ライブレポート

2018.2.3
Soanプロジェクトwith芥@池袋EDGE
Soanプロジェクトwith芥 単独公演「調律、その脈動に問う-2018 1st Oneman Live-」

Soanプロジェクトwith 芥が昨年発売した2nd Mini Album『調律、その脈動に問う』。同作品を手にした単独公演「調律、その脈動に問う-2018 1st Oneman Live-」が、Soan/芥(from Chanty)/K/Shun/Layというラインナップのもと2月3日(土)池袋EDGEを舞台に行われた。この日は、ギターShunの誕生日。彼へ向けたSoanからのサプライズな仕掛けも登場。その日の模様を、ここにお届けしたい。

咽び泣く想いを音へ同化するように流れた、物悲しい調べ。「この声が、この身体が、その手を…」。今宵の物語は、重厚な音のベールをまとったバラード『濁った瞳』から幕を開けた。この日が初披露となった『濁った瞳』は、2ndミニアルバムへ収録した『パラドクス』と対を成す楽曲。始まりこそ儚さをまとっていたが、その表情は、芥の感情の揺れに合わせ、次第に激しさを増してゆく。「この手が、心が…」、満たされない想いを荒ぶる音に乗せ、泣き叫ぶように歌う芥。心の叫びをぶつける歌声が、激情した演奏が、痛く胸へ突き刺さる。

続く『不確かな箱庭』は、Soanプロジェクトwith 芥の1stミニアルバム『慟哭を鼓動として道とする音』の冒頭を飾った楽曲。同時に、『濁った瞳』とも連なる想いを綴っている。つまりこの2曲が、この日の物語の起承転結の「起」を担っていた。身体の奥底から沸き上がる嘆く感情を痛く激しく歌声にぶつけることで、芥は己自身の心の開放を求めてゆく。その気持ちへ折り重なるように、観客たちも大きく頭を振り乱し、芥に…Soanプロジェクトwith 芥の演奏や伝えゆく想いへ、みずからの心の物語も折り重ねていた。「叫ぶ声は誰にも届かない」かも知れない。でも、叫ばないことには自分でいられない。そんな孤独を抱えた弱者たちが、此処には大勢集っていた。

「さぁ、全力で打ち鳴らせ」。場内から響く大きな手拍子。意識の奥底から沸きだす昂りが、身体を右へ左へ激しく揺さぶり続ける。その気迫に負けじと、荒ぶる音の塊をぶつけるメンバーたち。凄まじい熱をはらんだ『薄紅は舞い散り寂光に消える』へ触発され、騒がずにいれなかった。心の嘆きを弾けることで開放したい、その自由を欲してもっともっと騒ぎたい。

「壁をぶち破るぜ!!」、Shunの豪快なギター演奏が、欲した感情を”その先”へ連れだした。拳振り上げる観客たちを煽るように歌う芥。Soanプロジェクトwith 芥は『隔つ虚構紡ぐ真実と憧憬』を武器に、閉じていた感情の壁を壊し、観客たちを光見える”その先”の舞台へひきずり出してゆく。激情した演奏は、閉ざした気持ちの壁をぶち壊すドリルやハンマーだ。彼らが熱したままに心の手を伸ばすから、観客たちもその手を握ろうと、みずからの気持ちを熱狂と絶叫に変え力強く手を伸ばしていた。

感情の壁を壊した観客たちが絶叫する場内。その熱を、ふたたび深く蒼な世界へ彼らは導きだした。「僕とあなたの不確かな夜が…」。芥の叫びを合図に、演奏は『透過幕』へ。悲しみと激情した感情を一つの楽曲の中へ混濁させ、彼らは混沌とした世界に満員の観客たちの感情をゆっくり堕としてゆく。歪む音の鉛を身にまとい、意識を閉じながら嘆きの海の底へゆっくりと堕ちていく。その感覚が、今は、とても痛くて心地好い。

冒頭を飾った『濁った瞳』に込めた想いと繋ぐように流れたのが、『パラドクス』だ。重厚な弦楽の音色が堕ちてゆく感情へ絡みつく。「聞かせてよ、君の声を、脈打つ鼓動を」。芥は、秘めた心模様を解き放つように…いや、みずからも心の救いを仲間たちへ求めるよう、慟哭にも似た感情を歌声へ変え、嘆き叫んでいた。ここは、彼らと僕らが心に作りだした小さな箱庭の世界。堕ちてゆくことに安らぎを覚える深遠な空間。一つ言えるのは、それは不確かな安心でしかないこと。それを確かな希望に変えたくて、Soanプロジェクトwith 芥は答えを求めてゆくのかも知れない。

深い奈落の地で蠢くように流れる音の群れ。そこからの、一瞬の暗転。Soanプロジェクトwith 芥が届けたのは、重厚で壮麗な世界観を身にまとった『undelete』だ。空高く手を伸ばし歌う芥。その手をつかもうと、場内から付き上がる無数の拳。『undelete』が、ふたたび気持ちを闇の底から浮上させた。身体が、心が熱を帯びてゆく。それは悪夢から開放されたときのような気分。楽曲が進むごとに激しさを増す演奏が、観客たちの意識を目覚めさせてゆく。僕らが、いるべき場所へ共に向かおうと誘うように…。

激しく咽び泣く想いを、荒ぶる演奏が一気に呑み込んでゆく。たとえこの身体が壊れてもいい。今は彼らの導きに身を預け、苦しみさえも明日の糧に変え、ともに光射す場へ浮かび上がりたい。光る景色の中へ気持ちを連れ出すように、『sign…』がそう呼びかけた。

「すべてをぶち破れ、お前たちのその拳で」。Soanプロジェクトwith 芥は、暴れ狂えとけしかけるように『meteo trive』を叩きつけた。モノクロな景色の中へ彩りを加えるように、意識が一気に熱を帯びて覚醒してゆく。いろんな色(感情)を欲して叫ぶ観客たち。だからこそメンバーらは、荒れ狂う音の絵筆で、暴れたい観客たちの気持ちを興奮という色へ塗りたくる。上がりたいなら、一緒に上がり続けろ。それが、ここにいる意味だ。

騒ぎ狂いたい感情へ揺さぶりをかけたのが、Soanプロジェクトwith 芥流のダンスロックナンバー『朽ち木の行方』だ。重量感あふれる音に刺激を受け、跳ねずにいれない。感情の留め金を叩き壊す演奏に触発され、今は跳ね続けたい。なんて、気持ちを”その先”へ連れだす開放的な演奏だ。何時しか僕らは、彼らが進もうとしている未来の風景の中へ、身体を折り畳みながら熱狂と一緒に踏み入れていた。

魂を解き放たないことには自分でいれなくなる。『躁狂の踊り子~山紫水明の宴~』へ触発され、会場中の人たちが手にしたタオルを振り上げ、右へ左へ駆けだした。「踊れ」「歌え」「狂え」、マグマのように熱した演奏が、理性の留め金を壊し、観客たちを無邪気な野獣に変えてゆく。凄まじい熱を孕んだ激情ダンスロックへ導かれるまま、理性を空に誰もが夢中で騒ぎ続けていた。

その場で思いきり跳ね続けることが、この空間に身を置くうえで最上級の答えだ。「オイ×4」と煽るShun。「飛べ×4」と叫ぶSoan。「求めるほどに失うのが怖くなる」、彼らは『arrive』を通し、そう歌いかけてきた。失うのが怖いなら、怖さを忘れるほどに騒げばいい。間奏でShunが披露したギターソロの時には、この日誕生日のShunに向け、大勢の人たちが熱狂の手の花を咲かせていた。

「ぶち壊していこう!!」。『hysteria show time』の演奏が始まると同時に、会場中の人たちが左右へ一気に駆けだした。「飛べ×4」と煽るSoan。芥の歌へ絶叫を寄り添えるShun。熱狂のコンダクター芥は、沸き上がる演奏を指揮棒に変え、観客たちを宴の中ではしゃがせる。場内に渦巻く轟音、今は高く高く跳ね続けていたい。何時しかこのフロアーは、熱狂によりサウナと化していた。

最後は、この日が初披露となる『frowery count』だ。煽り要素の強い激情した楽曲という理由や、観客たちがとっくに理性を壊していたこともあり、初めて触れるとは思えない熱した風景がそこには生まれていた。芥の煽りに導かれ「オイ×4」と声を張り上げ、思いきり身体を折り畳む観客たち。落ちサビでは、芥の歌に合わせ合唱も生まれていた。この曲がより浸透したとき、Soanプロジェクトwith 芥のライブへ一体化し暴れ騒ぐ最高の景色が生まれる。ほとばしる汗と枯れんばかりに声叫ぶ観客たちの姿を見ていたら、その想いは確信に変わっていた。

退場前、最後に舞台に残ったShunが照れながらも叫んだ「今日の主役は誰だ」の言葉。もちろん、答えはShunに決まってるじゃないか。そんなShunに、この後、素敵なサプライズが待ち受けていようとは、本人は知るよしも無かった。

アンコール前、SoanがShunを客席へ導いた。ステージを見渡せる客席後方へ着いたShunに向け、この日が誕生日の彼のためにバースデーメッセージ動画を上映。映し出されたのが、元DuelJewelのメンバーたちや摩天楼オペラの燿、vistlipの海、Kraの景夕による祝福のコメント。さらに、映像から飛びだす形で元DuelJewel&Soanプロジェクトwith手鞠のメンバーどしても活動中の祐弥が舞台に姿を現し、目の前でShunの誕生日を祝うサプライズトークまで披露。祐弥のノリノリな煽りに苦笑いしながらも、喜ぶShun。さらに、メンバーと観客たちとでバースデーケーキを囲み、お祝いする場面も見せていた。

アンコールで披露したのが、DuelJewelの『62』。Shunファンは、まさかの楽曲の登場に大興奮。DuelJewelのライブでもつねに熱狂を描き続けた曲のように、この日初めて触れた人たちも、凄まじいエナジーを放ち爆走する演奏へ飛び乗り、声を張り上げ、全力で騒いでいた。

その熱を倍加するように、演奏は重厚で雅な和ロックナンバー『月欺けば傀儡が笑う』(煽りループver.)へ。激熱なダンスロック曲に身を投じ、右へ左へ跳ね踊る観客たち。魂の奥底から沸き上がる熱を身体へ漲らせる楽曲だ。後半には、観客たちを逆ダイさせる場面も。(煽りループver.)と名付けたように止まることなく煽り続ける、まさにライブに必要不可欠な妖美な激情キラーチューンだ。

「ここからまたSoanプロジェクト with 芥の道を紡いでいけることが嬉しく思います。この箱庭という場所でまた逢えるように」。芥の言葉を受け、最後にSoanプロジェクト with 芥は『刹那を駆ける命の一行に』を披露。これまでの熱狂劇を優しく包み込むように紡ぎだした、暖かい音色と歌声。心に染み渡る、気持ちを透き通らせてゆく美しくも神々しい楽曲だ。キラキラと輝きながら広がる音色と歌声の波紋。その演奏は、心に希望の輝きをまぶしてくれた。芥の歌う「その手に君が映る、この手に君が宿る~さあ繰り出そう また見ぬ場所へと 二人で」の言葉が、強く胸に刻まれた。一度触れたら忘れたくない、また何度でも胸に染み込ませたい、心に愛情を差し込む楽曲だ。その歌を、ずっと胸から離したくなかった。ずっとずっと抱きしめていたかった。「この日々がずっと続くように」と、この歌と同じ想いを願わずにいれなかった。その余韻を、場内が明るくなっても胸の中から消したくはなかったんだ。

2月11日(日)には、新横浜NEW SIDE BEACH!!を舞台にSoanプロジェクトwith手鞠として2nd Mini Album『旋律、静かな願いと』を軸に据えた単独公演「旋律、静かな願いと-2018 1st Oneman Live-」が控えている。次は、静なるSoanプロジェクトの世界観へ浸ろうじゃないか。

◆セットリスト◆
01.『濁った瞳』
02.『不確かな箱庭』
03.『薄紅は舞い散り寂光に消える』
04.『隔つ虚構紡ぐ真実と憧憬』
05.『透過幕』
06.『パラドクス』
07.『undelete』
08.『sign…』
09.『meteo trive』
10.『朽ち木の行方』
11.『躁狂の踊り子~山紫水明の宴~』
12.『arrive』
13.『hysteria show time』
14.『frowery count』

EN
01.『62』(from DuelJewel)
02.『月欺けば傀儡が笑う』(煽りループver.)
03.『刹那を駆ける命の一行に』

(文・長澤智典/写真・遠藤真樹)


【ライブ情報】
●「旋律、静かな願いと-2018 1st Oneman Live-」
2月11日(日)新横浜NEW SIDE BEACH!!

【リリース情報】
Soanプロジェクト2nd Mini Album『旋律、静かな願いと。調律、その脈動に問う。』

●Soanプロジェクトwith手鞠
2nd Mini Album『旋律、静かな願いと』
2017年8月9日(水)Release 6曲入り
¥2,600(tax in¥2,808)品番:S.D.R-317

●Soanプロジェクトwith芥
2nd Mini Album『調律、その脈動に問う』
2017年9月6日(水)Release 7曲入り
¥2,600(tax in¥2,808)品番:S.D.R-318

●SNS
【Twitter:Soan official Twitter】https://twitter.com/soan_official
【Blog:Soan official Blog】http://ameblo.jp/moran-soan/
【SoundCloud:Soanプロジェクトオフィシャルアカウント】https://soundcloud.com/soan_project