2014.4.26

Acid Black Cherry@沖縄コンベンション劇場

Project『Shangri-la』5th Season

 

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Janne Da Arcのヴォーカリスト・yasuのソロプロジェクトAcid Black Cherry(通称ABC)。ABCは、2013年の8月13日の福島を皮切りに【Project『Shangri-la』】と題した全都道府県ツアーをスタートさせた。このツアーは、北海道・東北を1st Season(11公演)、北陸・甲信・東海を2nd Season(10公演)、関西・中国を3rd Season(12公演)、関東を4th Season(7公演)、四国・九州・沖縄を5th Season(12公演)とし、5つのブロックに分けて全国をまわるというモノであった。

 

今回のツアーの趣旨は、“君”に唄を届けるために、“君”を笑顔にするために、自分からみんなに会いに行こうと企画されたモノ。

 

そして彼は、そこに、【新たな音源をリリースすること】、【全国の“君”に自ら出向いて会いに行くことを目的とした全都道府県ツアーを行うこと】と【全国の“君”と触れ合うことを目的とし、『Shangri-la Meeting』と題し、ラジオやテレビ番組の公開録音やハイタッチ会を行うこと】という3つの約束を置いたのだ。

 

それゆえの全都道府県ツアー。そのホールライブツアーのファイナルが、4月26日に沖縄の地で行われた。

 

早々に梅雨入りを迎えようという沖縄は、連日の雨続きだったが、この日は晴天。本土よりも一足早く夏を感じる1日だった。ファイナルの会場となった沖縄コンベンションセンターのロビーには、ファンたちから贈られた【全都道府県ツアーお疲れさまでした!】というメッセージ入りのオブジェが並べられ、52ヵ所をまわった長旅だったツアーの最終日が今日であることを実感させられた。

 

いくつかのセットリストを用意してまわったこのツアーだったが、この日は「sins」が1曲目に置かれていた。「CRISIS」へと繋がれたそのダークな始まりは、yasuのルーツとABCの根源を感じさせる潔いオープニングとなった。オーディエンスは、その音と唄に激しく頭を振り、力強いノリで応えていった。

 

yasuは、初上陸となる沖縄への想いとファイナルへの意気込みを挨拶代わりとしたMCを挟み、「ピストル」「in the mirror」「ジグゾー」といったヘヴィナンバーを間髪入れずに届け、中盤では、このツアーの恒例シーンとなった、ツイッターで募集したファンからの質問に答えるというサポートメンバー紹介を兼ねたトークが行われた。このツアーならではのコーナーで、オーディエンスとの距離をグッと引き寄せ、そこからのブロックを聴かせるゾーンとし、最新シングル「君がいない、あの日から…」「シャングリラ」を並べて届けたのだった。

 

まさに「君がいない、あの日から…」と「シャングリラ」の中で届けられるのは、今回のツアーの軸。それこそがyasuの唄う意味でもあったのだ。

 

3月11日にリリースされた最新シングル「君がいない、あの日から…」は、3月11日というリリース日が多くを語らずとも、それが3年前に起った東日本大震災の傷みと、その傷みを現在もしっかりと胸に刻んでいることを示しているであろうことは確かであり、そこには“君”を想う彼の真っ直ぐな気持ちが詰め込まれているのである。また、そこから続けて届けられた今回のツアータイトル曲「シャングリラ」は、これも同じく3年前に日本全体が包まれたその深い悲しみに対し、“自分の出来る精一杯”として書き残した作品である。まさに、そこに刻まれたyasuの想いこそ、今回のツアーでyasuが届けたかったことだったに違いない。

 

“唄で世界は変えられない 唄で世界は救えない でも君が笑顔になるなら 唄いたい―――”

 

今回のツアーの初日に福島を選んでいたことからも、yasuの想いの深さが伝わってくる。

“君が笑顔になるなら 唄いたい”yasuの“君”への想いは、yasuの想いを乗せるサウンドを担ってくれるサポートメンバーたちの演奏に乗って、しっかりと届けられた。

それまで、体全体を使って彼らからぶつけられる音と唄にノッていたオーディエンスは、微動だにせず、真っ直ぐにその音と唄を受け取り、噛み締めていた。

 

サウンドの土台を支えるどっしり構える淳士のドラミングと、サウンドに奥行きを与えるSHUSEのベースフレーズ。華やかな印象を与える鮮やかなYUKIのギターと、深みと憂いを感じさせるHIROの泣きのギターは、yasuが唄に託した想いを、聴き手の心の奥の方へと導いた。

 

それは、サウンドと共にyasuの唄がしっかりと届いている瞬間だった。

 

yasuとオーディエンスが真っ直ぐに向き合い、唄を通してしっかりと繋がったその瞬間を目にしたとき、“唄で世界は変えられない 唄で世界は救えない”という現実を変えていけるという、目に見えない大きな力が生まれたのを、yasuもオーディエンスも、肌で感じ取ったに違いない。

 

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後半戦では、「Greed Greed Greed」「チェリーチェリー」「Black Cherry」「SPELL MAGIC」という人気曲で再び盛り上り、アンコールでは、オーディエンスとの距離をより縮めるため、直接触れ合っていこうと企画され全ヵ所で行ってきた、その日のチケットの半券をメンバーが引き、当たった席の人に聴きたい曲を上げてもらい、そのリクエストに応えようという『リクエストコーナー』を届けた。この日は、3階席と1階席に座っていた、ABCのLIVEを初体験した地元沖縄のファン2名のリクエストに応え「少女の祈りⅢ」と「冬の幻」を届けたのだった。

 

そして、このツアーファイナルのラストに、yasuは「20+∞Century Boys」を選んで届けたのだった。

 

“夢を持たない事より、夢のために泣いて傷つく方がイイって……そう思うんだよ”

 

yasuは、この日もいつものように、曲中で“解るか~っ!?”と叫んだ。そんなyasuの声に大きな声で応えていたオーディエンスの目に、強い輝きが宿ったようであった。この日のyasuは夢のために夢見る事の大切さを、身をもって教えてくれていたようだった。

 

すべてが終わり機材の撤去も始まっていた中、オーディエンスの鳴り止まないアンコールの声に応え、再びステージに現れたyasuは、最後に「DRAGON CARNIVAL」を贈ったのだった。ステージの去り際にyasuは「最高の夜になりました。ありがとう!」と集まった満員のオーディエンスに一言。

 

ツアーはこの後、5月13日の大阪を皮切りにスタートする「Encore Season~Arena tour~」と題した大阪城ホール、日本ガイシホール(名古屋)、日本武道館(2days)でのライブへと繋がれ、「Final Season」として6月13日・15日の東京・国立代々木競技場第一体育館、6月22日の宮城セキスイハイムスーパーアリーナで締めくくられることとなる。

 

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Acid Black Cherry オフィシャルサイト http://acidblackcherry.net/