ライブレポート

2011.06.12

Creature Creature@渋谷O-EAST
PARADISE TOUR FINAL

 

原始的衝動がそのまま導く芸術的感性――。この日のライヴを体感しながら、ふとそんなことを考えていた。音楽が一般消費財と同じような軽い扱いを受ける傾向を危惧する向きは多いが、だからこそ、本来的な意義のある、文字通りのアーティストの存在はなおさら貴重になる。Creature Creatureはその役割を担うに値するバンドだ。

 

<PARADISE TOUR>のファイナルとなる東京公演。セカンド・アルバム『INFERNO』(2010年7月)収録の「Dream Caller」で幕を開けたライヴは、演目が進むたびに独特の深遠な世界へと誘っていく。もちろん楽曲によって色合いの違いはあるものの、いわゆるポップさやキャッチーさとは距離を置いたマテリアルに揺るぎない美学が息づく。その根底にある哲学の解釈は十人十色だが、一つは人間とは何かといった普遍的真理の探究であることは確かだろう。積極的に踏み込むことで、彼らが描く物語は個々の体内へと多彩に浸透する。

 

これはサウンドそのものにも当てはまる。歌詞と同調する混沌とした音像は、さらに重厚さと濃密さを加えた状態でオーディエンスを飲み込む。まさに圧巻の様相だ。誤解を恐れずに言えば、キング・クリムゾンの理論構築と同質の求心力である。実はステージ上のモニター環境は芳しくなかったそうだが、逆説的にそのトラブルが緊張感を生み、メンバーの音楽的な勘の鋭さを証明することになったのも興味深かった。

 

しばしば“孤高のカリスマ”と称されるMorrie(vo)が、なぜ多くのミュージシャンから敬意を向けられる対象となっているのか。華も毒もある歌唱と振る舞いに触れれば、その理由はすぐさまわかる。言わずもがな、Hiro(g)、Shinobu(g)、Hitoki(b)、Sakura(ds)が抱く彼への思いも同じことで、双方の絶大なる信頼感がCreature Creatureを躍動的で生命力を持ったバンドへと変容させる。本編半ばに配された新曲「Psyche」に対する観客の即効性が予想以上に高かったのも、5人が生み出す一体感と無縁ではないだろう。

終演後、客電が灯されてもアンコールを求め続け、いっこうに帰路へ着こうとしないオーディエンスの姿も印象的だったが、その気持ちはよくわかる。それほど惹き付ける特異性がこの日のライヴには間違いなくあったからだ。

なお、本公演の模様を収めたDVDが9月にリリースされること、それに伴って東京、大阪、名古屋、仙台を廻るツアーが行われることも発表になった。思いは人それぞれあることだろう。ポジティヴな意味でイレギュラーな展開も多かったパフォーマンスがパッケージされる運びとなったのは、何らかの宿命なのかもしれない。また、今回の公演が3月11日から延期された経緯を踏まえ、Morrieは終盤に「日常がいかに無根拠な信頼の下に成り立っているか」と先の震災について触れながら(彼らはコンサート収益の10%を復興支援に充てることを明言している)、「“今”は永遠なのだ」と語って「Vanishing」を披露したことも付記しておきたい。

 

 

◆セットリスト◆

01. Dream Caller
02. Amor Fati
03. Maboroshi
04. Black Hole
05. 星憑き
06. ゾーン
07. 真空
08. Cluster
09. 秘苑
10. 天醜爛漫
11. Psyche
12. Gone By Rain
13. Red
14. Swan
15. Lights
16. 春の機械

Encore 1
17. Cosmos Blackness
18. パラダイス

Encore 2
19. Vanishing
20. 虚空人形 Es
21. 千の闇夜に

 

(文・土屋京輔/写真・緒車寿一)