ライブレポート

2015.11.3
石月努@渋谷WWW
「“RUNWAY to the Episode2”—ミライへ―」

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石月努の約1年ぶりとなるツアー「“RUNWAY to the Episode2”—ミライへ―」のファイナル公演が11月3日、渋谷WWWで行われた。本ツアーではギタリストにFANATIC◇CRISISで苦楽を共にしたkazuya(THE MICRO HEAD 4N’S)を迎えツアータイトル“—ミライへ―”にもあるように、石月努の音楽キャリアを総括しつつも、これからの彼の進むべき方向を示唆するような内容のライブとなった。

2012年9月にDVDシングル『365の奇跡』をリリースしソロアーティストとして音楽活動を再開してから約3年。石月はそれまでの音楽家として歩みを休めていた時間を取り戻すかのように勢力的に作品を生み出してきた。活動再開当初に発表された作品は、大衆性は保ちつつも内省的であり、ソロアーティストとしての“個”の部分が色濃く表現されていた。ゆえにライヴパフォーマンスでの再現性に縛られることなく、楽曲個々に自由度の高いアンサンブルで楽曲は構築されていた。がしかし、石月は生粋のバンドマン。ファーストアルバム『プテラノサウルス』のリリースインタビューで“やっぱりロックが、そしてバンドが大好きなんだ”と語っていたように2014年4月に2枚同時にリリースされた『WHITE DISC【白盤】』、『BLACK DISC【黒番】』では、正真正銘の“バンドアルバム”をリリースすることとなる。このことは、石月が再び活動を重ねていくなかで、音の表現方法がバンド的になっていくことは本人にとっても、ごく自然な流れであったに違いない。

そして2015年晩秋。再び新しいバンド・サウンドを探す旅に出ている石月をサポートすることとなったkazuya。石月努が少年のころからの盟友と再び音を奏でることとなったライブの模様をレポートしよう。

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オープニングSEに導かれてゆっくりとステージセンターに位置した石月。1曲目は2012年12月にリリースされたミニアルバム『DROP』に収録されている「GAME」からスタート。ミディアムビートの重々しいビートから一転、疾走感溢れる8ビートへ。そしてまた重心の低いビートに戻るといったジェットコースターに乗っているような感覚にさせるこの曲をオープニングナンバーに持ってくるあたりが、いかにも策士石月努らしい。つづく「DROP」、「Prade」、「MY WAY」とライブでのマストチューンが続く。今回のツアーのバンドはドラムスにLEVIN、ベース二村学、ギター夢時(HELLOWGRAM,eStrial)そしてもう一人のギタリストとしてkazuya(THE MICRO HEAD 4N’S)の4人が参加。これまでライブではシングルギターだったが、kazuyaを迎えてツインギターになったことで、アンサンブルがより整理され、そのことによってLEVINの叩き出すビートはより重心が低く響く。このことはミディアムテンポ曲「MY WAY」でより顕著に感じられた。

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新曲「TABOOOOO」では、どこか人を食ったようなギターリフに合わせるように両手を広げ、ステージで石月がダンスしながら空を見つめたかと思えば、オーディエンスに目線を合わせて煽る。この日のライブ会場であるWWWはオーディエンスがステージを見降ろす構造となっており、通常のライブ会場よりも演者と客席が近く感じられる。そんなライブ会場の構造の利を活かしてなのか、この日の石月はオーディエンスと同じ高さに目線を合わせて歌う場面が多かったように感じられた。

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短いMCを挟んだ後、kazuyaの掻きむしるようなギターリフからスタートした「ADDICT」。kazuyaのストロークに頷くようにリズムをとる石月。古くから石月努のライヴを見てきたものとしては感傷的にならずにはいられない場面ではあるが、2人は過剰にドラマテックに振る舞うことなく、ただ、ただこの日のライブを楽しんでいるようだ。

「Shang-Hi-Baby」ではkazuyaの奏でるチャイナ風フレーズに合わせて高くジャンプする石月。会場の熱は更に上昇する。これまでのライブでは中盤に、石月のミドルトーン・ヴォイスをゆっくり聴かせる楽曲が用意されることが多かったのだが、この日は容赦なくアップテンポの曲が続く。本編の後半は2015年の石月努の音楽活動でのアイコンともいえる曲「RUNWAY to the Future」を披露。そして「365の奇跡」でこの日のステージは一旦幕を閉じた。

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しばらくの時間をおいて再びステージに現れた石月。LEVINの4つのカウントをキッカケに演奏されたのはFANATIC◇CRISISの名曲「火の鳥」。石月と背中になってギターソロを弾くkazuya。オーディエンスの歓声がこの日一番高く響いた瞬間だ。さらに「ONE-You are the one-」、「すべては友のためにきっと明日は来るから」と立て続けにFANATIC◇CRISISのナンバーをプレイし石月はステージを後にした。

ステージ開始から2時間余り。オーディエンスの鳴り止まないアンコールに応えて「Queen」、「追憶をこえるスピードで」更にFANATIC◇CRISISナンバーを披露するという大盤振る舞い。とどめは、まったく予定されていなかったトリプルアンコールに応えるカタチで、ライブのオープニングに用意されることの多い「プテラノサウルス」をプレイして2時間30分余りの白熱のステージを石月は後にした。

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本編MCで石月が“僕の音楽活動においての集大成となるようなライブ”と少し照れながら言っていたように、FANATIC◇CRISISのナンバーを5曲プレイするなど、この日のステージは石月の音楽キャリアを辿るようなライブでもあったが、鳴り止まないアンコールに応えて、急遽プレイされた「プテラノサウルス」は石月努のライブではオープニングに演奏されることの多い曲。奇しくも、この曲がこの日のラスト・ナンバーになったことで、またここから次のepisodeが始まることを予感させるようなライブになった。正に“偶然は必然”。2015年に石月努がkazuyaと再び同じステージに立ったことも、神が仕組んだ必然であり、お互いの音楽人生にとって、新しい何かの始まりであるのかも知れない。

◆セットリスト◆
01. GAME
02. DROP
03. Prade
04. MY WAY
05. TABOOOOO
06. メロス
07. ADDICT
08. DANCE DANCE DANCE
09. Shang-Hi-Baby
10. I BELIEVE
11. SWEET PAIN
12. LOVELESS
13. RUNWAY to the Future
14. 365の奇跡

Encore1
01.火の鳥(FANATIC◇CRISIS)
02.ONE-Your are the one-(FANATIC◇CRISIS)
03.すべては友のためにきっと明日は来るから(FANATIC◇CRISIS)
Encore2
04.Queen(FANATIC◇CRISIS)
05.追憶をこえるスピードで(FANATIC◇CRISIS)
Encore3
06.プテラノサウルス

(文・ぽっくん)


石月努 オフィシャルサイト http://tsutomuishizuki.com/