではディストーションの効いたサウンドに酔いしれた。そして4月9日開催の『-The Kingdom Fes,-』vol.Ⅲで初披露された新曲「PP」。バンド、ファン共にまるで馴染みの暴れ曲であるかのようなノリを繰り広げ、ステージ下手でKとRayが並んで笑顔を交わす一幕も。フレーズがリフレインされる度に場内の熱量が膨れ上がっていくのを肌で感じる。その熱さは冷めることのないまま、ヘドバンが咲き乱れる「Screaming for~」まで全力で駆け抜け、本編が締めくくられた。

アンコール冒頭のメンバー紹介、BORN時代からのファンはもう察しているかもしれないが、とにもかくにもRayによる小気味好いマシンガントークが止まらない。「ご無沙汰しています」という挨拶から、余韻に浸るどころではなかったという長尺のBORN解散ライブの話や、この日のライブに出演するに至った流れを滔々と語り、またそれを聞いているKがどこか嬉しそうな表情で相槌を打ちながら先を促すものだから、実質止められる人がいないのだ。しびれを切らしたIvyが一度割って入ってはみたものの、Kの「あのね、俺ら(話し出すと)長いから」という一言であえなく撃沈。そうして一頻りRayの話を聞いたKが「リハーサルからずっと、俺、全然違和感がなくて」と改めて語り出した。
「今、(Rayが)頑張ってる他のこともあるから、いろんな人が『Rayがギター持ってると違和感ある』って言うんですけど、俺は全然なくて。俺にとっては夏休みがずーっと続いて、久しぶりに会った同級生みたいな感覚。だから今日、俺の中でのRayってずっとギタリストのままなんだなって確認できたんですよ」
この言葉に胸の奥が熱くなった人も少なくないだろう。

そして、この日二度目の「雀羅」を起爆剤として投下し、再びフロアを熱くすると、Kが「Ivy、すっげぇ早くして。それでよろしく!」と声を掛ける。身を低くしてベースを構えたIvyが、轟くような音で掻き鳴らしたのは「Higher」のイントロ。高速のベースに負けじと食らい付いていくばるのドラムにも煽られ、場内は瞬く間にカオスとなった。

「解散から約2年が経ちますが、何で俺が今日まで音楽を続けてきたかというと、本当に“ただ音楽が好き”だったからだと思うんですよ。こうやって集まってくれるメンバーやみんなの存在を大切にして、これからも生きていきたいなと、今日のライブが実現して思いました。こういう時間がもっと続いてくれたらなと思います」

感謝と願いを込めて奏でられた「STORY」。この日のこの時間を惜しむかのように、Kの歌声か切々と響く。「またみんな、どこかで絶対会いましょう」と贈られた「MY WORLD」では、ハッピーなメロディーに合わせて向かい合ってギターを弾き、ハイタッチするKとRayの姿が。ラストナンバーは、この日の1曲目にプレイされた「Rebirth」。濃密な時間を共に過ごしたバンドとオーディエンスが一体となって最後まで暴れ尽くし、楽しみ尽くしての幕引きとなった。

●2018.5.26『URGE OF K BIRTHDAY』@高田馬場AREA

そして迎えた26日。バースデーイベント「URGE OF K BIRTHDAY」のため高田馬場AREAに集ったのは、RENO、Kra、NAOKI、RYOGAというレーベルメイトの面々。そしてスペシャルゲストとして出演する元BOØWYのドラマー・高橋まことだ。なんと彼は、NAOKI、RYOGAと共に一夜限りのセッションバンド「まことBAND」を組んで参戦。大いに盛り上がったこの日も模様は以下の通りだ。

【RENO】

一番手で登場したのはRENO(G)。本日の主役であるKと、結良(B/Kra)、風弥~Kazami~(Dr/DaizyStripper)をサポートに迎えてインストゥルメンタルの楽曲を披露し、持ち前のメロディアスな“歌うギター”でフロアを魅了した。突き抜けるギターフレーズが爽快な「Sonic Attack」では、自らOiコールを煽動して、バンドサウンドに馴染みが深い聴き手の気持ちも巧みに掴んでいく。

MCでは「ソロワーカーとしてKくんのことをリスペクトしている」と語り、その流れから「もし俺のイベントがあったら出て?」という言葉にKが快諾する一幕も。

ソロでの活動を始めた時、最初に作った曲だという「Collision of universe」。鼓動のように鳴り響くバスドラムに、スケール感のある情景を描く旋律がよく映える。リリースして間もないアルバム『IMAGE』からも選りすぐりの楽曲が披露され、「The Ugly Kings」では路地裏を疾走するようなスリリングな感覚を、「Chemical ROCK」ではオシャレで危険な香りのギターサウンドを堪能できるひとときとなった。そしてラストに贈られた「JOURNEY」。眩しい日差しがきらめく様を感じさせる旋律が、今日という日を祝福するように響き渡っていた。

【Kra】

今年で結成18年目という長いキャリアのKraが、この日の始まりに選んだのは「不思議な世界からの招待状」。カラフルで楽しい、でもどこか妖しさの漂うナンバーが、オーディエンスをKraワールドへとあっという間に攫っていく。

「Kくん、本当にお誕生日おめでとうございます。だがしかし、ただただお祝いに来ただけではありませんよ、みなさん。是非とも今日のイベントを最後まで楽しんでいただきたい」と始まった景夕の口上から、場内の空気がじわじわ変容し「カラスノマクラ」へ。赤と黒に染められたライブハウスが、アンダーグラウンドの芝居小屋のような空気感に包まれる。アウトロで結良が奏でる重々しいベースから、雪崩れ込むように次の「彷徨えど夜」へと繋ぎ、タイゾ(G/Kra)のコーラスがアダっぽくも切ないサビを彩る。降り続く雨の景色が浮かぶ「無拓と無択と」では、情感たっぷりのギターソロがフロアを酔わせ、客席にはヘドバンの嵐が巻き起こった。

そして〆にドロップされたのは「artman」。これまで幾度もライブで耳にしてきた楽曲に客席のボルテージはさらに高まり、それを目にしたメンバーの表情にも笑顔が。靖乃(Dr)も屋台骨を支えながら歌詞を口ずさんでいる。安定感のある表現力でオーディエンスを牽引していく様は、軍服調の衣装も相まって、さながら“革命者”そのもののようだった。

【まことBAND】

白いハットに白いシャツと、全身白でキメた“ミスター・エイトビート”高橋まことが刻むリズムから、この夜だけの特別なステージがスタート。BOØWYの名曲ばかりを取り揃えたセットリストで、熱いパフォーマンスを繰り広げた。メインヴォーカルを務めたNAOKI(Vo、B)に加え、RYOGA(G)と高橋も代わる代わるヴォーカルを務めた「B・BLUE」と、「BAD FEELING」のダンサブルで危険な香りのするサウンドで、場内が80年代にタイムスリップしたかのような雰囲気に。世代を超えて愛される音楽には、強い力があることを感じさせる。

MCのメンバー紹介では、NAOKIとRYOGAに続いてコールされた高橋に、客席から熱烈な声援が。それに「どうもありがとう」と応えると「みんな、楽しんで行こうぜ。というよりも、今日はKちゃんのバースデーなんだろ? なので、彼に敬意を表して」と、本日の主役に言葉を贈った。

そしてギターリフのカッコ良さが光る「MARIONETTE」。誰もが知る名曲は、聴き手のみならずプレイヤーをも楽しませるようで、NAOKIもRYOGAも心なしかキッズの顔に戻っている。限られた持ち時間の中でもNAOKIとRYOGAが「どうしてもやりたかった」という「NO. NEW YORK」では、世代の違うミュージシャンたち(しかも1人は本家メンバー)がやんちゃなメロディーを奏でる姿に、音楽は共通言語だということを再確認させてもらった。

NAOKIの「夢を見ているやつらに、この曲を送ります!」という言葉から、ラストナンバーは「DREAMIN’」へ。この曲でヴォーカルを務めたのは、“バースデーボーイ”のKだ。自らが描く夢への道を走り続ける彼が力強く歌い上げた“夢”の歌は、きっとファンの心に強く響いたことだろう。

【K】

黄色い歓声に迎えられ、Kとタイゾ、祐弥(G)、Ivy(B/ラッコ)、SOY(Dr)が舞台に姿を現した。この日のKは「MY WORLD」を1曲目にセレクト。ハッピーなサウンドに客席も楽しげなムードに包まれる中、ささっとKを挟んで並んだ祐弥とIvyが、左右からKの頰にキス! 照れと戸惑いがない交ぜになった表情をしながらKも替え歌でそれに応える。かと思えばヘヴィな「雀羅」を投下して場内をカオスへと叩き込み、SOYの繰り出す轟くようなバスドラムがヘドバンの嵐を巻き起こした。

MCでは「今日はね、一昨日がワンマンだったでしょ…だから頭が(あんまり回ってない)」とやや困った顔で語るKに、祐弥が「もうカワイイ! そりゃキスしたくなるよ〜!」とコメント。先ほどのキスで左頰にIvyの黒いリップマークが付いていることも判明し、笑いが起きた。そんな和やかなムードから披露された「Lily」は、いつもよりさらに優しく穏やかな空気で場内を満たしていき、タイゾの奏でる夜空の星のようなギターソロが、それを美しく彩った。余韻に浸る場内をハイスピードの轟音ナンバー「Higher」でトップにギアチェンジすると、そのままの勢いで「Raging pain」に突入、一気に本編を駆け抜けた。

アンコールでは「今日、一つ年をとったんですけど、自分の中で今年は意味のある年で。この髪色なんかもそうなんですけど。ちょっとやりたい曲をやろうと思います」という言葉から、Kがリスペクトしてやまないhideの楽曲「TELL ME」をカバー。気持ちのこもった歌声に、客席からは温かな拍手が贈られた。

ラストの「STORY」を歌い出そうとしたところで、突然「お誕生日おめでとう〜!」という祐弥の声が。タイゾのギターに合わせて会場中でバースデーソングを歌うと、ファンからの差し入れというラーメン型のケーキで、年に一度のこの日を祝った。

そしてこの日のラストを飾ったのは「このまま終わるのも淋しいから」と急遽追加された二度目の「Higher」。高速で繰り出されるディストーションがゴリゴリに効いたサウンドに、ボルテージは最高潮を迎えての終幕となった。

攻めの姿勢で新しい1年のスタートを切ったK。8月19日のソロ活動2周年アニバーサリーには、高田馬場CLUB PHASEでのワンマンライブ(K 2nd Anniversary ONEMAN LIVE『TIME OF AWAKENING』)を行うことも告知された。彼が今後描いていく世界を心待ちにしたい。

◆5.24セットリスト◆
01.Rebirth
02.Raging pain
03.雀羅
04.Higher
05.HARMFUL
06.Mirror
07.Lily
08.深愛
09.fame
10.4/4Party
11.The beautiful hate
12.PP
13.Screaming for~

EN
01.雀羅
02.Higher
03.STORY
04.MY WORLD

EN2
01.Rebirth

◆5.26セットリスト◆
【RENO】
01.Sonic Attack
02.Minority
03.Collision of universe
04.The Ugly Kings
05.Chemical ROCK
06.JOURNEY

【Kra】
01.不思議な世界からの招待状
02.空中ブランコ
03.カラスノマクラ
04.彷徨えど夜
05.無拓と無択と
06.artman

【まことBAND】
01.B・BLUE
02.BAD FEELING
03.季節が君だけを変える
04.MARIONETTE
05.NO. NEW YORK
06.DREAMIN’

【K】
01.MY WORLD
02.雀羅
03.HARMFUL
04.Lily
05.Higher
06.Raging pain

EN
01.TELL ME(hide cover)
02.深愛
03.STORY
04.Higher

Kからコメント動画をお届け!
さらに、『URGE OF K BIRTHDAY』参加メンバーからのバースデーコメントも!

(文・古原孝子/写真・コザイリサ)


【ライブ情報】
●K 2nd Anniversary ONEMAN LIVE『TIME OF AWAKENING』
8月19日(日)高田馬場CLUB PHASE
開場17:00 / 開演 17:30
料金:スタンディング 前売 ¥4,200(税込・1Drink代別)
問い合わせ:PS COMPANY 03-5913-9008
<PS mobile受付>
■受付期間:6月2日(土)14:00~6月10日(日)23:59
■入金期間:6月15日(金)14:00~6月19日(火)23:59
■確定枚数:6月20日(水)
http://m.pscompany.co.jp/r/k_3aniv_ticket/

<プレオーダー >
【受付期間】6月17日(日)12:00~6月24日(日)18:00
【入金期間】6月26日(火)13:00~6月28日(木)21:00

<一般発売>
7月7日(土)10:00~
■URL(パソコン/スマートフォン/携帯共通)
http://sort.eplus.jp/sys/T1U14P0010843P006001P002259949P0030001

Kオフィシャルサイト http://www.pscompany.co.jp/k/