2014.6.22

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12012 FALL TOUR 2013 「Purification of the Soul」(振替公演)

 

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結成から11年。その歴史の中でも、2013年から2014年の12012は、特筆すべきことが実に多かったように思う。

新メンバーとして齋藤紳一郎(G)が加入。2枚のベストアルバムのリリース。宮脇渉(Vo)の急性声帯炎によるライブの急遽延期。そして今年2月10日、12月12日をもってバンド活動を無期限で休止することを発表――と、言うなればまさに波乱万丈の一年であった。

 

この日、行われたのはその中の一つである、昨年12月に予定されていた12012 FALL TOUR 2013 「Purification of the Soul」の振替公演。オーディエンスが待ちわびていたことは言うまでもないだろう。

 

SEが静かに途切れ、暗転と共に沸き起こったのは、彼らを迎える温かな拍手。

その穏やかさから一転、この日のライブは激しく明滅する光の中、ハードなナンバー「DEADLY CIRCUS」で幕を開けた。宮脇の咆哮、塩谷朋之(B)の力強いシャウトが響き、フロアも総員が拳で応える。

間髪入れずに、彼らの鉄板曲である「「6」PARTY」、「罠」へとなだれ込むと、宮脇と齋藤の力強い煽り、ギター陣が迸らせる強烈な爆音、リズム隊が放つ強靭な重低音が会場のテンションをぐんぐん上げていった。

 

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交差する青い光の下、静かなギターの音と共に始まった「BAAL ZEBUL」。その静けさを激しいデスヴォイスが切り裂き、狂おしい深い闇の世界を描き出すと、続く「GALLOWS」、メロディアスなファルセットが印象的な「HIDE&SEEK」で、さらに狂気を増幅させる。

 

昨年リリースされたアルバム『SWAN』収録曲から、バンドの歴史と共に長く愛され続けている楽曲まで、バランスよく配されたセットリストが会場内の熱を着実にあげていく。激しいナンバーながら、宮脇が一つ一つの言葉を丹念に歌い上げる様が実に印象的だった。

 

2006年にリリースされたナンバー「icy ~cold city~」で爆音に彩られたダークなワルツを奏で、「月光」では重厚な音色に乗せた抒情的な詞世界を描き出す。じわりじわりと光が満ちていくステージで、まるで拍動のように細やかに刻まれるビート、響き渡るギターのユニゾンが絡み合い、時にメロディアスに、時に狂気を滲ませる歌は、ラストにはまるで幼子のように無垢に姿を変えていった。

 

その余韻を断ち切るように、宮脇が「準備はいいか!」と高らかに叫ぶと、ライブの定番「浸色」へ。超低音の〈Hey people!〉で会場の心を鷲掴みにする。昂ぶりもピークへと達したフロアと共に怒涛の本編を駆け抜けたのだった。

 

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アンコールで姿を現したメンバーを歓声が包み込み、宮脇の口から今回の振替公演について語られた。悔しさを滲ませたが、

「でも、みんなのおかげであの日の僕は救われました。ありがとう」

そして、「この曲を愛を込めて贈ります」という言葉と共に「LOVERS」が奏でられた。次いで宮脇は、活動休止に触れ、

 

「全員B型なんで、何となくは活動できない。自分たちのバンドや曲に向き合った時に、今できるものに満足がいかないという決断になったので、一旦12012を離れて、もう1回みんなで集まりたいと思ったら集まろうという話になっています。

いつになるかわからないけど、残されたライブや今までの曲は全部誇りに思えるし、愛がいっぱい入っている。みんなのこともしっかり考えているので、俺も信じてるし、みんなも信じてほしい」

 

という言葉に、拍手が沸き起こった。

静かにスタートしたアンコールだが、もちろんこのまま終わるわけがない。

「CHABOO CHABOO」でハンドクラップの中、激しいシャウトで歌いきると、その勢いをさらに昇華させ、これなしにライブは終えられない「サイクロン」へ。

ダブルアンコールでは「MY ROOM AGONY」をいきなりのトップスピードで操り出すと、フロアは歓喜の悲鳴とヘドバンで応え、この日のライブを見事に完遂したのだった。

 

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活動休止を発表した日、川内亨(Dr)がTwitterに綴った、

「活動的には一つ区切りをつける事になりましたが、12月12日までは今までと何も変わりません。しんみりするつもりもないし、消化試合にするつもりもない。いつも通り気持ち込めて2014年を駆け抜けようと思ってます。」

この言葉に嘘偽りがないことは、この日のライブを観た誰もが感じたことと思う。

 

さらにこの日の終演後、再び暗くなったステージのスクリーンに映し出されたのは、結成から今までの彼らの映像。あまりに懐かしい映像に乗せて発表されたのは、東名阪ツアー、そしてミニアルバム『XII』のリリース!

バンドの一つの期限である12月12日まで、まだまだ走り続けることを約束した彼らがこれから描く景色を、ぜひ見届けていただきたい。

 

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◆セットリスト◆

01. DEADLY CIRCUS

02. 「6」PARTY

03. 罠

04. BAAL ZEBUL

05. GALLOWS

06. 業

07. HIDE&SEEK

08. THE SWAN

09. 夢喰い

10.DEICIDA OF SILENCE

11. CUNNING KILLER

12. icy ~cold city~

13. 月光

14. 浸色

15. BLACK RAIN

 

EN1

01. LOVERS

02. CHABOO CHABOO

03. サイクロン

 

EN2

01. MY ROOM AGONY

 

(文・後藤)