ライブレポート

2012.6.9

ムック@幕張メッセ国際展示場1〜3ホール

-MUCC 15th Anniversary year Live-「MUCC vs ムック vs MUCC」

 

 

関東の梅雨入りが告げられた6月9日、今年も年に一度の“ムックの日”が巡ってきた。今回敢行されるのはバンドの15周年を祝うスペシャル仕様のライブ。彼らが辿ってきた歴史を三部に分け、それぞれの時代の“ムック”が対バンするという前代未聞の内容だ。ここしばらくワンマンライブがおあずけだったこともあり、広大な会場を埋め尽くす夢烏(=ムックのファン)からは、暗転と同時に熱望の込められた拍手と歓声が沸き起こった。

 

ステージ背面を覆う幅広のスクリーンに、灰色雲の流れが投影され、SEは吹きすさぶ風の音…そこに滑り込むように低く聴こえてきた「輝く世界」でこの日の幕が上がった。大映しになった〈死生〉の文字から、一番手が“2002-2007のムック”であることが知らされる。

黒を基調とした衣装を纏った彼らは序盤から必殺ナンバーの「蘭鋳」を投入、場内が一気に熱気に包まれた。ノンストップでフロアを揺らす様からは闘志のようなものすら感じられ、逹瑯の「生きるか死ぬかをかけてライブをやっております」という言葉から〈死生〉が“DEAD or ALIVE”という意味合いだったことを悟った。心地よい緊張感がスパイスとなって高揚感がいや増していく。「名も無き夢」では客席のジャンプに合わせて広い床がうねるのを感じ、この規模の建物がまさか揺れるとは思わなかった。「大嫌い 2006」で閉じられた第一部は、未だライブの前半とは思えないような盛り上がりを見せた。

 

 

この日のライブでは年代ごと衣装チェンジをするということで、“お色直し”中には各方面から寄せられた15周年お祝いコメントを上映。ミュージシャンから芸人まで、その顔ぶれの幅広さには目を見張るばかりで、こんなところにもムックというバンドのキャラクターを垣間見ることができた。

 

砂嵐のようなノイズから始まった第二部〈密室〉。当時を再現した衣装でステージに上がった4人は、先ほどとは全く違う佇まいだ。〈死生〉ではライブバンドとしての一面を強く感じたのに対し、こちらでは魅せて聴かせるショー要素が色濃く出ていたように思う。「アカ」では斜陽を思わせる照明が赤と黒の景色を生み出し、「イタイ手紙」ではスクリーンにタイポグラフィーで並べられた歌詞により、視覚からも侵されていく感覚を味わった。

「あの頃は曲が少なかったから、カバーとかもよくしてたんだよ」という逹瑯の言葉から、BUCK-TICKの「JUPITER」を演奏する一幕も。それまでのどろりとしていた空気が霧散し、心をときめかせる音と柔らかな歌声が、澄み渡った夜空のイメージを想い起こさせる。また、久しぶりだという「夢烏三か条」も披露され、会場は束の間の笑いに包まれた。

再び一転してアンダーグラウンド。「スイミン」で不穏な気配に沈んだ場内を、「ズタズタ」ではスクリーン一杯の怨嗟の炎が照らし出す。包帯姿の逹瑯が悶え叫ぶように歌う鬼気迫る様子に、観衆は只々圧倒されていた。

 

 

ラストの第三部は〈鼓動〉。ミラーボールがきらめく極彩色の空間に、現在進行形のムックが姿を現す。1曲目の「フォーリングダウン」から、最新型の段違いの格好よさに思わずぞくりとした。今の彼らは過去の彼らを越えて此処にいる、それをまざまざと感じさせられた。

アドレナリンに身を任せ解放感が満ちたフロアを前に、メンバーの表情も気負いが無く、実に楽しげにプレイしている。これだけドラムを叩き続けながらも笑顔のSATOち、身体を揺らしながらベースを奏でるYUKKEの音に乗って、ミヤのエッジーなギターソロが光る。七色のレーザーが放たれた「ニルヴァーナ」では、眼前の景色の美しさとサウンドスケープの大きさに、胸にこみあげるものがあった。

ムックと夢烏のための“ムックの日”を楽しみ尽くそうとばかりに、なおも畳み掛けられるキラーチューン。会場全体が歌い、跳ね、拳を上げて一つとなった本編ラストは、情感がたっぷり込められた「流星」で締められた。

 

アンコールで語られたそれぞれの想い、「ここからの景色を皆に見せたい」というYUKKEの言葉が印象的だった。最後の「優しい歌」ではフロア中にサイリュームと携帯の光が灯って揺れ、さらに綺麗だったことだろう。15年という歴史が凝縮された特別な夜は「これからも一緒にクソジジイ、クソババアになってこうじゃないか!!」という逹瑯らしい一言で幕を閉じた。一筋縄ではいかないムックがこれからどんな進化を見せてくれるのか、ここから始まった“未来”に期待したい。

 

 

◆セットリスト◆

 

第一部 2002-2007 死生

SE

01. 輝く世界

02. 蘭鋳

03. 茫然自失

04. 我、在ルベキ場所

05. 商業思想狂時代考偲曲

06. 最終列車

07. はりぼてのおとな

08. 神の星

09. モンスター

10. 名も無き夢

11. 大嫌い 2006

 

第二部 1997-2002 密室

SE —————。

01. アカ

02. 絶望

03. 娼婦

04. イタイ手紙

05. 夜

06. 嘘で歪む心臓

07. JUPITER

08. 九日

09. 前へ

10. スイミン

11. ズタズタ

 

第三部 2007-2012 鼓動

SE

01. フォーリングダウン

02. オズ

03. 梟の揺り篭

04. 極彩

05. バルス

06. ニルヴァーナ

07. アルカディア featuring DAISHI DANCE

08. ファズ

09. 咆哮

10. 謡声(ウタゴエ)

11. フライト

12. 流星

 

EN 優しい歌

 

 

(文・古原悠/写真・三吉ツカサ〈showcase〉)