ライブレポート

2016.10.31-11.1
Raphael@Zepp Tokyo
Raphael Live 2016 「悠久の檜舞台」
第壱夜 白中夢/第弐夜 黒中夢

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物語は、いろんな偶然と必然によって生まれるもの。2016年は、Raphaelのギタリスト華月の17回忌の年。その年に、Raphaelを支えてきたベーシストのYUKITOがミュージシャンを引退することを決意。さらに今年は、4人が出会ってちょうど20年目を迎える年でもあった(結成からは19年)。

早熟なバンドだった、早熟なメンバーたち故に心は未熟だった。10代の少年たちが抱えるには、あまりにも大きすぎる評価と名声をRaphaelは手にしたことで、Raphaelを支えるメンバーたちの心には何時しか見えない形で心の亀裂が生まれていた。

バンド自体が自分たちでは制御出来ない存在になるにつれ、Raphaelの歌は純粋さと痛みの二つを多く抱え込むようになっていた。でもその歌が、あの頃は(今も)人が抱え持つ心の闇に手を差し伸べる力や勇気になっていた。だからこそ脆いガラスの心を持つ少年少女たちに、Raphaelの歌は放したくない心友として支持を広げていた。そんなときに、沢山の人たちの希望だった四つの葉のうちの一つが、逢えない世界へ旅立ってしまった。

メンバーも舞台上で語っていたが、あの日からRaphaelという針は進むのを止めてしまった。その間にも「復活」という形で三つの葉となったRaphaelが人前に姿を現すことはあった。でも、YUKITOが表現者とは異なる道を歩むと決心したことで、YUKIとHIROも、それぞれが次の舞台へ立つために。何より、4人が昔のような友達になるため、止めたままだったRaphaelの時計の針を進める決意をした。それが、「解散」を掲げて始まった今年のRaphaelの活動だった。

今年、彼らは3枚のアルバムをリリースした。『Never-1997040719990429-』『Ending-1999072319991201-』『Love story-2000020220161101-』。タイトルに示された言葉と数字が、彼らの想いを物語っている。興味を持ったなら、みずから調べて欲しい。ひと手間かけるくらいの価値があることだからこそ、知らない人は好奇心を満たす努力をしてくれ。

今年の活動は、3人が(4人が)終わりを前に成し遂げたかった行動だった。それぞれが明日へ進むためにしておきたかったこと。ここですべては語り尽くせない。今年の記憶と記録は、後に記録本が出るので、そこで深く触れていただければいい。ただ、Raphaelが19年間の人生に幕を降ろしたことについて、先に記した想いだけは伝えておきたかった。「後悔を残したくない」ためにも…。

Raphaelとして最後のイベント出演の場であり、YUKIとHIROが表現の軸に据えているバンド「rice」が主催しているイベント『BEAT』が、解散を前にした10月28日にTSUTAYA O-EASTを舞台に行われた。出演したのはRaphael/Rayflower/Karma/riceの4バンド。YUKIは、この日の舞台上で語っていた。「Raphaelとriceが共演したかった夢を、ここで叶えられた」と。この日は、riceとしての出演はもちろん、YUKIとRayflowerの田澤孝介とが行っているユニットのKarmaでも共演。何より、Raphaelとしてriceの楽曲を演奏するという夢も叶えていた。

もちろん最後の檜舞台となった、10月31日と11月1日にZepp Tokyoで行った2日間の公演「悠久の檜舞台 第壱夜 白中夢」「悠久の檜舞台 第弐夜 黒中夢」でも、Raphaelは沢山の仲間たちをサポートに招き入れ、これまでの歩みをこの場に、身体に刻もうと、魂を燃やし尽くしたライブを届けてくれた。

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最終日には、活動初期の衣装に身を包み、3人でRaphaelの始まりを告げた「etarnal wish~届かぬ君へ~」を演奏してくれた。そのときには、嬉し涙があふれ出そうなほどの興奮を覚えていた。YUKIが嗚咽混じりに歌った「僕と[僕]」。遠くで微笑んでいる親友に向かって歌いかけた「lost graduation」。「Evergreen」では、満面の笑顔で誰もが少年少女だったあの頃の自分に戻っていた。

何より、最後の最後に「夢より素敵な」を演奏したときに抱いた心が打ち震える想い。あの当時、華月は〈夢より素敵な夢を見せてあげるから〉と想いを歌に記していた。この日の3人は、今にも崩れそうな泣き顔を浮かべながらも、本当に満足した表情で舞台を降りていった。彼らには、夢より素敵な夢がきっと見えていたんだと思う。これは、単なる僕の想像…というより、そう思いたい気持ちだ。夢より素敵な夢とは、しっかりと前を向いて明日へ進んでいくことじゃないのか!?と。

3人は、一切の後悔を持たず「夢より素敵な夢」へ向かって歩みだした。今頃4人は、ただの学生時代の仲間として無邪気にじゃれあい、戻せない想い出に浸っているのだろうか!? 3人は止まった時計の針を進め、待っている仲間の前で時間を止めたことで、人生の宝物をもう背負うことなく、本当に大切な宝物として心の箱に詰め込むことが出来た。心を素直に開く。4人にとっては簡単なことだったのかも知れない。でも、その簡単を動かすまでには、やはり人生の積み重ねという時間は必要だった。だからこそ、解散へ向けて走り始めてからここまでがあっと言う間であり、その輝きを4人が素直に受け止め楽しんできた。

僕らも、何時までも立ち止まってはいられない。戻ることは、何時だって心の針を逆にまわせば出来ること。1秒前までの現実を背負って秒針と共に歩むことで、夢は何時だって君に抱きしめられるのを、その先で待っている。4人がそれぞれの夢をつかもうとRaphaelを背負って新たな道へ歩きだしたように、僕らもそうしていこうじゃないか。

〈今 夢より素敵な夢を見せてあげるから 終わりはしない二人のNever Ending Love Story〉

(文・長澤智典)

Raphael オフィシャルサイト http://raphael.jp/
rice オフィシャルサイト http://rice.jp/