ライブレポート

2018.4.28
DAMY@TSUTAYA O-WEST
DAMY ワンマンライブ「反抗全書-本論-」

「TSUTAYA O-WESTという大きい箱で、DAMYが天秤にかけられている」
先日行ったインタビューで、椋(Vo)はこんな言葉を口にしていた。彼らが目標としてきた思い入れのある箱でのワンマンライブは、同時に、4人がここまで積み重ねてきたことの結果発表の場でもある。メンバーにとって、そしてファンにとっても、大きな意味を持つ一つの節目の日となった。

熱気と興奮に満ちた会場が暗転したのは、開場時間ちょうど。「さぁ始めようか!」という椋の咆哮で、ライブの幕は切って落とされた。1曲目から「首吊り少女」という容赦ない選曲が実に彼ららしい。いきなりのトップスピードにも関わらず、会場にいる全員が全力で挑みかかる様はまさに圧巻で、轟く海青のドラム、響き渡る空のギターとシャウトに呼応するフロアからの〈首吊りました。〉の特大のコールもド迫力だ。
間髪入れずに、印象的なギターリフと、「3、2で死ね」の言葉で始まったのは「虚言癖」。吹き出すCO2と共に客席には高らかに拳が上がり、うなりを上げる颯熾のベースにモッシュが沸き起こる。加速度的に熱を増し、カオティックな様相を帯びていくフロアを椋は笑顔で見つめていた。

続いて、「どのライブハウスよりもイカレてることしようぜ!」と投下された「撲殺サマンサ」、紫と黒に染まったステージで、まるで磔刑のようにマイクスタンドを背負った椋が、跳ねまわり、お立ち台に寝転がり、客席に身を乗り出して、狂気を孕んだアクトでオーディエンスを魅了したDAMY流のラブソング「汚物」、そして、「君たちと僕で本物の家族になりましょう」という言葉にOiコールが会場いっぱいに広がった「解剖家族の真意」…感情を剥き出しにした力強いプレイと最強のセットリストで、ここまでをノンストップで駆け抜けた。

空気をガラリと変えたのは極上のバラード「深海」。足元にスモークが立ち込める中、柔らかに語りかけるように紡がれる詞、静かに爪弾かれるギター、そしてドロリと重いベースとドラムが静かに、しかし雄弁にリズムを刻み、深い海の底で奏でられる遠く切ない物語へと引き込んでいく。その余韻に酔いしれるように、会場を沈黙が支配する中、空気を震わせたのは脈打つ心臓の音。真っ赤に染められたステージで奏でられたのは「誰か僕の為に息を引き取って 誰か僕の為に死ねますか」。重く、深く、聴き手の心に迫る2曲をじっくりと聴かせ、DAMYの魅力の一端を見せつけたのだった。

ここで鮮やかに表情を変え、さらなる異世界へと導いたのは“最新のDAMY”ともいうべきシングル2作品。楽曲の世界観を映し出したMVを背景に繰り広げられる会場の一体感が心地よい「トモダチごっこ」、そして、椋の甘やかな声が歌い上げるサビのキャッチーさと一糸乱れぬヘドバンとの対比が圧巻の前作シングル「chilled.」。彼らのライブをこんなにも鮮やかに彩る楽曲の数々に目を見張るばかりだ。

そして本編も終盤。ここからは“戦闘民族”DAMYの本領発揮ともいうべきか、彼ら屈指の暴れ曲が待ち構えていた。3分弱の短さでありながら、一瞬にしてフロアをカオスの渦に叩き落した「きみのわるぐち」に端を発し、「さぁ祈りなさい!」の声にステージにオーディエンスが押し寄せ、その理性を容赦なく吹き飛ばした「りありすと」、そして海青の「かかってこい東京!」という絶叫でスタートした「理由」――これぞライブ曲!というセットリストに、フロアがぐちゃぐちゃに乱れ狂う様は、この日、椋が何度も口にしていた「ライブ気持ちいいね!」「やっぱいいね、ライブって!」という言葉通り、実に爽快だ。

圧倒的な景色を見せてくれたフロアに、椋からこんな言葉が投げかけられた。
「今日いろんな所でライブをやっているけど、ここを選んでくれてありがとう。我々はまだまだひよっこで、明後日からまたツアーでケチョンケチョンにされるけど、だからこそ前を向いて走っていこうと思う。もっともっとこの先も、君たちに付いて来てもらえたらと思います。君たちは宝物です」
そして、銀テープが降り注ぐ中、ファンへの思いを込めた「蕣」が華やかに贈られたのだった。

楽器陣が捌けたステージに一人残った椋。怪訝そうに見守るオーディエンスに、彼の口から、3月に大切な家族を亡くしたこと、そして、その家族への思いや悲しみを歌詞にしたことが語られた。
「僕の中で自己満足になっちゃうかもしれないけど。最後、このWESTでやらせてください」
そう言って奏でられたのは、この日の無料配布CD収録曲である「キンセンカ」。スクリーンに椋の手書きの歌詞が写し出され、「慈愛」「静かな想い」「別れの悲しみ」、そんな花言葉を持つ曲を静かに歌い上げていく。〈もしも生まれ変わったら もう一度巡り合いたい〉…歌声とストリングスのみで綴られるバラードに、深い悲しみとこの上ない愛を込め、時折声を詰まらせながら懸命に歌い上げる。胸打つその姿に、椋がステージを去った後も、会場にはすすり泣く声が響いていた。

何分もの間、会場にはすすり泣きの声の他は何も聞こえなかったが、その沈黙を打ち破るようにアンコールが叫ばれ、姿を現した空、颯熾、海青の3人から感謝の言葉が語られた。
「とうとう来ましたね、WEST。本当にここにいる皆さんのおかげだと思っています。何物にも代えられないくらい、本当に感謝しています」(海青)
「WESTワンマンには個人的に思い入れがあって。まだ動員10人くらいの時に、海青と二人で真夜中にWESTの前で『ワンマンができますように』って手を合わせたんです。あの時こうして手を合わせた人間が、ワンマンをやることができました」(颯熾)
そしてこの日、髪の色を目にも鮮やかなピンク(颯熾曰く「忙しい色」)にした空は、「盛り上がってもらえて嬉しいです。人それぞれ楽しみ方があると思うので、楽しんでくれたらなと思います」と告げ、ステージに駆け込んできた椋と共に、「君に幸あれ」「吐瀉と代償」「パラサイト」という本編を凌ぐ狂騒感たっぷりのアンコールを披露したのだった。

「終われなくなっちゃったじゃん」と照れ臭そうに笑いながら登場したダブルアンコール。そのMCで自分たちの歩みをカメに例え、「周りにウサギのバンドが多くてカメの僕らは悔しいなと思うんだけど、ちっちゃいカメの踏みしめる一歩一歩は本当に重くて大事で」と語り、「一歩一歩、君たちを裏切らない」という決意表明がなされた。そして、この日最後に届けられたのは、彼らの持ち味を最大限に生かしたメロディアスなナンバー「雨音」。彼らの目の前に広がった光景は、胸を打つものだったに違いない。目元を拭った椋が右手を高らかに挙げ、何かを掴むように握りしめた姿がいつまでも心に残った。

全員が持ち得る全てを出し切った2時間半に渡るライブは実に頼もしく、その姿は眩しくすらあった。
先のインタビューで颯熾が「僕たちはファンにO-WESTの先のDAMYを見せたい」と聞かせてくれたが、会場にいたファンの目には、彼らの未来の一片が確かに見えていたに違いない。終演後、この日の熱を追体験できる初のライブDVD『反抗全書-下剋上-』のリリース、8月には新たなアルバムがリリース、さらに秋にはDAMY ONEMAN TOUR「反抗全書-結論-」が開催されることが発表され、ファンを歓喜させた。
このライブを糧に、また一歩一歩、着実に踏みしめながら歩を進めていくであろうDAMYの未来を今から楽しみにしている。

◆セットリスト◆
01. 首吊り少女
02. 虚言癖
03. 撲殺サマンサ
04. 汚物
05. 解剖家族の真意
06. 世界は回る
07. 深海
08. 誰か僕の為に息を引き取って 誰か僕の為に死ねますか
09. トモダチごっこ
10. chilled.
11. 終止符
12. きみのわるぐち
13. りありすと
14. 理由
15. 蕣
16. キンセンカ

EN
01. inst~君に幸あれ
02. 吐瀉と代償
03. パラサイト

EM2
01. 雨音

(文・後藤るつ子)


【リリース情報】
●ライブDVD『反抗全書-下剋上-』
2018年6月30日(土)オフィシャルオンラインショップにて発売

●ニューアルバム2018年8月29日(水)発売
DMD-011A/A-TYPE(CD+DVD)¥3,780(税込)
DMD-011B/B-TYPE(CD)¥3,240(税込)

【ライブ情報】
●DAMY ONEMAN TOUR「反抗全書-結論-」
10月20日(土)心斎橋 FAN-J
10月27日(土)博多 graf
11月4日(日)名古屋 ell SIZE
11月10日(土)仙台 HOOK
11月22日(木)渋谷 STREAM Hall ※今秋NEW OPEN
※発売日、発売所、チケット詳細は近日発表

DAMYオフィシャルサイト http://damy-official.com/
DAMYオフィシャルTwitter https://twitter.com/official_damy