2013.11.28

MUCC@新木場STUDIO COAST

MUCC 2DAYS CIRCUIT 2013 ”Hypnos & Thanatos”

 

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2日目の“Thanatos”は、紗幕に最新シングル「World’s End」のMVが映し出されると同時に演奏がスタート。途中で映像がカラーになったところから、スクリーンにメンバーの姿が見えるようになるという趣向だ。演奏が終わると少し食い気味に幕の向こうでYUKKEのベースから鳴り響く低音で会場の空気が一気に変わる。スクリーンの向こうで逹瑯が「嫌い…嫌い…」と指を差しながら、まるで品定めをするように歩き、「あなたが大嫌いです!」の雄叫びと共に紗幕が一気に落ちる。と同時に客席に向かって巨大な照明が降りて、客席を煽り出す。まさに“Thanatos”。暴れろと言わんばかりの演出にオーディエンスは一気にヒートアップしていく。

 

続く「茫然自失」では、ブレイクタイミングで3人が中央で同時にジャンプする瞬間があった。ムックでは、あまり見慣れない光景なのだが、それも合わせて飛んだというわけではなく、自然とそこで飛ぶものだという感じこのツアーで彼らが培ってきたもののように見えた。

 

5曲目の「夢死」で、逹瑯が「行くぞー!」と叫ぶまで、彼らから言葉はない。それまでの泥臭い力強さを感じさせる流れから一転、「アゲハ」で妖艶なギターソロからメタルサウンドを感じさせたかと思うと、続く「G.G.」では、ライトがくるくるとまわり、ダンサブルな装いに変化。ステージパフォーマンスも一気に軽やかになる。まるで、ここ数年のMUCCのサウンドの変化を一気に凝縮してみているかのような流れであり、その振り幅を感じさせない彼らの確固たるアイデンティティみたいなものを改めて感じる瞬間でもあった。ここでやっと逹瑯が、「今日は最後まで汗だくな感じだぜ。みんな最高にバカになろう!」と叫ぶ。

 

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後半の一発目を飾るのは、前日にも演奏された「HALO」。前日、“聴かせる”曲としてその役目をしっかりと果たしたと思われたこの曲は、SATOち(Dr)のドラムで一気に解放される「ハニー」「ママ」へと続く曲として、“今のMUCC”の音として、しっかり客席を暴れさせる1曲になっていた。YUKKEがアップライトベースを掲げると、逹瑯の「いこうか」という声で3人ステージ中央で向かいあったかと思うと“ウォーッ!”という掛け事ともに「World’s End」のカップリング「自演奴」へ。「死んでもらおうと思って」と演奏された「咆哮」では、リズム隊がたたき出すスラッシュ・ビートが会場を震わせる。ミヤが「声出せー!」と叫ぶと、もう頭を振らずにはいられない。

 

ライブも終盤。「MAD YACK」では、逹瑯がマイクをくるくるっとしたパフォーマンスを見せると、その合図を察知したオーディエンスたちが、客席にいくつものサークルを作り上げた。「いける?」の声に激しく反応し、溜めに溜めまくった勢いをギターの音と共に解放し、「GO TO FLY HIGH!」シャウトで入り乱れる。もう、はっきり言ってぐちゃぐちゃだ。楽しくてしょうがない、その高揚感のまま「蘭鋳!」と叫べることの喜びすら感じるステージだった。

 

アンコールでステージに呼び戻された彼らは、毎週末ライブが行われると1ケ月があっという間だと語った。そして、その1本1本で確実にステップアップしていけたことを感じたと逹瑯が言う。その後、YUKKE、ミヤがツアーの感想を、SATOちがPVの話をした後、2013年の東京でのワンマンはこれで最後だという話になったとき、「15周年を長く祝い過ぎて、どうやら16年目に入ってまで祝ってたらしいことが判明」したことが告げられた。現在は、すでに17年目に突入した……というところで、どこでどう計算したらそうなるのかと「今やることじゃないけど」(ミヤ)と年数を確認し始める。最終的に理解しないまま、「次やりづれぇし」と笑いながらアンコールへと突入。もちろん、そんなことにブレることはなく、東京のラストを華々しく飾ってくれた。

 

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2DAYS CIRCUIT 2013 ”Hypnos & Thanatos”は、12月22(日)大阪オリックス劇場で行われる「MUCC 2DAYS CIRCUIT 2013 FINAL“Hypnos vs Thanatos Z -神と神ドーンΣ(゜Д゜)-”」でファイナルを迎える。変幻自在なサウンドメイクを持ってしながらも、その存在感はけっしてブレることない。17年目(かどうかは、定かではないが)に突入しながらも、落ち着くどころか、さらに期待値を高めるバンドであることをこのツアーが証明してしまったのではないだろうか。

 

(写真・木村泰之、石井亜希)