ライブレポート

2011.10.12
cali≠gari@赤坂BLITZ

トゥワー2011「GIVES」

 

 

 

先日「11月にリリースするつもりだったアルバムのレコーディングが間に合わず、とりあえず話をすり替える的なシングルを急遽リリースすることになった」という、バカ正直なのか確信犯なのか、なんとも彼ららしい発表をしたお騒がせバンド、cali≠gari。そんな彼らの実に8年半ぶりとなる全国ツアー(cali≠gari的には“トゥワー”)初日公演――。

 

緑色に照らされた薄暗いステージに怪しげな轟きと不協和音が響く中メンバーが登場すると、舞台は赤へと一変し1曲目「散影」からスタートした。そこでまず石井秀仁(Vo)の姿に目を奪われる。奇抜だとか妖艶だとか、一言では表し難い…筆者の頭に浮かんだ言葉は“ハレンチな熱帯魚”だ。この表現が正しいかどうかは謎だが、当日来場できなかった方はぜひご想像を。

次々と繰り広げられるナンバーの中には、この日のために用意してきた久しぶりの曲という「ちぎられたロマンス」でファンを沸かせる一幕があれば、8月にリリースされた2年ぶりの“ニュウ”シングルの曲たちもしっかりと浸透している様子で息の合った掛け合いを魅せた。

 

この日、個人的に印象に残ったのは本編中盤だ。青白い光のなか桜井のギター音がはじかれ「オーバーナイトハイキング」へいざなう。ステージ上の照明さえも落とされた薄暗い場内に観客が持つライトの光が揺れ、それは冬の夜空のようだった。電子音を多分に使用したサウンドと相まって作り出されたその不思議な浮遊感は、影絵の世界を思い出す。なんだか“夜を歩く”ってすごく素敵なことだと思えたひと時だった。

そんな素敵な“夜”に、水面に広がる波紋のよう柔らかにきらめく光線が差し、楽曲は「電気睡蓮」へと流れる。ミラーボールがゆるりと回りだし、きらきらと輝くサウンドと光にどこか柔らかな温かさをもつ幻想的な空間の中、不思議と懐かしさを感じるメロディラインに胸が締め付けられる感覚を覚えた。

 

もちろんキラーチューンの数々も健在。「マッキーナ」では桜井青(G)がお決まりのジュリ扇を振り踊ると場内は一気にダンスフロアと化し、「マグロ」ではやはり桜井がぐるぐると回り(専用の回転台は今回は無かったが)、こんなにもダンサブルな楽曲で煽るバンドはcali≠gariくらいではなかろうかと思った「マネキン」は自然と体を動かしたくなる。

終盤戦も畳み掛けるように“お下劣ナンバー”へ突入。ラストは「サイレン」で叫び倒し、場内は熱気に包まれ本編は終了した。

 

アンコール、メロディアスなロックナンバー「ハイカラ・殺伐・ハイソ・絶賛」から、武井誠(Dr)のマーチのリズムですぐにオーディエンスが反応した「君が咲く山」を終え、メンバーは淡々とステージを後にした。そしてダブルアンコール、「東京、43時00分59秒」をじっくりしっとりと聴かせ、この1曲のみで幕を下ろしたのだった。意外ではあったが、この潔さも彼ららしいと思えた。

 

cali≠gariにはアングラなイメージがあるものの、石井の言葉遊びと80年代ニューウェーブ的なロックサウンドやエレクトロニカ、桜井の文学的な詞や彼の初期衝動だというAORを彷彿とする叙情的なメロディ…どんな色も変幻自在に操りあくまでcali≠gariらしさを失わない楽曲の数々は、その実、秀逸かつ良質なポップスだと思った。

今回のBLITZ公演に関して石井が口にした「飢餓感を煽るための戦略です」という言葉に今後を期待せずにはいられない。自らcali≠gariでの活動を“長期高額アルバイト”と呼ぶ彼らの行く末が気になって仕方がない今日この頃。ぜひともまだまだ“長期”化することを切望する。

 

なお、残念ながら今回も“アーティスト側の事情”により、ライブ当日の写真を掲載することは叶わなかったが、この新アーティスト写真で先述の“ハレンチな熱帯魚”をご想像いただけるのではないかと期待している。

 

 

◆セットリスト◆

01. 散影

02. 娑婆乱打

03. マッキーナ

04. 偶然嵐

05. ちぎられたロマンス

06. 踏

07. トイトイトイ

08. オーバーナイトハイキング

09. 電気睡蓮

10. すべてが狂ってる

11. マグロ

12. マネキン

13. 嘔吐

14. 混沌の猿

15. 失禁

16. サイレン

 

En01. ハイカラ・殺伐・ハイソ・絶賛

En02. 君が咲く山

En03. 東京、43時00分59秒

 

 

(文・金多賀歩美)